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その3

 そして、一番の被害者であるクラセックである。


 被害者であるかどうかは、正直何とも言えない。


 だが、本人は、確信を持って自分は最悪の被害者であると考えていた。


 まあ、それはともかくとして、クラセックはその功績を認められたのか、法王から厚遇(?)を受けていた。


 クラセックの住まいは、港町デウェルにあった。


 が、現在は、法都ベロウに移居していた。


 それも、教会関係者以外は、入出が許されない宿舎に一室が与えられていた。


 これは特別な事である。


 かと言って、クラセックはこの厚遇を喜んではいなかった。


 まあ、これは誰の目にも明らかであるように、保護されているという状況であるからだ。


 と言う事は、襲撃の可能性が少なくないという事である。


 何で、こうなったか?


 それは、明らかにサラサ一行を救出した事によるものである。


 正直言って、クラセックは、この件には関わりたくはなかった。


 だが、大海原を航海する商人としては、難破仕掛けの船を放っておく選択肢はなかった。


 なので、救出と相成った訳である。


 その事に関しては、後悔はしていないクラセックである。


 まあ、葛藤がなかった訳ではない。


 見捨てても救出してもどっちにしろ後悔が残るのは、難破船を見て確信していた。


 という事で、良心(?)に従って、救出する事にしたのだった。


 だが、面倒事に巻き込まれてしまったので、今、現在、困っている状態である。


 困り事や面倒事は、得てして、商売の種になりやすい。


 なので、商人の血が騒いだのかもしれない……。


 でも、まあ、それはあくまでもなりやすいだけで、今回だけは、そうなる事は期待できない。


 そうなると、ただ気苦労が増えるだけである。


(クライセン公には、事情説明の連絡を入れたし、ワタトラ伯には必要以上に近付いていないし……)

 クラセックは、部屋の中央で立ったまま、腕組みをしていた。


 立っていたのは、落ち着かないので、先程までウロウロしていた為である。


 既に老齢だが、頭も体もまだまだ大丈夫だった。


 なので、自ら動く事は苦ではなかった。


 あ、まあ、そんな事、どうでもいいか……。


(そんな事より、クライセン公は、ご不快に思ってはいないだろうか?

 まさか、裏切ったと解釈されてはいないだろうか?)


 まあ、結局の所、エリオの心証が気になって仕方がないと言った所だった。


 とは言え、それは当然の事である。


 命の恩人である事は置いておいて、一世一代の儲け話を持ってくる相手である。


 商人としては、真剣にならない訳はなかった。


 なので、唯一、エリオが、足許を見て対応できる人物でもある。


 という事は、ある意味安泰でもあると思うのは、筆者だけだろうか?


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