1-3 家族
何の変哲もない朝、カーテンを開けると雲一つない青い空とチュンチュンと鳴く小鳥達。何の異常もない、普通の朝…なんだけども、普通じゃないのが一つだけ
僕にチート能力が授けられたという事
昨日は神様にボロクソに文句を言ったあと、家に返してもらった
母さん達に心配をかけるわけにもいかないし、学校を休むわけにもいかないからだ
正直なところ、まだ自分にチート能力があるなんて信じられない、特に力が溢れてくる感じがするわけでもなく今までと変わらない、魔法はまだ使ってはいない、制御ができないのではないかという不安もあり街の中で使うのは怖いのだ
「姉さん」
コンコンとノックが聞こえたと思ったら私の返事を待たずにガチャッとすぐに扉が開いた。扉の前には太陽の光に照らされてキラキラと光る金色の髪に透き通る程に綺麗な青い瞳の僕の事を姉さんと呼ぶ少年、弟のルエが立っていた
「いつまで寝てるんですか?早く降りて来てください。母さんが心配してますよ」
ルエは、僕の事を女と認識していないのか、普通に部屋をノックせずに入ってくる
着替え中でも何事も無かったかのように平然としているが思春期の男の子がそんなんでいいのかと姉としては心配になる
「…あぁ、ごめん。今行くよ」
そう答えるとルエは扉を閉め先に下に降りていった。僕は寝巻きから制服に着替え、1階のリビングへと降りていくと朝食のいい匂いが
「ふむ、この匂いはカリカリに焼いたベーコンに黄身が半熟の目玉焼きだね!!」
「せいか〜い! そんなお姉ちゃんには目玉焼きサービスよ〜」
「やったーー!」
おっとりとした話し方のこの女性は僕の母親であり、魔術の師匠でもあるキュリエス。自分の母親ではあるが、女性でも見とれるほど綺麗だ
透き通っているかのように綺麗なエメラルド色の足まで長い髪の毛に、弟と同じ青い瞳。そして顔が整っていて魔術の天才でもあり、小さい頃からモテていたらしい。母さんの友人から聞いた話だけど、学生時代は他校からもファンが毎日集まるくらいに人気があったそうな。だから父さんと結婚した時は街中の男達が号泣したらしい
「ふふふ、ラエちゃんの予想は百発百中ね〜」
「百発百中って…そりゃ毎週出るものが決まってれば簡単に当てれるに決まってますよ…」
「あら、ルエくんったら〜ちゃんと毎日違うもの出してるじゃない〜!」
ルエの発言にぷくーっと母さんはほっぺを膨らまし、ポコポコとルエの背中を叩いている。本人は全力でやってるつもりみたいだけど、ルエには全く効いてないようだ
「母さん力だけは弱いんだからやめときなよ」
「ラエちゃんまで〜! 二人共お母さんをいじめて〜!いいもん! 魔力は家族の中で一番だもん〜」
「そりゃあ世界一に"なれるところまでいった"魔術師になんて勝てるわけないじゃないですか」
「それは言わないでって言ってるでしょ〜!」
母さんは世界一の魔術師になれるところにまでいた。だけど、不慮の事故で片腕を失ってしまい両手を使う魔法が出来なくなってしまったのだ
そのせいで世界一の魔術師の称号を取れずに帰ってきたらしい。本人はそこまで気にしてる訳では無いみたいだけど…
「あっそうだ母さん」
「なぁに? ラエちゃん」
残りのパンをモグモグと食べ終え、真剣差を伝えるために普段あまりしない真面目な表情で母さんを見つめた
「僕、旅に出たいんだけど」
突然の言葉に母さんとルエは、時間が止まったかのように固まってしまった
のそのそと遅い更新ですみません。
これからものんびりとやっていくつもりなので更新は遅いと思いますが、よろしくお願いします。