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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第3巻  作者: 妄子《もうす》
38.マグロット攻防戦 第2幕

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225/263

その15

 そんな騙し合いの結果が出る戦いが始まった。


 サラサ艦隊は、南方艦隊と合流を果たした。


 それに伴い、スヴィア艦隊は3個艦隊で防御陣を引いて対応した。


 補給艦隊は、防御陣の内側にあり、マグロットに向かっていた。


↑マグロット↑


   補

  234

   SR南

         中


 補:補給艦隊、2:第2艦隊、3:第3艦隊、4:第4艦隊

 南:南方艦隊、中:中央艦隊、SR:サラサ艦隊


「全艦、砲撃開始!」

 サラサは、スヴィア艦隊に追い付いた所で、改めて命令を下した。


 隣には味方の南方艦隊が並走している。


 サラサの命令が合図かのように、両軍の砲撃戦が激しくなった。


 先ずは、位置取りの為の砲撃である。


 両軍とも、より良い位置を取ろうとして、牽制し合っていた。


「まあ、こうなるわよねぇ……」

 サラサは、ニヤリとしながら戦況を見詰めていた。


 言った台詞は、他人事だが、明らかに生き生きとしていた。


 フィルタは、そこにサラサの本質を見る思いだった。


(この御方は、戦いが激しくなる程、楽しむようだな……)

 フィルタは、サラサを見詰めながらそう思っていた。


 短期間によくぞ見破ったと言いたい所だが、まあ、ねぇ……。


 これだけ、近くで観察していると、まあ、ねぇ、誰でも分かるよねぇ……。


 それを残念無念そうに、見詰めるバンデリックがいた。


「うん、そろそろね」

 サラサは戦況を見詰めているうちに、ポイントを見出したようだ。


 勿論、フィルタとバンデリックが残念な視線を向けているのには気が付かないでいる。


 ある意味、シュールというか、何と言うべきかの状況である。


「全艦、敵の第3艦隊と第4艦隊の間に楔を打ち込め。

 ケイベル侯にも伝令!」

 サラサは、そう命令を下した。


 命令系統では、ケイベル侯の方が上なのだが、実質的な指揮権をマイラック公爵から与えられていた。


 なので、こう言った伝令を飛ばしていた。


 それでは、不満が出るのかと思いきや、サラサの戦い振りをよく知っているケイベル侯や接近している中央艦隊のミーメック侯も特に異論がないようである。


 これは、マイラック公の命でもあるからだった。


 そう言うことなので、連合艦隊とは言え、連携には問題ないと考えられていた。




 連携に問題が生じているのは、寧ろスヴィア艦隊の方かもしれない。


 サラサ艦隊の追撃を食い止めるのに、第2艦隊と第3艦隊は、交互に突出と後退を繰り返していた。


 その圧力が意外にも強かったため、第4艦隊と合流した際に、第2艦隊と第3艦隊の位置を入れ替えすることが出来なかった。


 3個艦隊の総指揮は、第2艦隊のロドリンゴ侯が執っている。


 その艦隊が中央ではなく、右翼に来てしまっているので、意外に指揮が執りにくい。


 そこ付け込んだ訳ではないが、サラサは当然のように、第3艦隊と第4艦隊を分断しようとしていた。


 その裂け目を通り、補給艦隊に狙いを付けていることは明らかだった。


「バルディオン艦隊だけでも厄介なのに、南方艦隊も加わるとは……」

 ロドリンゴ侯は、歯軋りをしていた。


「閣下、手当てをしておいた方が、よろしいのでは?」

 参謀長のマサトがそう助言した。


「分かっている」

 ロドリンゴ侯は忌々しそうにそう言ったが、そうせざるを得ないことは明らかだった。


 なので、

「我が艦隊を突出させ、バルディオン艦隊の側面を突く。

 その間に、第3,4艦隊を後退させて、陣形を整えさせる」

と直ぐに、ロドリンゴ侯はサラサへの対処法を出した。


「それでは、補給艦隊への接近を許す事になりやしませんか?」

 マサトは、懸念点を述べた。


「確かにな。

 だが、第3艦隊と第4艦隊が分断された場合、目も当てられない。

 そうなる前に、補給艦隊は急ぎマグロットに入港させる他なかろう」

 ロドリンゴ侯は、マサトの懸念点を認めながらも自分の案を引っ込めはしなかった。


「分かりました」

 マサトは、それ以上はロドリンゴ侯の案には何も言わなかった。


 要するに、どのリスクを取るかである。


 それを分かった上での結論なので、マサトも納得したのだった。


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