カップルの日常〜出前編〜
「ねー、お腹すいた」
「夕食どうする?」
「んー」
「外食かそれとも作ってくれる?もしくは出前?」
人というものはホントに望むことを2番目に置くらしい。
さらに付け足すと、望むことは最初と最後は人の心理的に置きにくいらしい。
「出前にしよー」
俺の希望通りにはならなかったみたいだ。
彼女の気が向いたときに作ってもらおうじゃないか。
「わかった。中華の出前でいい?」
「うん!」
出前になったら馬鹿の一つ覚えのように中華だ。
1度外食しに行って、おいしくて出前をしていることを知ってから、店には行かずに出前をしている。
お互いに出不精だからね。
「何食べようか?」
と、スマホでメニューを見せる。
「とりあえず特製炒飯だねー」
「他にも食べたいから1つにしようか」
「あと、小エビの天ぷら!」
「うん、いつものだね」
「あ!友達が味噌ラーメンおいしいって言ってた!」
「お、じゃあ食べてみようか」
という感じで話しながらメニューを決めていく。
元々、中華は好きじゃないと言っていたけれど、好物は結構あるらしい。
しかし、酢豚やチンジャオロースは好きではないと言っている。
「私は欲しいのはもうないから、決めていいよー」
「んー、餃子はどう?」
「いいよー!」
「スープもの結構あるなー。ワンタンスープうまそうじゃない?」
「うん、食べよー!」
「もしもし、出前お願いします。………」
2人でメニュー決める時間は結構楽しい。
俺は中華全般が好きだから、彼女に合わせる形だけどね。
外食する時も移動中にこれ食べようねとか話していても、店に着くと忘れちゃうんだよね。
そして、満腹になったときに思い出すというね。
次きた時は、絶対に食べようねーなんて話したなー。
だいたい外食する時は焼肉の食べ放題だけどね。
彼女が肉食系女子(物理)だからね!
テレビを見ているとチャイムがなった。
「はい」
「出前でーす!」
出前が来たので、料理を受け取った。
しかし、数が多いので一度じゃ持って行けそうにない。
すると、彼女が部屋の奥から出てきた。
「私も運ぶー」
2人で手分けして運ぶ。
食器が熱いのは俺が運んで、彼女はそれ以外を運ぶ。
「これ、中間地点が必要だぞ!」
「え?どういうこと?」
「テーブルまで持っていくのに手が持たない」
「なるほど」
まるでマリオのように中間地点を設定して、そこまでアツアツの食器を持って行き、やけどしそうな手を休める。
少し休ませた後、意気込んでテーブルまで持って行こうとしていると、
「タオル使えばいいじゃん」
と、彼女の声。
「確かに」
鶴の一声により、簡単に食器を運ぶことができた。
2人、隣に座り一緒に同じ言葉を発する。
「「いただきます」」
おいしいねー、とか
熱い!、とか
時折、見つめ合いつつ言い合いつつ食べる。
ポトッ
「ねぇ、床に落とした」
「き、気のせいだよー」
「ホントに食べ方汚いよねー」
罵倒された。
正直、嫌いじゃない。
でもMじゃないぞ。
決してMではない。
何度も言うけど違うからな。
いつでも見ていてくれているんだなーって思ってるだけ。
「もう、お腹いっぱい」
と、彼女がお腹をさすりながら言う。
「俺もそろそろ食べられないわ」
でも、テーブル上には料理が残っている食器が置いてある。
つまり、お残しをしているわけだ。
中華って多くの種類を食べたくなっちゃうから、全部食べきる前にお腹いっぱいになっちゃうんだよね。
「残りは朝ごはんに食べようか」
「そうしよー」
と、明日の朝ごはんが決まる。
とりあえず、残っている料理を家の食器に移した。
中華屋の店員に言われた通り、玄関に食器を置きに行っている時、ふと思い出したかのように呟く。
「次の出前ではオムライスを頼もう」
すぐに来るであろう日を妄想して、彼女が待つ部屋に戻る。
好きな人と食べるご飯は、何割増にも美味しく感じると思います。
中華屋のオムライスっておいしいんですかね?