1-1 ラエと神様
はじめまして皆さん、僕の名前はラエ
一人称は僕だけども、これでも一応女だ
母親譲りの綺麗なエメラルドのような色で腰までのロングヘアー
父親譲りのワインレッドのような瞳にツリ目
特に美少女というわけでもなく、普通の顔をした剣術や魔法を習う学校に通う普通の学生だ
授業を受けて、訓練をして、部屋に戻りシャワーを浴びて寝るいつも通りの日常を過ごす…はずだった
はずだった
「ここ…どこだよおおおおおお!!!!」
目が覚めると僕は部屋ではなく、違う場所にいた
透き通るほど綺麗な湖があり、その真ん中には馬鹿でかい大樹とてっぺんハゲの爺が立っていた
「誰が爺じゃ!! あとてっぺんハゲ言うでない!!」
「うわっ喋った…ていうかセリフ以外の文を読まないでくださーい」
「ふん、わしは神様じゃから何をしてもいいんじゃよ」
自称神を名乗る爺が、ふふんとドヤ顔をしながら顎に生えている白い髭を撫でている。というか、いつの間に近くに来たんだろうか…それに神様と言えば、もっとキラキラしていてて神様オーラが見るだけで溢れている人じゃないのか?それにこの人は神様というよりは仙人の方があってると思うけど…
「本当失礼な小娘じゃな!? せっかくお主にいいものを授けようと思っていたのに」
「えっいいものってなになに? 早く頂戴よ神様」
「態度変わるの早すぎじゃろ!?」
「そんなことないですよ、さぁ早く僕にいいものをよこしやがれください」
そういうと神様はぶつぶつと文句を言いながらも手にキラキラと光った丸い玉のような物を出した。これがいいものなのだろうか?ただの丸い玉にしか見えないし、何かを詰め込んでいるとか?
そんな事を考えていると、神様がコホンと咳払いをし、キリッと真面目な表情で話し始めた
「よいか、ラエ。お主は普段から真面目に勉学に励み、力を得ている。それはこの街の者達もちゃーんとわかっておる」
「はぁ…でもそれは僕が学生だからであって普通の事だし…」
「まぁまて、最後までちゃんと話を聞くのじゃ、確かに学生じゃから勉学に励むのは普通じゃ。だがな、お主は他の者よりも人一倍頑張っておる」
誰かに褒めて欲しくて頑張っていたわけじゃない、ただ"強くなりたい"それだけだった
だからこうして神様や街の皆にその努力を知ってもらえていたというだけでも嬉しい。誰も僕が努力している事を知らないと思っていたから…
僕がそう思っているのを察したのか、神様は先程までの真面目な顔と違い優しい顔で僕の頭をポンポンと撫でた
これが若くて高身長で髪の毛がふさふさのイケメンか金髪さらさらロングでボインな美女とかだったらもっと喜べたんだけどなぁ…
「お主を慰めようと思ったわしが馬鹿じゃったわい!!」
「ごめんごめん、本音だから許して」
「許せるわけなかろう?! …それはおいといて、わしからお主の頑張りを讃え、力を授けよう」
「力?」
「そうじゃ、お主が欲しておるもの、それは強さじゃろ?だから力を授けるのじゃ。いわゆる"チート能力"というやつじゃな」
「……は?」