ゲラゲラコンテストコント:「ハードボイルド」
「はいどうもー」
t「ってめっちゃ声渋いじゃん。普段のテノールボイスがバリトン越えてバスなってるじゃん。風邪?」
b「この業界にもそろそろ慣れてきたのでな。イメージチェンジをしようと思ったまでよ」
t「声のイメチェンって新しいな。喋り方も若干ワイルド気味だし」
b「そうだろう?この声も結構努力しているのさ」
t「男が高い声を出すなら結構努力いるイメージだけど、低い声出すのにどんな努力いるのさ?」
b「ついさっきまでデスメタルを熱唱してたからな」
t「それ喉潰しただけだよね。大丈夫?のど飴いる?」
b「……もらおう」
t「(微笑み)でもまあ声が特徴的なお笑いコンビの方々はいくらかいますけど、確かに印象的ではあるね。昔はラジオで漫才を流してたし、顔も重要だけどやっぱり声も大事だよね」
b「お前の声も……嫌いじゃぁないぜ?」
t「シラフで言われるよりは悪かない。でもねっとり視線は気持ち悪い」
b「やっぱりな、ハードボイルドを売りにするには日頃からハードボイルドな生活を送らなきゃいけねぇ。俺はその努力も続けていく予定だ」
t「まあファッション的な意味合いのハードボイルドじゃ滑稽に見えますからね。ちなみにどんな努力を?」
b「まず早朝は熱いシャワーでガッと目を覚ます」
t「あー、男らしいね。いい感じ」
b「百度のお湯で、十二分」
t「それ固茹で卵の作り方。ハードボイルドだけどさ、全身大火傷避けられないよ」
b「二秒が限界だった……めっちゃヒリヒリする」
t「やったのね。大丈夫?アロエクリーム塗る?」
b「……もらおう」
t「(微笑み)まあでも熱いシャワーでガッと目を覚ます。これはハードボイルドだね」
b「そして朝食だが、こいつもハードボイルド」
t「固茹で卵以外になんかあるの?」
b「確かに俺もそう思っていた。ハードボイルドなら固茹でだと。だが、ハードボイルドな卵の食べ方は生卵をジョッキに、こう、こう、こう」
t「ああ、よく見るよね。あれは男らしさあるよね」
b「そしてストローで、こう」
t「そこは一気飲みじゃないんだ。なんか巨大なタピオカミルクティーでも飲んでるイメージだよ」
b「どるんどるんだった」
t「だろうね」
b「そして着替える。アンダーウェアなんて必要ない、男らしく裸にシャツをバシっと」
t「アクション映画で良くあるね。肉体美を魅せるワイルドさ」
b「おかげで打ち合わせの時、めっちゃ寒かった。今も寒い」
t「もう夏終わってるからね。大丈夫?ホッカイロいる?」
b「……もらおう」
t「(微笑み)でもハードボイルド感はある。いい感じじゃないか」
b「朝の通勤は相棒のバイク」
t「ハードボイルド感あるね。でも裸にシャツな格好で寒くない?」
b「奥歯がガタガタいってた」
t「だろうね」
b「ついでに雨も降ってた。咳が出ている。ごほごほ」
t「やっぱりその声風邪じゃない?」
b「ハードボイルドは雨には負けない。むしろシャツを脱いで全身で雨に打たれる」
t「映画の有名なシーンとかでみるアレね」
b「そしてコインランドリーで服を乾かす」
t「濡れっぱなしで通勤はできないもんな」
b「ついでにサウナに入って体を温める」
t「仕事はどうした。まあサウナにハードボイルドな人が入ってたら絵にはなるね」
b「熱さに負けず、サウナの真ん中に自然体で微動だにせず座り続ける」
t「お、良いね。ハードボイルド感あるよ」
b「他の人が来たらそのままの姿勢でスライド」
t「シュールになっちゃったよ。もっと他に良い場所の譲り方あったでしょ」
b「再び汗を流した後は、仕事場に颯爽と現れる」
t「午前中で二回シャワー浴びちゃってるよね。まあまあ清潔なのはハードボイルドでも大事ですから」
b「仕事は迅速に、無駄口を叩かず、完璧にこなす」
t「ハードボイルドな男はできるイメージあるからね」
b「そして昼はコーヒー片手に屋上で一服」
t「ハードボイルド感出てるじゃん。でも雨降ってなかった?」
b「火が付かなかった。また濡れた」
t「滑稽なだけじゃん」
b「おもむろにシャツを脱いで全身で雨に打たれる」
t「やけくそ感あるじゃん」
b「そしてコインランドリーで服を乾かす」
t「ハードボイルドは一日に二回もコインランドリーのお世話にはならないと思うよ」
b「昼からの仕事も無事に終え、夜は新宿の街を練り歩く」
t「良いねぇ。だけどバイク通勤じゃなかった?」
b「……一回家に帰ってから、バスで新宿に向かう」
t「ハードボイルド感落ちたね」
b「行きつけのバーで、バーボンを一杯」
t「グラス片手にニヒルに笑う。ハードボイルドだねぇ」
b「そして翌日、公園のベンチで目覚める」
t「一杯で潰れちゃってるじゃん」
b「寝冷えして、体がブルブルだ」
t「やっぱ風邪じゃん。お大事に」