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ミッドナイトアクアリウム

作者: すみ いちろ

夜の風にのる声


「まだ起きてるのかい?」


まどろみの中、聞こえる


夜の静けさ


そこにいるのが


誰であっても


夜中に訪問する


人知れず聞こえる声


「やあ……まだ起きてたんだね?」


夢の中──


自転車にのってペダル踏む


グルグル回る車輪に


運命のせて


時計の針がまわる


この真夜中の時間


真っ暗な闇夜に薄明かり


あなたのそばに白い手袋を置く


満月がみている……


夜の静寂しじま


雲を渡る小さな舟を漕ぎ


星くずを夜空にまけば


あなたの夢たちがたくさん泳ぎ


月を横切り


星たちの隙間を縫って


叶えようとして集まる


夜のアクアリウム


虹を夜空にまぜる


真夜中の訪問者


ドアをノックする音──


扉を開けば


猫顔の男


黒いスーツにシルクハット


「ご用は何でしょう……?」


尋ねてないのに答える


キラキラ光る青色の猫の目


時々、流星がこぼれ落ちる


魔法のステッキで描く


どこまでも宇宙の果て超える旅


それは未来なのか


どこまでも……


誰も見えなくなる彼方まで


時計の針さえ止めて


ミッドナイトアクアリウム──


君の寝顔


白い手袋を置く満月


窓辺には


夢たちが泳ぐ


叶えようとしている


金色にも虹色にも透明にも


光輝く


泡ぶくたちが昇る


たどり着けない深海から


光輝く水面に向けて


飛び魚になって


羽が生えて


夜の空を飛ぶ──


どこまでも光輝く


夜空のアクアリウム──


君とともに


夢たちが叶えられた後の世界で


ともに生きる


時計の針が動き出す


まどろみの中か、夢うつつか


聞こえた声


「ご用は何でしょう……?」


黒いスーツにシルクハット


猫顔の男が青い目をキラキラと光らせる


時々、星たちがこぼれ落ちる魔法のステッキ


クルクルと回せば──


ミッドナイトアクアリウム


夜空に浮かぶ海


満月が白い手袋を置く窓辺


君の枕もとにも夢の中にも


金色にも虹色にも透明に光輝く


夢色に輝く魚たちが泳いで


星をまく真夜中の君


夢叶った後の世界


夜の静寂しじま


時計の針が動き出す音


枕もとの音


真夜中の音──


真夜中の満月が


君の眠る水槽を静かに持ち上げて


どこかへと運ぶ


白い手袋をつけて


ゆらゆらとゆれる夢


金色にも虹色にも透明に光輝く魚たち


飛び魚みたいに跳ね上がって


君の真夜中の夢から


羽を生やして夜空を飛んだ











 






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― 新着の感想 ―
[良い点] すごくすごく幻想的です(*´∇`*) 綺麗!!! 夜っていうのがまた美しい!! 言葉選びが、すごく美しくて「そこでその言葉を持ってくるのか! すごい!!」と思いながら読ませてもらいました!…
[良い点] メルヘン的な雰囲気に、シュルレアリスムの連鎖を感じる、次々に魔法で変化する楽しさ。時計が止まって、辺りを沢山の夢が魚のように泳いで、紳士の猫が用を尋ね、白い手袋が区切りを告げる。リンクが、…
[一言] 深夜の水族館 涼しそうですね〜。
2022/08/14 08:11 退会済み
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