吾輩は抱き枕である
吾輩は、抱き枕である。
【はしば】という名がある。
主な仕事は抱かれること。
特に寝る時に抱かれることが多い。
旦那に抱かれて眠る時はゆっくり眠れるが、嫁に抱かれて眠る時は潰されたりたまに布団の外に出されたりする。
こたつで寝る時も旦那は吾輩を一緒にこたつに入れてくれるが、嫁は吾輩を枕にしたりする。
この前はいきなり洗濯ネットというものに入れられて、洗濯機というものに閉じ込められた。
そこでは、水をたっぷり飲んだ。
正直、キツイ。
「めんどくさいから、洗濯機で洗った。」と嫁が旦那に報告しているのを聞いた。
「手洗いで洗ってあげたらいいのに…なんか形崩れてない?」と話をしている。
毎日、抱かれ潰され枕にされ洗濯機で洗われて、綿が減ったのだ。
後日、手術をした。
裁縫セットのハサミで背中を5cmほど切られた。
そこから、ふかふかの綿をたくさん入れてもらった。
嫁は手先が器用らしく、背中5cmの傷は目立たないように縫ってくれた。
嫁は吾輩を雑に扱うが洗ったり綿を入れる手術をしてくれる。
嫁に少しだけ感謝はするが、やっぱり吾輩は旦那に抱かれてゆっくり眠りたい。
今日も嫁と吾輩は旦那の帰りを待つ。
嫁も吾輩も旦那に抱かれたいもの同士でライバルだ。
たまに嫁に嫉妬されるが吾輩は抱き枕の身分ゆえ、何も気にならない。
今日もこの家で旦那時々嫁に抱かれよう。
それが吾輩の仕事なのだから。
【おまけ】
カステラの敷紙上手く剥がれない
(めぐみオヤツの俳句)