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担任は優しい旦那様  作者: 華愁
10/40

第八話☆新学年も前途多難!?

今日は始業式。


一年上がって

私たちは二年生になった。


クラス替えはないから

一年生の時と

同じメンバーだから

気が楽だ。


そして、恋と先生の

お付き合いも

上手く行っていて

一安心だ。


退屈な校長の話しも

やっと終わった。


まぁ、殆ど

聞いてなかったけど。


そして、

あの時のことを

思い出して

笑ったのを

理香が見てたらしい。


教室に戻ると

質問された。


「華蓮、さっき

何で笑ってたの?」


『あれはね、

高校時代を

思い出してたんだ』


去年の始業式で

やっぱり、

校長の話しが

つまらなくて

欠伸した時マー君が

出席簿で私の頭を

コツンとしたのを

思い出して笑った。


その話しをしたら

皆も一緒に笑ってくれた。


「ねぇ、今日は

午前だけだから

何処か遊びに行こうよ」


陽菜子が言うと

恋が申し訳なさそうに

眉を下げた。


「ごめん、

今日は無理」


それに気を

悪くする人間は

此処は居ない。


「何々、デート?」


逆に

興味津々って感じで

皆、恋に詰め寄る。


「うん」


恋が濁して

断った時点で

此処に居るメンバーは

分かっているのだが

琴羽はあえて訊いた。


因みに、

デート以外の用事の時は

ちゃんと理由を言う。


『それじゃぁ仕方ないね』


相手を知っているが

此処はあくまで教室。


知らないフリをして

明らかに残念って

声を出した。


「ごめんね」


もう一度、恋が謝った。


帰り道、学校から

離れた場所で私たちは

盛大に大笑いした。


始業式から二ヶ月が経ち

夏休み直前、

一つの事件が起きた。


盗難とかじゃなくて

一人の一年生が

よりにもよって

恋に告白した。


しかも、二年の

教室がある廊下で

更にその場に居合わせた

私たちも左京先生も

一瞬固まってしまった。


「ありがとう、

でも、恋人が居るの

ごめんね」


そんな中、告白された

当事者の恋だけが

冷静に対応していた。


"ありがとう"を

先に言うとは

流石、

恋だよなぁと思った。


「そうですか、

自分の気持ちを

伝えられてよかったです」


彼が行った後で

金縛りから解けた様に

私たちは動き出した。


「恋、カッコイイ」


興奮した様に

琴羽が言い、

左京先生が

手をギュッと握った。


廊下に居た人数が

少なかったことと

私たち以外

すぐ教室に

入ったことが

幸いして誰も

見ていなかった。


とりあえず、

一難去ったわけで

よかったよかった。


『皆、今日

家に来ない?』


でも、この告白を

断ったことで

後々大変なことが

起きることを

誰が予想出来ただろう……


何となく、

集まりたくなった。


左京先生を含め、

全員分の了承を得て

私たちは教室へ

授業がない先生は

職員室へ向かった。


集合時間は

午後七時頃にした。


結局、

流れで皆

泊まることになるけど

今の私は知らない。


そんなことがあった

一週間後、

夏休みに入った。


現役教師が

二人も居るとなれば

当然、遊ぶ前に

宿題をやらされる。


家のリビングで

珍しく眼鏡をかけた

マー君と左京先生が

テストの時みたいに

監視している。


テスト時と違うのは

何でも聞けることくらい。


そのお陰か

分からないけど、

結果的に宿題が

三日で終わった。


持つべきは、

年上の彼氏ってね。


そして、二人共

成人してるから

行きたい所があると

必ず車を出してくれる。


今回も、

皆で旅行に

行く計画を立ててたら

二人が連れてって

くれることになった。


どっちにしろ、

この辺に遊びに

行く様な所はないから

一石二鳥だ。


場所はまだ決めてない。


旅行誌を何冊か

見ながら皆で考える。


結果、

三泊四日で京都に

行くことになった。


旅費は理香の

お父さんが

全員分出してくれた。


『理香、ありがとう

でも、よかったの?』


「いいのよ、

お父さん忙しくて

私に構えないからって

今回の旅費を

出すって言ったんだもん」


今度、マー君と一緒に

お礼しなきゃだね。


荷造りを

終えた私たちは

マー君と左京先生が

運転する二台の車で

行くことになった。


修学旅行の

バスみたいだと思った。


マー君の車には

私と理香と陽菜子が、

左京先生の車には

恋と琴羽が乗った。


そして、いざ京都へと

出発したのだった。


旅館の部屋は

三部屋取り、

私たち女と

マー君たち男と

部屋を分けた。


着いた今日は

疲れたから観光は

明日からにした。


温泉に入り、

夕飯を食べ

皆でのんびりする。


家とは違った

のんびりが出来て嬉しい。


家族にお土産を

買って行かなきゃね。


旅行なんて

何時ぶりだろう……


寝る時間になり

何時もなら

一緒に寝るマー君は

左京先生と

隣の部屋に戻って行った。


男性陣が

居なくなり

ガールズトークの時間。


左京先生と恋の話を

中心に理香の話や

私の話など、

現在好きな人が

居ないと言っていた

陽菜子は文句も言わず

私たちの話を

聞いててくれた。


一通り話し終わり、

布団を敷いて寝た。


翌朝、

先に目を覚ましたのは

私と理香だった。


あの家で一人の理香と

朝からマー君の

お弁当やらを

作らなきゃいけない私は

必然的に

目が覚めたらしい。


廊下に出ると

男性陣二人に会った。


『マー君おはよう

左京先生

おはようございます』


二人は自販機に

行こうとしてたらしく

手には財布が

そのまま握られていた。


私たちも

同じ状態なんだけどね。


「佐川さん、左京先生

おはようございます」


理香も挨拶し、

四人で自販機に

行くことになった。


「恋たちは

まだ寝てるのかい?」


左京先生の質問に

答えたのは私。


『はい、私たちは

目が覚めてしまったので

二人で来たんです』


その横でマー君が

笑うのを

耐えてることに気付いた。


『ちょっとマー君』


大方、私の敬語が

可笑しかったんだと思う。


「佐川さん、

どうしたんですか?」


理香の質問には答えず

先に自販機の方へ

行ってしまった。


『私の敬語口調が

可笑しくて

笑うのを耐えてたんだよ』


二人にそう説明すると

ポカーンとした顔をされた。


高校時代は、

教師に対して敬語なんて

使わなかったからね。


『二人共、

何時までも

ほうけてないで行くよ?』


私の言葉にはっと

現実に戻って来た

二人を連れて

自販機に向かった。


着いた時には

笑いが治まってた様で

備え付けのベンチに

座って缶コーヒーを

飲んで居た。


私と理香は

三人の分も買って

戻ろうとしたら

左京先生が

恋の分を出してくれた。


部屋に戻ると

三人は起きていた。


「何処行ってたの?」


既に布団を

畳み始めてる

陽菜子が聞いて来た。


『自販機だよ』


手に持った

五種類の飲み物。


『そうそう、

恋の分は左京先生が

買ってくれたんだよ』


「朝食の時にでも

お礼いいなよ」


理香が恋を

小突きながら言った。


「分かった、

教えてくれてありがとう」


昨日の夜と同じ様に

マー君たちの部屋に

集まって、皆で食べた。


「左京先生、ジュース

ありがとうございました」


食べてる最中に

箸を置いて、先生の目を

真っ直ぐ見て恋が言った。


「いいんだよ、

それくらい

彼氏なんだから」


あっ、恋が照れてる。


そんな二人が

微笑ましく思った。


皆で

色んな所を回ったり、

途中で恋たちを

二人っきりにしたりと

何かと楽しかった。


そして、今日は最終日。


楽しい時間は

案外あっさりと

過ぎて行く。


今は、皆で

お土産屋さんに来ている。


私とマー君は

家族への

お土産が被らない様に

二人で選んでいると

左京先生が皆を呼んだ。


「皆ちょっと来て」


そう言われれば

行くしかなく、

呼ばれた方へ行くと

勾玉の形をした

ストラップがあり、

色で言葉が違っていた。


その中で左京先生が

手にしていたのは、

翡翠色で"仲間"だった。


「これ、

皆でつけないかい?」


そんな楽しかった

夏休みも終わり

二学期になっても

私たち六人は

仲良しだった。


携帯には

あの時のストラップが

ぶら下がっていた。


校内では先生と生徒でも

校外では仲間である。


そんな仲のいい

私たちを妬ましそうに

見ていた人物が居たのを

ある日の帰りに

理香たちが怪我を

したことで

知ることになる。


「華蓮!!」


家の中に入るなり

理香が

泣きそうな顔して

抱き着いて来た。


二学期に入って

三週間目の週末、

何時もの様に

一度帰ってから

私の家に来る途中で

何者かに襲われたらしい。


リビングへ連れて行き、

救急箱を

寝室から持って来て

手当をした。


それから

間もなくして

左京先生が来た……


皆の傷を見て驚き、

恋を見つけると

真っ先に抱きしめた。


『それで、

犯人の顔は見た?』


四人は首を横に振った。


それもそうか……


外はかなり暗いもんね。


『そいつらは

何か言ってた?』


質問を代えてみる。


「お前たちが

邪魔なんだとか

そんな類いのことを

言ってた気がする」


邪魔……


すると左京先生絡みかな?


『女の声だった?

男の声だった?』


とにかく、

手掛かりを

見つけなきゃ……


「両方だったと思う」


緑茶を一口飲んで

琴羽が答えた。


『質問ばっかりで

悪いんだけど、

背丈は分かる?』


暗くて顔は

見えなくとも

背丈くらいは分かるはず。


「それなら分かるよ」


未だ、左京先生に

抱きしめられたままの

恋が答えてくれた。


「大体だけど、

男の方は

百八十後半が二人と

百七十半ばが一人

女の方は

百七六くらいだと思う」


マー君が百八二で

左京先生が百七八。


それから、

理香が百五九

恋が百六三

陽菜子が百五五

琴羽が百五一

因みに私の身長は

百五三だ。


そう考えると

男三人はかなりの長身だ。


私は携帯を開き、

悠緋さんに電話を掛けた。


「もしもし」


直ぐに

出てくれてよかった。


『こんばんは、

今大丈夫ですか?』


自分から掛けといて

あれだけど、相手に

確認を取ってみる。


「大丈夫だけど、

何かあった?」


悠緋さんの

察しの良さには

何時も驚かされる。


『流石悠緋さんですね』


早速、今さっき

あったことを話した。


「そんなことが……

分かった、調べてみよう」


優しいなぁ。


『本当ですか?

ありがとうございます』


電話口だけど、

お辞儀する勢いで

お礼を言って

通話を終わらせた。


『親父、何だって?』


向かい側に

座ってたマー君が

早く教えろとばかりに

私を見て来る。


『調べてくれるって』


これで、犯人は

早く見つかるだろう。


『ねぇ、皆

一つ提案何だけど

当分、此処から

学校に通わない?』


「でも、

教科書とか家だよ?」


陽菜子が

困った様に言った。


「じゃぁ、

取りに行かないか?」


左京先生が提案する。


『そうだな、

華蓮は

留守番してて』


車の鍵を手に取り

出掛ける準備万端の

マー君に頼まれた。


『任せて』


玄関を出る時に

四人が不安そうな

顔をしていたけど

大丈夫だと言って

見送った。


三時間くらいして

皆が帰って来た。


『お帰り』


そういえば、皆の

親達には何て

言って来たんだろう?


『ただいま』


皆の荷物を客室に置き、

リビングに戻った。


『それで、

何て言って出て来たの?』


悠緋さんが

調べてくれるとは言え

一日二日じゃ分からない。


「検定が近いから

泊まりで

勉強すると言って来たよ」


成る程、尤もらしい

言い分だね。


『理香ん家は?』


夏休みでさえ、

忙しくて構えないからと

旅費を

出してくれたくらいに

忙しいはずだ。


「相変わらず

居ないから

電話で話したよ」


そっか、

今日も居ないのか。


『分かったって

一言言ってすぐに

電話切られたよ』


そんなに忙しいのか……


とりあえず、

これで誰かが

一人になることは

なくなるから

少しは安心出来る。


敵が学校に

居なければだけど……


『とりあえず、

一人にならない

ことだよね』


「そうだね」


犯人探しはとりあえず

悠緋さんに任せて

私たちは休むことにした。


『皆、

お腹すいたでしょう、

ご飯作っといたよ」


悠緋さんから

連絡が来たのは

それから二ヶ月

してからだった。


その間は、何もなく

私たちは無事に過ごせた。


とにかく、

一人にならず授業以外は

常に一緒にいた。


『マー君、悠緋さんが

特定出来たって』


その言葉に皆が

一斉に私の方を向いた。


『私たちの敵は

やっぱり学校に

居るらしいよ』


悠緋さんの

メールによると、

私たちが通ってる

専門学校の

教師と一人の生徒の

誰かが黒幕らしい。


「それが誰かは

まだ分からないの?」


何時も勝ち気で

男前な恋が

不安そうに聴いて来る。


『待ってね、

今まだ途中だから』


読み進めて行くと

意外な人物の

名前と写真があった。


『皆、夏休み前に

恋に告白した

一年生覚えてる?』


そう、悠緋さんが

送って来たメールに

添付されてたのは

あの日、恋に

告白した一年生と

知らない女だった。


「勿論覚えてるよ」


皆が頷いた。


『それと、左京先生

この人知っますか?』


携帯を左京先生に見せる。


「隣の席の

販売担当の先生だよ……」


これで繋がった。


『悠緋さんの

メールによるとこの二人は

義姉弟だそうですよ』


『靖紀、

その女から何か

言われたことないか?』


いつの間に名前呼び?


まぁいっか。


「そういえば……」


左京先生は

思い当たる節があるのか

何かを

思い出そうとしている。


「思い出した

確かあれはまだ

恋たちが一年の頃で

約一年前くらいに

告白された

ことがあったんだ……」


明らかにそれしかない。


つまり、

姉は左京先生に

弟は恋に降られて

その二人が

付き合ってるのを

何処かで知って

何時も一緒に居る

私たちも憎いから

今回の様なことをしたと。


「馬鹿のすることって

低能過ぎて

やんなっちゃう」


陽菜子が

呆れた口調て

吐き捨てた。


「確かにね」


琴羽も同意する。


此処に居る

全員が思ってることだ。


『迷惑な話しだよな』


確かに、

振ったくらいで

逆恨みされても

迷惑でしかない。


この二人の思考は

World is mine

何だろうか?


もしそうなら

かなりイタイ思考の持ち主だ。


犯人が分かったのは

いいことだけど、

こうなると

恋と左京先生は学校に

行きたくないよね……


だって、

自分たちのせいで

私たちが怪我を

してしまったんだから……


私だったら、

絶対に行きたくない。


しかし、

学校を休むわけには

行かないよね……


あの二人は、

私たちの誰かが

一人になるのを

待っているに違いない。


何かいい方法は

ないものか……


『とりあえず、

今後も此処から通って

気をつける

しかないだろう

俺は、親父と一緒に

そいつらの情報を

もう少し集めてみる』


流石マー君だ。


頼りになる旦那様だ。


『やっぱり、

それしかないよね』


安全第一。


敵が学校に居るなら

そいつらに

隙を見せなことだ。

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