1 転移初日に女性から「キャーキャー」追いかけられたけど、何かが違う
「待てェ!」
「良いことしてあげるから、怖いのは最初だけだからぁ!」
「はあ、はあ、匂い嗅がせて!」
「キャアー待って!」
「「「キャアーキャアー」」
「イケメン~くいてえ~」
「ヒィ、やめて下さい!」
チャリン♩チャリン♩と田舎道、自転車を走らせて逃げる俺は男だ。追いかけているのが女性だ。15歳の高校一年生上杉賢治である。
ごく普通の高校生だ。
チャリ通でいつもと違う道を行き。道祖神にお祈りを捧げたら、光に包まれてこの世界にきた。
道祖神、つまり、男性特有の器官を形取ったものだ。
今、女性に追われている。入れ歯がありそうな妙齢な女性から日焼けをした20代くらい。皆、年上だ。
「畜生、皆、速い!」
捕まると思ったら、前から自動車がきた。
ジープだ。深緑の自衛隊特有の色だ。
ブロブロブロ~~~
「自衛隊ですか?助けて下さい!」
キキー
ジープが止り中から出てきたのは、女性だ。迷彩服を着て銃を持っている。
「何の騒ぎだ!お前ら、この先の農場の作業員だな」
「あれ、男、男性様?・・・・保護しろ!」
バン!バン!バン!
銃声が響いた。勿論、上に撃っているが・・・本当に撃ちやがった。
初めて実弾射撃を目の当たりにした俺は、お姉さんの後ろにかくまわれた。
「ちきしょう。自衛軍か!」
「初めて、生チンを見られると思ったのに!」
バン!バン!
「解散せよ!一度目の警告だ!後、2回言って解散しなければ、刺射殺をする!」
「さあ、お早く、車の中に」
俺は保護された。ここは日本と似て異なる世界だと分かった。
☆自衛軍分屯地
この国は新日本国と言って、
軍隊は自衛軍と言うらしい。
医務室で健康診断を受けた。
最後は、ぶっ飛んでいた。
「これから、採精を行います。ご自分でなさいますか?」
「・・・はい」
ここは、医務室で、白衣の女医さんと女性兵士が3人いる。
「何かあったら、大変です。私どもも見物、け、警備の観点から監視しますが・・・大丈夫ですか?」
「・・・はい」
「雑誌はこれを、私どもの私物です。汚しても構いません。いえ、汚して下さい」
「はあ、って、これ、男性モデルの雑誌ではないですかーー?」
話を聞くと、この国の男性の人口は200万人で、そのうち、9割以上が、同性愛者だと?
そう言えば、戦国時代、小姓は、そういう相手をしたと聞いたな。
「あの、女性が良いです。女性モデルの雑誌は・・・」
「なら、私がやります!研修で男性のお手伝いのやり方を学びました!」
・・・・・・
「はあ、はあ、はあ、はあ」
高校生だ。手で3回とられた。途中で、女性兵士も参加して、体を触らせてもらった。
うわー、スゲーな。初めてのプレイが迷彩服と白衣か。
「スゴいわ」
「量も完璧」
「もしかして、貴方は女性が好きな男性様ですか?」
「はい、女性の方が好きです」
「国に報告だ!」
ああ、どうしてこうなった。
☆転移前
俺は
チャリ通だった。
毎日片道10キロ自転車でこぐ。
毎朝、新聞配達をして、それから登校だ。
家は母子家庭だから仕方ない。
「上杉君、ご苦労様、最近不着がなくて評判がいいよ」
「有難うございます!」
勉強して、毎日、部活もしないで帰る。
部活って金がかかるし。
「上杉もカラオケいかね?」
「馬鹿!」
「ごめん。家事があるから」
早く帰って、買い出しと、夕飯を作らねばならない。
兄弟姉妹がいないから、寂しいが仕方ない。
今はどこも高い。激安スーパーに下校途中に行くつもりが、
毎日、同じルートで帰っていると飽きる。
「今日は、エロ神社でも行って見るか」
山道にある。景色はいい。
昔は、参勤交代で使われた由緒正しい道らしいけど、今は役所が年に数回整備するだけの道だ。
その途中に、いわゆる道祖神がある。男性にしかない器官を形取った石だ。
不思議なことにいつから有るか分からない。古いものでもない。
刻まれた碑文が、「光文27年6月吉日、男性が増えることを祈念する祈念省」
と楷書体で書かれている。
どっかの石材屋さんがネタで作って放置した説が有力だ。しかし、御影石だろ?
金かかっているな。
目をつむって、柏手をうち願いを言う。
''彼女出来ますように、出来たら大事にします’’
ピカッ!
「な、何だ」
光に包まれた。
何か。ランランラン~♩と歌声が聞こえてきそうだ。アニメのワンシーンのようだ。
景色は変わらないが、山道を降りたら、違和感がある。
お姉さん達が田んぼで作業をしていた。
「ヒィ、男?」
「何故、ここに?」
トラクターはあるが、皆その他は手作業だ。トラックもある。
「あれ、ここは、千城県ですよね」
そして、あの状況に陥った。
・・・・・
「私はこれから、どうなるのですか?」
「その、君さえよければ、これから、交尾をしないか?」
はあ、医官の目が怪しく光る。
周りの兵士も舌をペロリと出す。
状況かわってねえな?
その時。
トントンとノックの音がして、
「藤川少佐入るぞ」
切り目の幹部が副官と一緒に入って来た。
緑色の制服でスカートだ。
皆、一様に、敬礼をする。
ビシッ!
そして、藤川さんは敬礼を返し。
「楽にせよ」
「「「ハッ」」」
皆は、蜘蛛の子を散らすように退出した。
「ほお、どこかの蔵に隠された秘蔵っ子が逃げ出したのか?」
「はい?」
俺は日本のことを話したが首をかしげるばかりだ。時々、質問をされる。
どうやら、どこかの金持ちに隠されていた男と見られたそうだ。
まあ、愛玩犬だな。
「ふむ、今の話は興味深いが、信じることが出来ない。当分、男性諸法に基づいて、保護される。国の管理下である公立高校に入学になるが、我慢しろ」
「ええ、喜んで」
男性法によると、男子は、定期的に精子を提出すれば、月に11万円の生活費支給、学生なら住居費、学費免除の処置がとられるそうだ。
ヘリで東京に連れて来られて、
「これは、貨幣か?珍しい。よほど田舎にいたのだな」
「東京では使える所は、スラムぐらいだな」
財布の中を没収されて、代わりに現金カードを渡されて番号を付与された。
「・・・君の男性認識番号は0000001だ。覚えておくように何かあったら、これを言えば保護してもらえる」
「はい、有難うございます」
俺はこの時まで新生活に期待を胸に含まらせていたが、
藤川少佐は意味深に言う。
「もし、君が異世界からきたとしたら、ご愁傷様ね。まあ、頑張って」
「はい」
何か引っかかった。
「ここは、滅び行く世界へよ」
「え、何?」
「ヘリが来ました!」
意味を聞きそびれた。
最後までお読み頂き有難うございました。