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「えっと…ここだけど。」
開いていた地図アプリを見せる。
「ん。…あ、ここ俺も今から行くとこだよ。こっち。」
と、まことの手を引いて歩き始めた。どうやら逆方向に進んでたみたいだ。
「…もしかして、君もテツさんに声掛けられたくち?あの人こんな子まで…」
「?お兄さんはテツおじさん知ってるの?」
「ああ、ここ俺のバイト先なんだ。」
「まじか。」
こんなに遠くまで来たのに、世間は狭い。
*****
テツおじさんは母さんの弟で32才、独身。最近何かの会社?を立ち上げたらしい。あんまり興味なかったから覚えてないけど。
そんなおじさんの事務所兼自宅に本日から居候させてもらう予定。しばらく会ってないけど昔は可愛がって貰った。兄さんと比べたりしないし、こんな私でも女の子扱いしてくれる珍しい人だ。
兄さんが9月から留学するのに母さんも付いていく事になった。父さんも海外赴任中だったので、最初は一緒に行くかと言われたんだけど断った。
音楽以外何にも出来ない兄さんには母さんが必要かもしれないけど私は1人でも大丈夫…そう思ってたんだけどな。
それを聞いたおじさんが女の子1人は危ないから、一緒に暮らそうって言ってくれた。
私が迷ってたら「最近仕事が忙しくなってきて家事出来ないから助けてくれ~っ!」って。電話ごしだけど、昔と変わらないおじさんは安心出来て頷いてしまった。
*****
「名前聞いていい?俺は蓮司。レンって呼んで。」
「あ、まことです。鈴木まこと。好きに呼んでください。」
レンさんは柔らかく微笑うな。始めも迷子だと思って聞いてくれたみたいだし、見た目はチャラいけど子ども好きないい人なんだろうなと思う。でも…
「あの、レンさん。手、離してくれませんかね。ちゃんと付いていけますので。」
初対面の女子の手を許可なく繋いで歩くのはどうかと思うのですよ。冷静を装おってますが、かなり動揺してるよ私。初手繋ぎがこんなイケメンとっ!?…表情は変わらないけどね。
「ん?」
小首を傾げて眉尻を下げて微笑んでも、ダメですよ。ちょっと可愛いって思ちゃったじゃん。
「だめ?」
「ダメですよ。レンさん絶対子ども扱いしてますよね。」
「ばれたか。まことちっちゃくってかわいいからさー。残念。」
やっぱりか。そんな事だろうと知ってたさ…私のトキメキ返せっ!