表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/256

その21

 夕食時、エリオはご機嫌だった。


 いや、得意気だった?


 そう全ての問題が解決したからだった。


(こんなに気分が晴れたのはいつ以来だろうか?)

 エリオは、良かった良かったという気分であった。


 そんなエリオを訝しがりながらリ・リラは放っておく事にした。


 自分の夫が気分良くしているのは、まあ、悪い事ではない。


 下手に突っ込んで、実は勘違いでしたと言う事態は避けたかった。


 妻なりの気遣いであったのは、言うまでもなかった。


 兎に角、得意気にしているのだから、自分もその楽しい空気に乗っかった方がいいとリ・リラは思っていた。


 これもまた、妻としての余裕が出てきたのだろう。


 そして、ターゲットにされているリーメイは、何だか不気味な感覚を覚えていた。


 それでも、いつも通り給仕しているのは、流石にリーメイだった。


 伊達に4人組のボスを務めている訳ではなかった。


 観察眼が鋭いが、だからと言ってそれをひけらかす訳ではなかった。


 そして、仕事をきとんとこなす。


 流石すぎて、言葉もない。


 だが、時折、エリオが微笑みかけてくるのが、何だかもう、何々だろうと思ってはいた。


 とは言え、夕食はいつも通りスムーズに終わり、食後のお茶をリーメイは2人に出したのだった。


「リーメイ、話があるのだが」

 エリオは、脳天気な笑顔でそう切り出した。


 いよいよである。


「はい……」

 リーメイはもの凄い嫌な予感はしていたが、そんな事をおくびにも出さなかった。


 とは言え、バレないように身構えていた。


 こう言う時、エリオが碌でもない事を口走るのは常であるからだ。


 でも、まあ、同時に自分にそれが向けられるのは珍しい事ではあるとも感じていた。


「リーメイに、お見合いの話を持ってきたのだが」

 エリオは、ニコニコしながらそう言った。


「???」

 リーメイは、全く予期していない事を言われて、頭が付いていけなかった。


 珍しく?マークを全面に出して、固まっていた。


「まあ!」

 代わりに、感嘆というか、嬉しいというか、そう言った声を上げたのはリ・リラだった。


 こっちの方は、エリオが終始得意気にしていた理由が今分かった。


 そして、それは、意外でもあるが、同時に嬉しくもあった。


 ちゃんと、リーメイの事を考えてくれたのだという事である。


「……」

 エリオは黙ったまま、リーメイの返事を待った。


 ニコニコしながら、待ったが意外にその返事が長い。


(あれ?おっかしいな……)

 エリオは予想していた反応と違っていたので、焦り始めていた。


 さて、どうしようか?


(あっ、まあ、こんなものよねぇ……)

 リ・リラは、エリオが焦り始めたのを感じていた。


 お見合いの話を持ってきた事に対しては、合格点だった。


 だが、相手の反応に応じて、話を進めるべきだろう。


 その辺が、うん、ダメダメだなと感じていた。


 とは言え、折角の話である。


 こんな事で、ケチを付けるのは良くない。


「で、エリオ、リーメイに紹介したい人は誰なの?」

 リ・リラは、仕方なく助け船を出した。


 勿論、そんな素振りは微塵も見せずに、飛びっきりの笑顔であった。


「ああ、マイルスターなんだけど……」

 エリオは、リ・リラに急かされて、気を取り直しながらそう言った。


 だが、食い付いてこないリーメイの反応を探るようだった。


「!!!」

 リーメイは、人物の名前を聞いて絶句していた。


 予想外の人物だったのだろう。


 恐らく、マイルスターの噂は聞いていたのだろう。


 彼は一応、独身主義者であった。


 まあ、彼なりの故あったの事である。


 さて、この後の展開はどうなるのだろうか?


 エリオの思い描いた事になっていないのは事実であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ