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「じゃあ、俺の行き付けの所に行ってみるか。前に行った時にまことに似合いそうなのがあったんだよな。」
テツおじさんの一声で行き先が決まった。
今日の服装は大きめサイズのパーカーにハーフパンツ。ごつめの生地で体のラインが全く出ない仕様です。本来なら膝上丈のパンツもサイズが合ってないから膝したまであり、服に着られてる感じが強い…鏡で改めて見ると小学生にしか見えませんでした。これはレンさんを怒れないね。
「サイズが合ってるだけでも大分印象が変わるよ♪」
とレンさんがパーカーとハーフパンツを着てみるようにすすめてくる。
サイズを聞かれてもお下がりばっかりで服なんて新しく買う事ないからわからないよ。
首を傾げているとテツおじさんに試着室まで連れていかれた。
「店長!こいつのサイズ測ってやって!」
奥のカウンターから髪の長いキレイなお姉さんがやってきた。
「テツくんの隠し子?!かわいいーわねえ。」
「かわいい事は認めるが、残念ながら俺の子じゃないんだな。まあ、測ってやってよ。」
店長さんは服の上からサッと計測してレンさんがすすめてきたセットを持ってきてくれた。
「これかコレぐらいだと思うんだけど、試しに着てみて。」
とウィンクしながら渡された。私が男の子なら惚れてそうな可愛さだ。
さて、着てはみたもののコレも何やら大きい気がする。主に横幅が。
さっきまで着てたのと比べてかなり薄い生地だからか、体のラインもしっかり見えてスッキリした感じはあるかな。
「着れたかな?入るわよー。」
返事をする前に店長さんが入ってきた。
「あらちょっと大きい……っ!?」
あれ?固まった?どうしたの?大丈夫かな?
動いたと思ったら肩をガシッと掴まれた。
「あなた、女の子だったのね!テツくーんちょっと!」
店長さんはテツおじさんに詰めよって何やら話し始めた様だ。
*****
「ちょっと、あの子女の子なのね!」
「だから、お前に頼んだんだよ。」
「先に言ってよねー。知ってたらちゃんと脱がせて測ったのにー。それに、さっき持ってきた服もメンズよ。レンちゃんも勘違いしてるんじゃないの?」
「そうか?」
「…まあ、いいわ。久しぶりにやりがいのある子だし、好きにしていいのよね?」
「まかせる。今から秋まで着れる様なのをいくつか頼めるか?」
「まかせといて!ついでに下着類も揃えちゃっていいわよねー」
店長は嬉々としてまことのいる試着室に戻っていった。