1-2 チート能力授けます
「あんた今なんて言った?」
「だから、チート能力を授けると言ったんじゃ」
「………そんなのいらない」
僕の言葉に神様は呆気にとられた顔をしていた、神様にとったら予想外の答えだったのだろう。どうしたらいいのかわからないのかずっと口をパクパクさせている
「神様なら知ってると思ってたよ、僕はチート能力が大っ嫌いなんだ。自分の努力以外で手に入れた力なんて僕は認めない!!」
僕がチート能力が嫌いな理由は、父さんせいだ。小さい頃に父さんはチート能力を手に入れたからといって訓練をしなくなった。ずーっと家で怠けてだらだらと暮らしていた。僕も母さんも父さんが汗だくになって訓練をしている姿が好きだったのに、その日から見ることはなくなった。
そして数年後に父さんは突然、家族を捨ててどこかに消えてしまった。僕や母さん達をおいて…最初の頃は毎日いろんな人に聞きまわって父さんを探した。だけど何一つ情報は入ってこなかった。きっとどこかの街であの力を使って英雄にでもなっているのではないか、と
「お主の過去は知ってはいる。だがそんな事わしには関係のない…ぷげらっ!?」
つまらなさそうな顔をしながら鼻をほじっている神様に僕は遠慮なく鉄拳を顔面にくらわせた。思っていたよりも神様は遠くに飛んでいってしまった、ちょっと力加減間違えたかな…まぁ神様だし、無事だろうからいいか
「おっお主何をするんじゃ! わしが神様じゃなかったら一発KOじゃぞ!?」
「ピンピンしてるんだからそんな細かい事気にしなーい気にしなーい。というか神様が悪いんだろ!」
「わし何もしてないじゃろ!?」
ギャーギャー二人で一時間くらい言い争いをしていた。お互いに疲れ果ててゼーハーゼーハーと息を切らして地面に倒れた
なんでこんな爺と子供みたいにあほな事で口喧嘩をしているのだろうと我に返るが、なんだかもうどうでもいいや…何を考えるのもめんどくさくなってくる
「はぁ…はぁ…ひっ久々に人間と言い争いをしたわい…」
「…あれっ? ねぇ手に持ってた光の玉は?」
「そんなの手にもって…あれええええええ!? どこに消えたんじゃ!?」
「ちょっとぉ!? あれチート能力の塊なんでしょ!?」
「そうじゃよ! お主に押しつけ……あげようと思っていたのにどこに転がっていったんじゃ!?」
「おい、いま押しつけようって言おうとしてたよな!?」
「気のせいじゃよ? 優しい神様が好意であげようとして…あっ」
「?どうしたのいきなり固まって…!?」
自分の胸元を見てみると何故かそこだけキラキラと光輝いていた。もしかしてと思い、神様を見ると…
「すまん、お主にチート能力が入っちゃったみたいじゃ…」
「ふっ…ふざけんなああああああああああ!!!!」