1-4 母の親友
「おや、ラエ・マグノリア。お前がここに来るとは珍しいな」
「おはようございます。Ms.サリー・ディンブラム学長」
彼女は僕が通う学園の学長のサリー・ディンブラム学長。
僕の母とは子供の頃からの親友でありライバルらしく、母キュリエスの事をキュースと呼んでいる。
そして今の世界一の魔法使いの称号を持つ人でもある。
「2人きりなんだからそう堅くなるな。キュースは元気か?」
「はい、母は変わりなく元気です。ただ…片腕のない生活は不便だーと言ってました」
「ふん、キュースらしいな。お前もキュースににて可愛い娘に育ったな」
いつものキリッとした学長の顔ではなく、優しく微笑む姿は自分の娘を愛でるような、そんな感じの顔をしていた。
父さんがいなくなってから、学長は自分をもう1人の母のように僕達を支えてくれた。
この学園に入ったのも学長がいたからだ。
母さんが学長の学園なら安心して預けられると、そう言って入学を許可してくれたのだ。
「さて、今日来たのは休学の事か?」
「えっ…なんでわかったんですか? 僕はまだ何も言ってないのに」
「キュースから使い魔を通じての連絡があってな。すぐに休学の手続きを取れるようにとな」
「母がですか…」
まさかあのおっとり母さんがそこまでしていてくれるとは思っていなかった。
ちゃんと母親としてしっかりとしてたんだなぁ…帰ったらちゃんお礼をしないと
「気をつけて行くんだぞ。…お前がその能力を授かったのにはあいつが関係しているかもしれないからな」
「あいつ…ですか?」
学長がボソッと呟いたあいつという言葉が引っ掛かった。
しかして学長は何かを知っているのかな…?
「あー…いや、気にするな。きっと私の気のせいだ。さぁ、そろそろ教室に戻れ。昼休みが始まるぞ」
「あっはい、それでは失礼します」
「……あいつは今更…何を考えているんだ…」
学長室の扉を閉める時にボソッと小さな声で学長が何かを呟いていたのが聞こえた、学長のいうあいつとは一体誰のこと何だろうか…
気にしていても仕方が無いので、学長室から教室へと戻った