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担任は優しい旦那様  作者: 華愁
23/40

第二一話☆正式な離婚

理香が佐川家で

暮らし始めて

三ヶ月程経った

ある日の夕方、

理香の携帯が鳴った。


「パパからだ……」


鳴り続ける携帯を

握り締めたまま

動けずに居る

理香にマー君が

無言で手を出した。


その意図を

理解した理香は

携帯を渡した。


『俺が

出ていいか?』


一応、確認を取り

理香が頷いたことで

マー君が電話に出た。


「理香、パパだ」


私たちにも

聞こえる様に

受話音量を最大にして

テーブルに置いた。


『こんばんは』


マー君が話し出した。


「誰だ君は?

これは娘の携帯だ」


『今娘さんが

居る家の家主で

佐川と申します』


怒らず、丁寧に

対応するのは

流石教師だ。


「何故君が出たんだ?」


理香の父親が

言ってることは

間違ってはいない。


『貴方からの

着信を見て

出るのを迷って

いましたので俺が

出たんですよ』


本人にも

確認しましたよと

最後に付け加えた。


「娘はそこに居るか?」


『ええまぁ』


何故理香が

電話に出るのを

躊躇ったか

気付いいないみたいだ。


「代わっくれるか」


私たちの間に

座ってる理香は

何も言わない。


二、三秒考えて

首を横に振った。


『理香さんは

今出たくないそうです』


マー君が

そう告げると

激昂して

電話口で怒鳴った。


「いいから、

今すぐ理香に

代わってくれ!!」


驚く様子もなく

マー君は冷静に

対応している。


『貴方は理香さんの

気持ちまでも

考えていますか?

親の都合で

引き離される

理香さんの気持ちを

考えましたか?』


あくまでも冷静な

マー君に対し、

理香の父親は

未だに憤慨

してるのが

電話口だというのに

よく分かった。


隣に座ってる理香が

私の服の裾を

小さく引っ張ったので

口パクで、

どうしたの?と

訊いたら、ごめんの

ポーズをした。


私も大丈夫だよと

ジェスチャーをした。


数分後、マー君が

何か言って

電話を切った。


『華蓮、理香ちゃん

来週の金曜日に

五人で

食事することになった』


それはまた……


『突然だね』


でも、それが

いいのかも知れない。


「分かりました……」


理香はやっぱり

乗り気じゃない。


『私たちが

隣に居るから大丈夫だよ』


***一週間後***


私たちは、

佐川家で

理香の両親を含め、

五人でリビングの

テーブルに座ってる。


『今日はわざわざ

此処まで足を運んで頂き

ありがとうございます』


代表してマー君が

挨拶をした。


理香は何時も通り、

私たちの間の

席に座ってる。


中々誰も話そうしない。


シーンと静まり返る

昼のリビングは

家じゃないみたいだ。


『ほら、

空気重いぞ

肩の力抜いて』


やっぱり、マー君は凄いな。


昔から空気を

和らげる力がある。


高校時代も

生徒同士の喧嘩を

よくやめさせてたっけ。


他の教師が

仲介に入っても

悪化するだけなのに

マー君が言うと

何故かすぐ

治まるんだよね。


『お二人の中で

離婚は決定事項

なんですよね?』


私は確信をついて

理香の両親に

質問をぶつけた。


折角、マー君が

場の雰囲気を

和ませてくれたけど

私は延ばし延ばしに

するのが嫌だった。


その言葉に

理香が小さく

反応したけど

両側から手を握った。


「ええ、そうです」


迷いなく淀みなく

答えた理香の父親の

表情は読めなかった。


「理香は、

どっちについて来る?」


また理香が

私たちにしか

わからないくらいに

小さく反応した。


『理香、

本当の気持ちを

今此処で

ぶつけていいんだよ?』


さっき握った手を

更に強く握り、

そんな言葉をかけた。


「私は

どっちにも

ついて行かない」


二人の目を見て

はっきりと言った。


「じゃぁ、

住む所はどうするんだ」


言いたいことを

察した私たちは

理香の頭に

手を乗せた。


『今と変わらず

此処に住めば

いいだけの話です』


そう、

此処に居れば

いいだけだ。


「それでは、

二人に迷惑じゃ……」


今まで一言も

話さなかった

理香の母親が

口を開いた。


『家主の俺が

言ってるんですから

いいんですよ』


でも……と言いながら

私の方を向いた。


それにマー君も

気付いたらしく

言葉を続ける。


『あぁ、

それなら大丈夫ですよ

妻も同じ意見ですから』


二人が

私を凝視した。


「妹じゃなかったのか」


普通は

そう思っても変ではない。


私は理香と同い年だし、

童顔のせいか

よく実年齢より下に

見られることもある。


「二人が結婚したのは

華蓮が

高二の時なんだって」


父親の呟きに

答えたのは理香だった。


説明の手間が省けて楽だ。


『理香、

説明ありがとう』


「どういたしまして」


理香が

少し笑ったので

私は内心ホッとした。


『私も理香が

此処に居たいなら

いいですよ』


それを聞いた

二人は

また黙ってしまった。


結果的に理香は

これからも

此処で

暮らすことになった。


まぁ、私たちが

いいと言っているし

理香もどっちにも

ついて行かないと

言っていたから

当然の結果なんだけどね。


かれこれ二時間弱話をして

二人は帰って行った。

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