表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

呪われた生徒

作者: 悲喜 小守

この小説は

君の身体が糧となる(http://lyze.jp/kiminokarada/)

で提載されている物です。

そしてこれは執筆者、悲喜(祇紫)の夢に出てきたものを小説にした物です。

上手く表現されているかは不明ですが…

いそがなきゃ、いそがなきゃ死んじゃう!



そう思いながら奈津(なつ)は本を探していた。


この学校は呪われている。


霊の言った言葉を本のタイトル・内容できちんと揃えなければ奈津達はその霊によって殺されるのだ。

集め終わったら図書室の受付の人に出して、認証されなければならない。

与えられる時間は5分。その間に、早く揃えなければと皆焦っていたのだ。


「先生!早く…!」


焦った声色で奈津の友人、(あい)は受付の者に訴えていた。

他の者も急げ、急げと声をかけている。


「はい、終わりました」


藍は安堵の溜め息を漏らす暇も与えられず、次の言葉を霊によって与えられた。


「ギャァァァァアァァァ!!!!」


叫び声が図書室内に響いた。


また一人犠牲になった。

言葉を与えられた者達は、その悲鳴に振り向く事も無く、言葉集めをしていた。

泣く者も居れば、怒号を上げる者もいるこの場はもう既に、地獄絵図と化していた。


「てめぇ、何するんだよ!」


「これが必要なんだ、仕方ないじゃないか!!」


二人の男子生徒が怒号を上げた。

必要な言葉の入っている本を一人の男子生徒に奪われたらしい。


「他の言葉を捜すんだな!!」


男子は狂気染みた笑顔でそういい、受付へ走って行った。


その2分後、本を奪われた男子は目的の本を見つける事ができず、死に絶えた。




そして朝。

夜21時から四時間以降の時間は霊に言葉を与えられる事はない。

朝から昼にかけては呪いを解くための方法を皆探すため、自由時間が与えられている。


奈津、藍のふたりは先輩の家へと向った。


インターフォンを鳴らすと、バタバタと誰かが廊下を走る音が聞えた。


ガチャリと扉が開いた。


「いらっしゃい、待ってたわ!」


そう言って呪われた学校の卒業生、本条直美(ほんじょうなおみ)は笑顔で直美の自室へと招き入れてくれた。


「今まで大変だったわね。さあ、遠慮せずにどうぞ」


「「ありがとうございます」」


二人は少しやつれた表情でそう言った。


「じゃあ、早速 呪いを解く方法を教えるわね。」


「はい」


「お願いします」


二人は待ってましたという表情でそう言った。


「まず一つ、あの学校を退学、もしくは卒業すること。

つまりあの学校の生徒で無くなる事。


二つ目は図書室にまじないの本があるの。

"呪い解除のまじない"と書いてあるわ。

その本の27ページを読んで。

そこに解除法が書いてあるわ」


直美の話では、呪われているのは学校では無く生徒らしい。

そのためあの学校の教員はなんともないのだ。


そして直美は一度霊に聞いた事があると言う。

何であんな事をするのかと。

すると霊は答えた。これはゲームだと。

このゲームを解く方法は、二つあると。


そしてそのまじないをする時、一人一人違う願いを言うと全員死んでしまう。

なので一人を選んで、その願いに関する願いを言うと全員助かる。

しかし、一人でも間違った願いを言うと、その願いの中心人物は死に絶えると言う。


そう説明して直美は笑顔で頑張ってと言った。


そして奈津と藍の二人は図書室へ向かった




学校へ戻り、図書室へ向って、意を決して扉を開ける。

そこは血の海だった。

血の海から目を逸らし、まじないの本を探した。


「…あった!」


「本当?!」


「うん!」


これで、これで助かる。

そう思いながら27ページを開いた。

そしてそこに書いてあった言葉は…


四人以上(男子二人・女子二人以上)で輪を囲み、

願い事(呪い)を言う。最後に助けて下さいと言う。


と書いてあった。


「四人以上だって…


じゃあ、皆に声かけようよ…

そうすれば、皆…」


「そう、だね…」


そして昼、放送で全生徒を校庭に集めた。


そして、奈津は皆に、まじないの話をした。


「そんなので助かるわけないだろ!」


本当だったら(わら)にも縋る想いの筈なのに、誰もそのまじないを信用しないどころか、校庭から去ってしまった。


そして残った皆に、なら学校の生徒で無くなればいい。

そう伝えた。


結局誰も聞く耳を持たなかったのだが。


そして二人で溜め息をつく中、二人の男子生徒が声をかけて来た


大橋(おおはし)(奈津)、水城(みずき)(藍)。俺達、それやるよ。

四人、必要なんだろ?」


「「!!」」


「…うん、ありがとう」


「いいって、だって、退学してホントに助かるか分からないしね。」


「まぁホントはどっちも助かるかなんて分からないけど、やってみる価値はあるしな。」


そう言って(いずみ) 華南(かなん)(はし) 波斗(なみと)は笑った。




四人は図書室の隅の方に集まっていた。

誰の願いを中心にするかを決める為だった。

すると、奈津が名乗りをあげた。


「私でいいよ」


満面の笑みだった。

その笑顔に免じて、三人は同意した。



輪を囲み、一人一人願いを言った。


奈津「私は呪われています、呪いはこうです。この学校にいる限り、呪いは取れない。霊の言う"言葉"を集めなければ私は死にます。助けて下さい」


華南「俺も呪われています、呪いは大橋 奈津と同じ…」


波斗「俺も呪われています、呪いは大橋 奈津、泉 華南と同じ…」


華南と波斗は奈津に続けてそう言った。

そして最後は藍だ。


藍「私も呪われています。呪いは大橋 奈津と同じでこの学校にいる限り、呪いは取れない、夜の間、霊の"言葉"を集めなければ死んでしまいます」


「「「「…」」」」


「これで、良いんだよね…?」


奈津は不安そうに言った。


「どうしよう…私…私…」


「どうした…?」


「…どうしよう…泉くん…私、願い事、

間違えちゃった…っ」


藍はその場で泣き崩れた。


「どうしようっ!私の所為で、奈津が死んじゃう…!!」


「…っ」


奈津は一度目をぎゅっと瞑り、何かを覚悟したように笑って


「いいよ、藍。もうしょうがないよ」


「っ奈津…!」


「もういいから、ね?」


奈津は悲しそうに笑った。


「…ごめん、ごめんね…私の、所為で…っ」


「いいって…っ!!」


急に奈津は苦しそうに目を瞑り、胸を押さえた。


「あ゛っ…アァァァァァァアァッァァーーー!!」


そう叫んだのを最期に、奈津は息を引き取った。


「奈津…?な、つ…奈津ーーーー!!」


奈津を抱えながら、藍は叫び泣いた。




2年後――


奈津が亡くなって数日後、藍、華南、波斗の三人は学校を退学した。

奈津は学校に未だいる。

それから藍達の呪いは本当に解けた。

あれからあの学校の生徒たちがどうなったのかは分からない。


ある日、藍、華南、波斗の三人は集まった。


「久し振りだね」


「そうだな」


「行こうぜ」


「うん…」


そう言って三人は奈津のいる学校に向った。



奈津は綺麗に保管されていた。

その姿はあの時のままだ。


ケースを開けて華南が奈津を取り出した。


「帰るか…」


「おう/うん」



華南と波斗が走り出したのに続いて、藍も走り出す。


「もう、俺達は逃げなくっていいんだな」


「そうだね」


「もう俺達は…」



自由だ―――




 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ