6 俺、全然かっこよくないけどパートナーが三人に増えたらしい。
「上杉さん。進路は土木会社・・・」
進路希望調査書を提出したら、先生が困惑をしている。
「はい、母さんの会社で良くしてもらったので」
母さんは土木会社の事務をしている。
良く遊びにいった。
☆回想
『賢坊、ユンボ乗ってみるか?』
『ええ、いいの?』
私有地で試しに乗らせてもらった。
『いいか?一に安全、二に安全、三四がなくて五に安全だぞ!』
『はい!』
・・・・
「それは男性の就業が確認されていません。自衛軍でも広報に一人もいません。自衛軍の広報にしたら?それとも大学、そう言えば、帝都大学で男子の推薦枠が出来る話があります。推薦出来ますよ」
「だって、結婚するし、働かなきゃ」
「まあ、この話は校長先生と踏まえて話し合いましょう。まだ、1年よ」
結局、後送りになった。
土木業にコネはないらしい。
さて、安子さんにお弁当を届けに行くか。
廊下を歩いていると、
鷺山がいた。その取り巻きもいた。
「オメー、女のくせに男の頼みを断るってか?」
「そんな。レポートをやれって・・・自分でやったほうがためになる・・よ」
あの先輩は田川みずほさん、俺と握手をして気絶をした先輩だ。
先生からは男子と女子の紛争に介入するなと言われている。
しかし、
【このブス!】
この言葉で頭が真っ白になった。
「鷺山先輩、やめて下さい!」
すると、奴は口角がニヤッと上がって、
「また、お前か、女子を躾けているときにくるな。今度はそうはいかない。男決闘をやるか?」
決闘?鷺山はヒョロヒョロだ。
いけるか?ケンカはしたことはない。
セルフディフェンスで少し徒手格闘を習ったくらいだ。
ここで引き下がったら男がすたる。
「ええ、受けます!その代わり田川みずほ先輩にレポートを書かせるのはやめて下さい!」
「じゃあ、これ申請書だ。サインしろ。逃げるな」
「ヒィ、私・・・レポートを書くから・・やめて」
「良いんですよ」
・・・・・
とこのことを安子さんに話したら、怒られた。
「バカ!何で、そんなことをするの。何故、私に相談しないのよ!今から土下座して謝罪すれば許してくれるかも。見え見えの手に引っかかったのよ!」
「え、何故、鷺山はそんなに強いの?」
「そうじゃない!代理人を立てるのよ。この高校で男子嫌いの女子もいるから」
「おい、上杉、こい。決闘だ。ボクシング部だ」
取り巻きが迎えに来た。
・・・・・・
授業はと思ったら、男に関することは全てに優先するらしい。
いつもはひっそりと行われているが、この高校の男子全員と亀頭先生。
女子が入れきれないくらい集まっていた。
「・・・代理人はボクシン部水神舞子さんです」
安子さんが半狂乱になって大変だ。
【あたしが出る!】
「安子さん・・・すみません。先輩方抑えて下さい」
「「「「はい」」」
「え、ルールは時間無制限、どちらかが参ったと言う。若しくは戦闘不能になったら負けです」
水神先輩は、長身で、金髪をポニーテールで束ねている。
うわ、チューイングガムを噛んで余裕だ。いや、ガムを噛むとパフォーマンスが上がると聞いた事がある。
ペッと吐き。彼女はリングにあがった。
「水神、頼むぜ。名誉女性をぶったたいて、真のマン騎士になれよ」
「フン、あたしゃ、金もらえて男をぶったたけるから代理人をうけたのさ」
カン!
ゴングがなった。
シュン!
速い。これがフットワークか。当たり前だけど、テレビで見るよりも数段速い。
そう言えば、有名なボクシング漫画であったな。こういった時は足を見て、顔じゃなく、ボディを打つ。
パチン!
当たった。無敵じゃない。驚いた顔をしている。
俺だって、毎日往復20キロチャリ通だったんだ。
イケる。
☆一分後
「ゲホ、ハア、ハア、ハア、ウゲー」
恥ずかしくもゲロまみれになった。
「まだ、やるかい?」
もう、10秒以上ダウンをした。少し休めたが、ボクシングの試合だったら負けだ。
「や、やる」
「あ、そう」
ドゴ!ドコ!パシン!
「ウゲ~」
あっと間にボディ2発、いや3発か、ボディーを防ごうと腕でガードしようとしたら、顔を殴られた。
俺の反応は、全く対応出来ない。
俺はロープにもたれかかった。
「ウハハハ、見ろ。顔がゲロまみれで、涙を流しているぞ。こんな奴、ちっともかっこよくないだろう!」
「「「「ギャハハハハハハ」」」」
「試合を中止します!」
校長先生が止めてくれたが、亀頭が続行を宣言する。
「あら、決闘はどちらかが参ったか、戦闘不能、つまり、死ぬまで行いますわ。男性保護委員会の取り決めですわん」
【いやーーー、賢治、参った。参ったと言えーーー】
ハハ、安子さんが泣き叫んでいる。
【レ、レポート書くから、何でも・・・言うことを聞くから・・・やめて】
田川先輩も絶叫している。
女性は素晴らしい。母さんが俺を育ててくれた。
「おい、まだ、やるか?」
「・・・や、やる」
「お前さ。女子が男子に虐げられていたら、こんな感じで毎回助けるのかよ?」
「わ、分からない・・・さあ、来い」
足がフラフラしている。引きずりながら、水神先輩に近づく。
近くで見ると、トゲのある顔だが、綺麗だな。
ヨロヨロ~
俺はジャブを放った。胸辺りだ。
パチン!
彼女はよけない。そうだね。よけるほどではないよな。
ドタン、俺は前のめりに倒れた。
「参った。参った。胸を触られたぜ」
「「「エ」」」
「おい、待て、水神、取り消せ。俺がデートしてやるから」
「いらね」
・・・・・・
その後、気がついたら、保健室にいた。
大勢いる。
「「「上杉さん。かっこよかった!」」」
え、鼻水たらしてゲロまみれの俺が?
安子さんは
「馬鹿!馬鹿!」
と胸をポカポカ叩いている。可愛いな。
みずほ先輩はギュ~と手を握ってくれていた。
そうか、ずっと寝ている間、手を握ってくれていたんだな。
「チース」
「うわ」
思わず声が出た。
水神さんもいた。
「あたしゃ、これで、男決闘の代理人業務できなくなった。責任を取れ・・・」
「ええ」
何でも、美男子カードの取り合いや何で、男同士の紛争に手を貸していたそうだ。
「初めてだよ。代理人立てずに、自分で立つ男・・・・」
ツンと顔を背けた。
それ以来、俺を含めて4人で昼飯を食べることになった。
「あんた。もうすぐ16歳さね。パートナーは3人決まりじゃん」
「はあ、でも、安子さんが・・・」
「決めてある。初めては安子だよ。正妻は安子、次は、みずほ、あたしの番だよ。出会った順だよ」
「うん、うん」
「ちょっと待って下さい。何故、みずほ先輩が?」
「おめ、助けたら、こうなるって分かってんだろうよ」
「グスン、い・・や?」
「嫌じゃないです」
「結婚維持費三十万支給されるじゃん。お得じゃん」
そうだが。愛とお金は同じか?
その後、週三で水神さんからボクシングを習って、
みずほさんからは勉強を習う。
安子さんとは校内でデートだ。野球部を引退しているが、プロに行く気満満だ。練習には参加している。
野球部の練習が終わるまで、ボクシング部に行ったり。みずほさんの化学部に行っているが、
「ええ、保健室ではなくここで授業を受けろと?」
「そうです。保健室は使いますから、上杉さんはここで授業を受けてもらいます」
空いている教室を改造して、俺の教室になった。
「なら、何故、ベットがあるの?!しかも大きい。まるで診察室みたいに医療器具もある」
「採精もここで出来るようにしたわ。貴方は女性が好きな男性だから配慮しました」
何だか、ますます特別扱いになって行く。
最後までお読み頂き有難うございました。