表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/18

2 男一人はたいしたことはないけど、男達には気をつけなければいけないらしい

 俺は学校の寮に入った。寮と言っても、一棟が独立している高級アパートだ。校舎内にある。


 登校し、先生に紹介してもらう。

 先生は男性、名前は亀頭先生で、男性学の担当だそうだ。



「転入生よ~ん。何と、美少年よ」



 教室では10人ほど男子学生がいた。生徒は全体で450人、男子生徒は一学年10人ほどだ。



「まあ、それほどじゃないわね」

「鷺山先輩の方がいいわ」



 これ、男の会話だ。


「上杉賢治です。よろしくお願いします」



 俺は美少年らしい。いたって普通の容姿だ。ただ、痩せているだけだ。

 それだけで美少年扱いだ。


 何故なら、この教室はデブばかり。渡る世間はデブばかりだ。

 何でも、この東京第1共学高校は、名門だが、良い男は来ない。

 私学の方が、男が入学するだけで、入学祝い金100万円、月に小遣いが8万円至急される。


 勿論、試験がある。それは、容姿端麗であることだ。


 この世界は男であるだけで生きていける。その代わり定期的に精子の提供を求められる。だから、自分の容姿には関心持たない人が多い。


 謂わば、みそっかすが公立高校に来るのだ。



 送り迎えも、母親が車で来る。


「巧ちゃん。迎えにきたわ」

「おせーよ。BBA!」



 な、迎えに来てくれた母親に・・・・


「ちょっと、その言い方ないよ」


 思わず声が出た。



「良いんだよ。あたしの提出する精子で、補助金が出ているのだから」

「まあ、お友達?随分と綺麗な・・・巧ちゃん。ごめんなさい!」

「フン」



 何だかな。嫌な世界だ。俺のお袋は、親父が亡くなってから仕事を頑張っているのに、小さな土建会社の事務だ。毎日残業をしている。



「上杉ちゃん。おかしくない?」

「だね」


「え~、皆、上杉君は女性に閉じ込められ性搾取されていましたの。女性から洗脳されているわよ~ん」


「うわ。名誉女性かよ」

「だから、皆で洗脳を解いてあげるの~」


「「「は~い」」」



 ・・・・・



 男の先生は学校で一人だ。男性学という科目を教えている。


 今日は課外授業だ。



「みなさ~ん。これ、キモいBBAに性搾取された男子の『ママ活させられた展』よ。レポート提出するから良く見るのよ~」



「「「は~い」」」



「ウフ、上杉ちゃん、どお、女性はこんなに気持悪いのよ~」


「え、でも、売る方がいるから、買う人がいるのですよね」


「まあ、あたしたちは女性にそうされるように仕向けられているのよ!」



 どうも、価値観が合わない。他責思考満載だな。



「年収1000万ない女は結婚の対象外よね」

「そうね。上杉君はどう思う?」


「いや、夫婦で助け合うべき。結婚って結構、気の合う合わないが重要というのを聞いたから・・」

「まあ、男は綺麗に着飾って、女の隣を歩いてあげるのが仕事よ」



 ことあるごとに、男子学生や亀頭先生と対立した。



 男性学のレポートも5点だ。もちろん、100点満点だ。


 うわ。これ、大学に行けるかな。



 それから、クラスメイトにハブられた。


 体育でも。


「二人一組組みなさい」


 ツーン!


「まあ、そこ三人よね」

「上杉君は名誉女性なので組めません!」


「じゃあ、先生と組みましょう。パスの練習よ!」


「は~い」



 体育教師から忠告を受けた。女性だ。



「上杉さん。言動に気をつけなさい」

「はい、でも、多様性を認めているのでしょう?俺の考えは?」

「・・・・貴方は男性に生まれました。その特権を享受したいのなら、迎合しなさい。まだ、時代が早いのよ。貴方は希望よ」


「はい」


 忠告されたが、意味が分からない。



「クス、クス、クス」

「いい気味」


 と思ったが、机に落書きをされて分かった。


「これ、君たちがやったの?」

「「「「知ーらない」」」


「あなたは、先人達が積み上げた男性の権利をないがしろにしている。多様性を破壊するのよ!」

「そうよ!そうよ!」


「なら、俺の考えは、多様性の中に入らないのかよ!」



「「「キモッ」」」


 で会話を締めくくられた。



 ガラン~


 先生がきた。校長先生だ。白髪が交じっている。女性だ。



「上杉さん・・・机は、新しくします。ええ、上杉さんの持ち物、机が破損されたら、貴方方のために使われる予算から費用を充てます」


「贔屓だ!」

「そんなこと許されるのかよ」

「そーよ。私達転校します!」


「まず質問に答えます。許されます。男性活用費は政府支給で、裁量権は校長にあります。

 それと、転校ですが、どうぞして下さい。貴方方は私学の入試に落ちた。または受ける前から妥協して、この学校にきたのではなくて?」



 男性活用費、ああ、あれか。男性は30人いないけど、この学校の学食には男性特別食堂があって、昼食にピザやコーラ、ポテチが安く食べられる。

 男性生徒のために使われる予算だ。


 校長先生は教室の後ろを見た。


「亀頭先生、聞こえているのでしょう?」


 あ、教室の後ろのドアの窓に亀先生の顔があった。



「・・・フン」


 とだけ言って帰った。一週間に一時間だけ男性学の授業がある。三学年で、週三コマの授業だ。



 それから、物理的なイジメはなくなった。


 しかし、校長先生から忠告をされた。


「上杉さん。男一人は、たいしたことはありません。しかし、男達は厄介です。用心なさい。貴方の思想は先進的過ぎます。奴らに目をつけられないようにして下さい。

 今なら、跳ねっ返りですみます」


「はい・・・ですが、意味が分かりません」


「そう、落第ね。もっとも、他の世界からきたから仕方ないわ。この世界には、新日本男性共同党とそれと深い関係のある男性保護委員会、それに迎合するマン騎士がいます」


「わ、分かりました。中学の公民の教科書からやり直します」



 調べたら、男は理論上結婚相手の上限はない。結婚維持費を支給される上限は4人まで、結婚しなければ、税金と社会保障費を取られる。男性保護費から引かれるから実質負担はないではないか?


 結婚したら同居が義務で、定期的に女性の申告書の提出が求められる。


 しかし、近年、形だけの婚姻が増えて社会問題になっている。



 男性学の教科書を読もう。


 昔は、男性は虐げられ、戦争に行かされたり。働かされてばかりいた。

 女は・・・・・


「はあ、また、女性の悪口か・・嫌だな」



 しかし、第三次世界大戦で、通称、馬鹿爆弾が炸裂し、同性愛者が前線で増加した。これを大災厄と言う。


 前線で男性同士が愛し合うのが目的の生物兵器爆弾、戦力が大幅に低下したという。

 大華人民国、オロシア連邦ブロックと、日本で言えば、西側諸国、両陣営ともその爆弾を使用した。


 核を使うと、今度こそ絶滅すると分かっていたそうだ。


 昨今の多様性を認める動きと重なって、男性の同性愛者が増え。市民権を得る結果になった。



「何だかな」


 ネットだ。俺と同じ考えの者はいるか?

 エロサイトでも良い。



 調べたが、古いブログには、夫婦仲良しみたいのはあった。更新は途絶えている。

 現代は全くない。昔のAVのアップロードは軒並みリンク切れになっている。


 代わりに、男性同士のAVが・・・ある。



 今は、新暦125年、そう言えば、新日本国の最後の元号は・・・・、

「光文?」

 あの碑文に刻まれた年号だ。

 年号は事情があって廃止されてた。この新日本国では、神職という役職の一族が代々王と推戴されていた。



 もしかして、あの道祖神はこの世界から来たのか?

 つながっている。そう言えば、神隠しの民話があった。あの辺りだ。


 一体、この世界はどうなっていくのだろう。



最後までお読み頂き有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ