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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第3巻  作者: 妄子《もうす》
29.第2次スワン島沖海戦

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その12

「閣下、ワルデスク艦隊を視認いたしました」

 イーグが、フランデブルグ伯に報告した。


「ふむ……」

 フランデブルグ伯は、安心したような表情になった。


「現在、リーラン王国総旗艦艦隊と交戦中です。

 『合流を急げ』との事です。」

 イーグは、淡々と報告を続けた。


「!!!」

 フランデブルグ伯は、目をカッと開いたまま固まっていた。


 状況はここに来るまで知らされてなかった。


 この辺は、シーサク王国にとって、情報共有という概念が希薄なせいなのだろう。


 というか、共有手段の方か?


 それにしても、伯爵にとっては思ってもみない事だった。


(何故、リーラン王国と戦っているのだ?

 どんな利益があるのか?

 そんなもの何もないではないか!)

 フランデブルグ伯は、固まりながらそう考えていた。


 面白い事に、伯の考えはエリオと同様であった。


 という事は、この人は……。


「閣下、如何なさいますか?」

 サズーは、参謀長らしく一応指揮官の意向を尋ねた。


「進路、速度、そのまま。

 味方艦隊と合流する」

 フランデブルグ伯は、そう命令した。


「……、了解しました」

 サズーは、一瞬戸惑ったが了承した。


 ワルデスク侯からは、ただ合流せよとの命令である。


 何処に布陣しろという指示はなく、どういう戦術を取るのかが分からない。


 なので、近くに行って確認を取らなくてはならないのだろうと言う事が察せられたからだ。


(予想外に悪い状況だな……)

 サズーは、そう感じざるを得なかった。


 そして、イーグと目配せして、彼も同じ事を考えている事を悟っていた。


 とは言え、これはおかしな状況かも知れない。


 敵艦隊は、味方艦隊の6分の1。


 そこに、フランデブルグ艦隊が加わると、12分の1になる。


 どう考えても、負けようがない戦力差である。


 それは、『漆黒の闇』も分かっている筈である。


 なのに、交戦状態になっている。


 何か、敵に秘策があるものと勘繰るのは当然だった。


 そんな中、フランデブルグ艦隊が、戦場に近付いていった。


 そして、奇妙な事に気が付いた。


「どういう事だ?」

 フランデブルグ伯が、珍しく大きな声を上げた。


「敵艦隊からの反撃が1発もないとの事です。

 こちらからの一方的な砲撃のみだそうです」

 イーグが、ワルデスク艦隊から入った報告を再度読み上げていた。


「???」

 フランデブルグ伯は、訳分からなくなっていた。


 まあ、ここに到着した時点でもう訳分からなくなっていたのだが……。


「侯爵閣下は、それについて何と?」

 サズーが、イーグに質問した。


「何とも仰っていません」

 イーグがそう答えたときに、新たな報告があった。


 イーグは、一旦それを確認してから、

「総司令官閣下からの命令です。

 『敵は壊走状態。

  今度こそ逃さない為に、フランデブルグ艦隊は敵の進路を妨害せよ』

 との事です」

と戸惑いながら、報告した。


「!!!」

「!!!」

 この命令に、フランデブルグ伯とサズーは、思わず顔を見合わせた。


 この命令は実行不可能だと感じたからだ。


 位置的に見て、そんな事が可能な所にフランデブルグ艦隊はいなかった。


 そして、傍から見ていると、エリオ艦隊はワルデスク艦隊との距離を上手く測っているように見えた。


 つまり、力量差がありすぎるように感じられた。


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