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プロローグ

 ☆シベリア・ヤクーツク国際会議会場



 誰かが言った。


 ''歴史上、戦争が起きなかった地域は、ただ生きているだけの辺境の少数民族の生息地域だ‘’



 もう、最後の小さな紛争から半世紀経過した。世界は平和になっている。

 ただし、滅亡に向かっている。


 皆、仲良く国際会議に顔を合わせている。国家元首、全て女性だ。


 この会議に出席をしているのは、南北統一を成し遂げた。



「我が大新羅民国が男性の起源国である!」



 A4用紙を片手に話す大新羅民国の漢大統領と、それに反応するアメリア合衆国のトランピア大統領。


「アハハハハハ、カン、ナイスジョーク!4月1日だったらもっと良かった。何でも、北は、10年間、男性が生まれて無かったと言うね。フジコ」

「ええ、そうね。トランピア」


 北新羅国は・・・政府機能を消失していた。戦争ではない。平和的な合併が行われた。暴動すら起きなかった。兵士は銃を捨て投降した。



「女が好きの男が現れたら、大新羅民国にハーレムをつくるべきだ!何故なら学者の調査の結果、エデンの園は大新羅民国にあったと判明したからだ。この資料を見て下さい!」


 ハーバード大学では聡明だった漢大統領も、すっかり、妄想にすがるようになった。

 それだけ国民からのプレッシャーが強いのかもしれない。


 そして、この会議の主催国、オロシア連邦、プチャーチヤ。

 AI翻訳機だと若干巻き舌の発音が目立つ。


「シィィベリアで永久凍土から出土した大災厄前の男性の遺体から、精子とぉれれなかった。ミイラだ。ウプ」


 やるせなくて、ウォッカのビンを片手に持っているわ。


 あと、大華人民国の熊国家主席ね。


「争う状況ではなくなったよー。我が人民のハーレム計画・・・ダメあるよ。強制勃起薬で、性交させたけど、女好きにならないね。生まれるのは女ばかりね。もう、2年、男性が生まれていないよー」


「我国も似たような状況ですわ」

「アメリア国の科学力でも単為生殖は無理、男をさらわれないように壁をつくるさ。アハハハハ」

「シべェェリリリアーを、全軍で男を探している」


 我国は一年男性が生まれていない。


 この会議で決められてことは。


 各国の研究の共有。

 女好きの男がどこかに隠れていたら保護する。

 その国に世界が協力する。見返りに各国の子女と性交の機会の提供、データーの提出。


 実質、滅び行く世界の覇者になれるわね。


 そして、情報操作だ。



『皆様、朗報です!シベリアの凍土から大災厄前の男性の遺体が発見されました。男性のクローン計画が続行中です!安全です。クローン技術は確立しています。国際社会は歩調を合わせ男性の回復に取り組んでいます!』


『大滋県の病院で男性が生まれました。安全の観点からお顔は報道できませんが、立派なおチンチンがついていました。今年、これで100人目です。では、男性の母親になれた笛吹宇曽子ふえふきうそこさん』


『はい、精子バンクでも男児が生まれましたわ!本当に良かった』



・・・・・・・・



 どちらもフェイクニュースだ。クローンは成長できない。すぐに死ぬ。

 この罪は、50年後、開示される。

 まあ、国が存続していたら・・・だ。


 この情報を各国歩調合わせて流すのは理由がある。


 既存男性へのけん制だ。

「新日本男性共同党と男性保護委員会は、旧男性、名誉女性の復活に懸念をしめします!」



 この食料不足の中、太った体を維持し、ツヤツヤの肌の男性達だ。

 彼らは、特権を享受している。あらゆる物を求めるが女性は求めない。



「それよりも、男性同士の結婚を認めて下さい」


「首相藤川冨士子君」


「ええ、男性同士が愛し合うのは否定していません」


「男性共同党、椎名太郎君」


「男性同士が結婚しても結婚維持費を支給するべきです。各国では男性同士でも支給されています。それと、女性との結婚を強制する法律で4人との女性と同居を義務づけられています。同居の義務をなくし。別居でも払うべきです!」


「首相藤川冨士子君」


「まず。事実の誤認を指摘します。我国と各国では男性同士の事実婚を認めています。

 しかし、結婚維持費は支給しておりません。もし、事実ならデーターの提出をお願いします。

 女性と結婚は義務ではありません。4人と設けたのは財政上の制限です。上限はありません。

 あくまでも、男性に健全な小ハーレムをつくってもらうための法律です。女性と結婚したら一人につき月10万円支給され税金が安くなります。4人と結婚し、同居をすれば、月40万円と男性保護費月11万円、計51万円受け取れます。男性に関しては完全に無税状態になるのです」


「男性共同党、椎名・・・」


「ウ、ウワ~ン、性搾取された。ウワ~~~ン。悔しくて震えて声がでない」


 声でているわ。全く話にならないが、仕方ない。男性の人口は200万人、全体の人口は9000万人弱だ。

 しかし、法案を通すには、男性の許可がなければ通らない。

 拒否権があるのだ。


 まるで姫御子のように、なだめすかさなければならない。



 そんなとき、奇妙な報告を聞いた。いや、朗報だ。青い鳥は裏庭にいた。



「え、男性管理簿に記載されていない高校生が千城県で保護された?」


「はい、ご息女の藤川冴子少佐が保護しました。これを見て下さい。彼の持ち物です」


 チャリン♩


「コイン、紙幣・・・まるで大災厄前の社会から来たみたいだわ」


「何でも、日本から来たとか、診療内科医の話では、話のつじつまがあっていると、採精も、男性モデルの雑誌を嫌がり。医官が手伝いましたが喜んでいたと報告があがりました。女性の介助による射精は・・」


「何年ぶりかはどうでも良いわ。彼はどこに?」


「法に則り。適当な学校、東京第一共学高校に入学しました」


「そう、そうね。非公式の会議を行います。参謀長も呼ぶように!」


「はい、分かりました」


 これは、僥倖か?それとも、また、男をめぐり戦争が起きるのか?

 慎重に対処しなければならない。


「そう・・・彼の名は?」


「上杉賢治君です。15歳、今年で16歳です」


「そう、今年度中に結婚出来る年齢になるのね」


 天は女性を見捨てていなかった。

 今度こそ、間違った優遇をしないと天に誓う。


最後までお読み頂き有難うございました。

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