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1-24『Q&A』



Q.親父が秘密にしていたと言っても、今より以前にこっそり会いに来たりは出来たんじゃないのか?


A.迷宮の出入口を掌握しているのは父様ひとり。

 つまり地上の民を受け入れる準備の為、最近になってようやく父様以外の者が出入り可能になったのじゃ。



Q.そんな事で反発とかあったりしないのか?


A.父様は名実共に迷宮の支配者なのじゃ。逆らうような愚か者は居ないのじゃ。



Q.独裁者って知ってる?


A.知ってるのじゃ、民をいじめて楽しむ悪い奴じゃろ?



Q.……えー、それはまた別の機会にきっちり話し合うとして、親父がダンジョン運営なんて始めようとしている理由に心当たりは?


A.詳しくは分からぬのじゃ、ただ、父様は「人々にはこれから先必要になる事」と言ってたのじゃ。



Q.ふーん、いまいちわからんな。


A.母様達なら知っておると思うのじゃが、妾ではちと返答に困るの。



Q.じゃ、その母様という人達はここには?


A.無理じゃと思う。迷宮管理の補佐も担っておるし、どの母様もお忙しい方達なのじゃ。



Q.つまり、会うことは出来ない?


A.そんな事はないのじゃ。迷宮の各階層の責任者を担っておるので、兄様が出向けば歓迎して貰える筈なのじゃ。



Q.ダンジョンの責任者って?


A.階層守護を任されておると言えば分かるかの?

 第十、三十、五十、七十、そして第百階層にひとりづつ母上様達が守護と管理を担っておるのじゃ。



Q.ボスじゃん。


A.全員ではないのじゃが戦闘大好きな母上様も居るので間違って居らんのう。

 特に五十階層のサバニャ義母様と七十階層のシルドラ義母様は戦闘狂として有名なのじゃ。



Q.会いたくなくなったんだけど。


A.早めに会いに行かないと拗ねて暴れて低層やここに突撃して来かねないのじゃ。鎮めるのが面倒なのでなる早で会いに行って欲しいのじゃ。



Q.……まあいい、それで、リーザのお母さんの、グリムガルデって人は何処に?


A.第百階層じゃの。立場的にはサブマスター、迷宮の主の右腕なのじゃ。



Q.それじゃ、第百階層が最奥になるのか?


A.違うのじゃ。もっと深くまで迷宮は創られているのじゃ。

 もっとも、妾達が立ち入り出来るのが第百階層までと定められておるので、詳細は父様本人か母上様方に聴かねば分からぬが。



Q.次、リーザの事になるが、何でお前燃えなかったんだ。


A.単純に高レベルにおける強固な身体のおかげというのもあるのじゃが、妾はスキルとして各種属性に耐性を持っているのであんなみみっちい炎じゃ燃やせないのじゃ。



Q.いや、呼吸すらまともに出来ないと思うんだが、普通は。


A.はいかつりょーでどうとでもなるのじゃ。



Q.ならないが。


A.なるようになるのがレベルアップの恩恵と考えておけば問題ないのじゃ。気にしたら負けなのじゃ。



Q.ダンジョンの住民ってそんな連中ばっかりなの?


A.全員とは言わぬがだいたいは戦えるのじゃ。



Q.……それでなんでわざわざ外の連中を冒険者として鍛えようとしてるんだ。


A.知らないのじゃ。



Q.ちなみに、リーザは全体で見たらどの程度の強さ?


A.上の方なのじゃ。母上様達には劣るが姉妹の中ではやや上、一般兵では束になっても妾には勝てんのじゃ。(どや顔


Q.じゃ、俺の《鑑定》でリーザのステータスが上手く表示されないのはどうして?


A.妾が《鑑定妨害》のスキルを持っておるからじゃの。ただ、このスキルは完全に妨害は出来ないのじゃ。

 兄様の実力が妾以上になれば、妨害は無効になるので詳しく見たいなら強くなると良いのじゃ。



Q.では、現在交際中の男性などは?


A.居ないのじゃ。


Q.過去に好きな異性が出来た事は?


A.居ないのじゃ。


Q.身長とスリーサイズを。


A.なんでそんな事を聞くのじゃ……ええと、身長はこの前計った時で154cmで、スリーサイズがry




◇◆◇



「だいたい聞きたい事は終わったんだよね、リーザもう答えなくて良いよ」


「いでででででっ」


「う、うむ、兄様の頬っぺたがものすごく伸びてるのじゃ……」



 ついつい個人的に気になる部分を質問してしまい、それが気に食わなかった由芽に顔をつねられてしまう俺。

 純粋な知識欲による質問だと諭しても聞いてはくれまい、仕方がないので好きにさせておこう。


「とりあえず纏めると、大事な部分はリーザも知らない、という事でだいたい合ってるかな?」


 由芽がボールペンの先端を口元にくっ付けつつ話をまとめる。そろそろ離して。


「そうじゃのう、役に立てなくて申し訳ないが」


「ううん、それは良いよ、それでもお兄ちゃんに役立つ情報もあったと思うし、ねえお兄ちゃん?」


ひょうひゃな(そうだな)ひょへひゃりに(それなりに)ひひひゃいこょ(ききたいこと)ひょもひひぇたぞ(こともきけたぞ)


「そろそろ離してあげても良いと思うのじゃが」


 俺のあまりにも痛ましい姿に同情したのか、リーザは由芽へ諌めるように声を掛ける。

 優しい子である。その慈悲に満ちた心使いに眼から涙が滲み出て来そうだ。単純に痛くて泣きそうになってるとかでは無いぞ。


「……お兄ちゃん、デリカシーって物を持つようにしなきゃ、一生モテないままだからね?」


 なんて酷い事を言うんだこの元祖妹は。


 頬をつねっていた指は離してくれたが今度は心が抉れたぞ。泣くぞバカ慰めろこんちくしょう。


「それで、話はひとまず終わりとして、兄様はどうするのじゃ? また迷宮へと赴くなら同行するがの」


「へ? うーん……」


 そういえば本来はダンジョンの攻略を進めるつもりだった訳で、イレギュラーな事案によって中断していたのだったな。


「……話を聞いてて時間掛かったしな、今日は止めといて明日また改めて潜るかな」


 なんだかんだで日付が変わる頃まで話を続けてしまっていたので、今からダンジョンへ行くとなるとまた徹夜コースに成りかねない。

 流石にそう何度も徹夜攻略なんてしていられないので、本日の探索は諦めるのが妥当だろう。


「とりあえず、風呂入って寝る。ダンジョンの続きは明日だな」


 そう言って話を切り上げ、俺はさっさと立ち上がって風呂へと向かう事にする。

 さっぱりしてからゆっくり寝て、それからダンジョンでも別に困る事は無い。明日は休日だしな。


「由芽、お前もそろそろ寝ろよ、リーザはどうするんだ?」


「妾かの? 出来ればお泊まりしたいのじゃ」


「ふーん、そっか」


 そういう事なら由芽が部屋で一緒に寝るなりなんなりするだろう。俺がどうこうする事はあるまい。


 なので、俺は特に何かを気にする事も無くリビングを後にした。




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