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水の祟り  作者: 入水璃穹
3/8

透明な金魚

「あー、暑ぃ……」


 虐めっ子の一人が透明なコップに水道水を注いでいた。

 ゴクリ、と水を飲む。瞬間、ピチピチッと口の中で魚が跳ねたような気がした。


「ッ……!?」


 思わず水を吐くも、口の中には何もいない。

 いや、そもそも透明なコップの中には魚なんていない。水道水にどうやって魚が入るというのだ。

 不気味に思ったが、魚が跳ねたような感覚が口に残るのが嫌で、一度水を捨てるともう一度入れ直して飲んだ。

 何事もなく飲めた。唯の冷たい水だった。


「何だったんだよ一体……」



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 夜、彼は夢を見ていた。

 恐ろしい夢だった。

 自分の口の中に金魚が次々に入ってくるのだ。水のように透明な金魚。

 ビチビチ、ビチビチと音を立てて、ギョロっとした目玉を此方に向けて。

 必死に逃げようとするが身体が強ばってしまって、そして何故か口は閉じられない。

 口の中に溢れんばかりの金魚が跳ねる。

 喉を通り、肺の中を進む。

 息ができなくて苦しく藻掻く。


「たず……け……」


 手を伸ばして助けを求めるも、誰もいない。


「だれ、か……」


 金魚の数は一向に減らない。

 段々と肺だけでなく、彼は金魚に埋もれていった。


「たすけ……て……」


 彼は金魚に埋もれて見えなくなった。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 朝、寝台の上で遺体が見つかった。

 肺の中には水がたっぷり入っていて、死因は溺死だった。

 水も何も無い場所で。

 検察も家族も誰もが不思議がった。

 気味悪がった。

 そして、彼の死は事故として処理されることになるのだった____



「1人目____」

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