ダンジョンから出かけます
都合上、「ダンジョンを作ります」の最後の方にある数値を変更しました。
収支表をつけたので、今までのぶんも合わせて表示してみる。
貯蓄DP六八〇〇万
初日 五〇万+九〇×三=三二〇万
二日目以降 九〇万×八×九
拡張&整備:DP一四二三万八〇〇〇
拡張 第一層 四〇×四〇×一〇〇=一六万
第二層 八〇×八〇×二〇〇=一二八万
第三層 一六〇×一六〇×四〇〇=一〇二四万
コア室 一〇×一〇×一〇=一〇〇〇
整備 DP五〇×一六〇〇=八万 草原 DP一万
天候(一層) DP一〇万×三=三〇万
天候維持(月間) DP一〇〇〇×三×一二=三万六〇〇〇
自動修復(月間) DP一一六万八〇〇〇
トラップ:DP一八万八三〇〇
落とし穴(小・設定可)×8 落とし穴(小)×42 落とし穴(大・設定可)×2
DP二〇〇×八+一〇〇×四二+五〇〇〇×二=一万五八〇〇
転移(設定可)×3 転移×10 開閉扉(大・設定可)×2 警報×13
DP二万×三+一万×一〇+三〇〇〇×二+五〇〇×一三=一七万二五〇〇
生活物資:三〇二〇万五〇〇〇
食料(和食) DP一〇〇〇×三×九=二万七〇〇〇
衣類(浴衣&ラフ) DP一〇〇〇×三+五〇〇〇×三=一万八〇〇〇
建造物(木造旅館) DP五〇×五〇×一〇×一〇〇〇=二五〇〇万
温泉 DP一〇×一〇×一〇〇〇=一〇万
自動修復(月間・建造物のみ) DP二五〇万
自動浄化(月間・温泉・建造物のみ) DP二五一万
光熱費 DP五〇〇〇×五=二万五〇〇〇
水道代 DP五〇〇〇×五=二万五〇〇〇
防衛用魔物:DP三六万三〇〇〇
スライム ×10 ゴブリン ×5 オーク×5
コボルト×5 ケトッシー ×5
DP一〇〇〇〇×三〇=三〇万
ミノタウロス ×1 ケンタウロス ×1 リザードマン ×1
アラクネ ×1 ラミア ×1 ハーピー ×1
DP五万×六=三万
維持(月間) DP三万三〇〇〇
訓練用魔物:DP六二〇万
下級ドラゴン 五×一〇万×七=三五〇万
中級ドラゴン 一×三〇万×九=二七〇万
遠征用物資:DP四一一万四〇〇〇
ミニHPポーション ×10 ミニSPポーション ×10
DP一五〇〇+一五〇〇=三〇〇〇
毒ポーション ×10 麻痺ポーション ×10
DP 一〇〇〇+一〇〇〇=二〇〇〇
リュック ×1 水筒 ×1 寝袋 ×1 テント×1
DP五〇〇〇+三〇〇〇+八五〇〇+九五〇〇=二万六〇〇〇
金貨 ×3 銀貨 ×5 銅貨 ×7 鉄貨 ×9
DP三万+二万五〇〇〇+二万一〇〇〇+九〇〇〇=八万五〇〇〇
封殺の枷 DP一〇〇万×四=四〇〇万
使用DP 五一六〇万六七〇〇 残存DP 一六三九万三三〇〇
………………とまあ、気の遠くなる数字になった。SPの回復速度を利用して、色々と遊んでみたわけだ。
さてと、気を取り直してダンジョンの説明に入らせてもらおう。
ある程度の広さを確保したのは、拠点の要であるダンジョンコアを守るためだ。いくら魔物たちがいるとはいえ、せっかく育てた魔物たちを簡単に死なせるつもりはない。
複雑に入り組んだ通路で侵入者を阻み、落とし穴や転移などのトラップで攪乱を起こす。まあ、細々とした設定については省かせてもらおう。
ちなみに、おれが居住スペースとして利用しているのは第三層に設置した旅館だ。なんというのか、元日本人としては抗えない魅力があったので、衝動的に建ててしまった。
ついでに、階層の説明もしておくか。一階層は迷宮となっており、ここが基本的な防衛層だ。二階層は一面に広がる草原で、特に防衛的な意味は無い。三階層なんかは、広いだけの空間に過ぎない。
あと、防衛の段階についても説明させてもらおう。といっても、この段階は二つしか存在しない。
まずは、初期防衛だ。侵入者を知らせる警報と同時に、自動トラップを待機状態になる。ここで重要なのは、相手が小隊か集団かで違ってくるということだ。
この違いについては省いておいて、次に中期防衛だ。魔物の小隊あるいは単体を投入し、各個撃破や挟み撃ちを行う。この段階においては、おれ自身が出る可能性もある。
最後に、終期防衛。すべての魔物を投入し、おれ自身も出る。まあ、さくまで最終手段なわけだ。
あくまでも、この三つの段階は一階層のみで行う。つまり、一階層が最終防衛線と定めている。
「――と、ここまでの説明でわからないことはあるか?」
現在、おれは出かけるにあたって魔物たちに説明を行っている。いくら知能が高いとはいえ、好き勝手に動かれて死なれるのは困るからだ。
まあ、下級とはいえドラゴンを倒せる小隊が五つもあるから、そう簡単に死ぬことはないだろうけどな。
「主、俺から聞いてもいいだろうか?」
「いいぞ、レイク」
今、挙手したのはリザードマンだ。レイクというのは、種族名だと味気ないので付けた名前である。
「この防衛段階だと、主がダンジョンにいることが前提であるようだ。しかし、主が不在の時は?」
重々しい喋り方はやめてほしいんだが、言っても無駄なのはここ数日で理解している。……と、それよりも質問に答えないとな。
「それについては、当面は考えていない。警報によって侵入者の知らせは届くから、出先から戻って指揮監督するつもりだ」
「んだぁ、俺たちじゃ頼りないってことかぁ?」
不満を漏らしたのは、ミノタウロスのトドロキだ。ヒビキという候補もあったんだが、女性の名前にも聞こえるのでやめた。
やや喧嘩腰のようにも聞こえる口調だが、これは方言の訛りみたいなものだ。
「そういうわけじゃないよ。ただ、せっかく育ってきたから死なれたくないだけなんだ」
「あら? マスターは、私たちのことを心配してくれるの? お姉さんたちは、そんなにヤワじゃないから安心しなさい」
「ふふふ、いい男に心配されるのは気分がいいねっ♪」
アラクネのツムギとラミアのニーナが茶々を入れて来た。こいつらは上半身が女体であるため、耐性の無いおれを事ある毎にからかってくる。
本当、世間話するだけでも疲れる相手だ。まあ、釣り合いが取れて丁度いいんだけどな。
「……いい加減にしろ。主を困らせるな」
「あら、ハヤテったら自分がモテないからって僻んでるのかしら?」
「あんたみたいな不愛想じゃ、ダメダメなの♪」
ケンタウロスのハヤテが、おれに味方してくれた。また、こいつには苦労をかけてしまっている。
ハヤテは、この中ではレイクと同じぐらい良識がある魔物。違いと言えば、纏う雰囲気と寡黙なことくらいだ。
「ふわあぁ、トーイく~ん。もう行ってもい~い?」
「まだだ。っていうか、ちゃんと話は聞いてたか?」
「う~ん、聞いてたよ~。半分ぐらいは~」
あくびと眠たげな声は、ハーピーであるフィーリのものだ。他の女性陣とは違って、かなり幼い印象を受ける。
しかし、戦闘などにおいては活発で遊戯のように楽しむ戦闘狂。その表情はR指定されそうなほど艶めかしい。
「っていうか、おれが指揮を執るのが通常だ。今のところは、侵入してくる者たちについての情報収集を優先する」
おれが外に出かける目的は三つある。
まず、国家間の情勢を知ること。これ次第によって、ダンジョンのことを広めるかどうかが決まる。
次に、侵入してくる者たちの情報収集。まあ、要は平均的な技量の確認だ。
最後に、ダンジョンの情報を広めること。これと同時に、駄のつく女神の名前を広める。
まあ、広める前に侵入して来てくれるなら大歓迎なんだがな。そう都合よく事が動くわけがない。
「おれにも色々と事情があるんだよ。だから、不満があっても今のうちは我慢してくれ」
顔の前で手を合わせ、拝むように言うとは渋々と納得してくれた。根はいいやつなので、ちゃんと説明してやれば理解してくれる。
「というわけで、おれは三日ぐらい留守にする。でも、侵入者の警報が鳴ったら戻ってくるから安心してくれ。あと、サバイバルゲームとバトルロワイヤルの訓練は欠かさず行うこと。いいな?」
「「「了解(です、だぁ、した、~、♪)」」」
……少し不安だが、誓約がある以上は厳守してくれるだろう。
れっきとしたダンジョンマスターのはずだが、やっぱり柄じゃないと思う今日この頃である。
たとえるなら渦巻く風や噴き上がる水。そんな輝きに包まれ、ダンジョンの外へ出た。
先日、ダンジョンの外に出て離れた場所に《マーキングアンカー》のスキルを使用した地点だ。
「疾走、仙歩を並列して発動」
装備品のスキルを発動させ、魔法陣が展開して羽が舞い散る。それを視認し、深呼吸の後に地面を蹴った。
一瞬だけ視界が歪むが、すぐに速度へ適応する。
SPが残存する限り、スキルは持続されることは確認済みだ。
「付与魔法:ヘイスト、アクセルを並列発動」
さらに、付与魔法による強化を重ねて加速してみた。ヘイストは反応速度をアクセルは行動速度を上昇させる魔法だ。
元々のステータスもあり、かなりの速度で走っているせいか暴風が茂みを揺らしてしならせる。
途中で魔物が視界に入ったので踏みつけていく。しかし、それでHPバーが吹き飛ぶことはなかった。
その理由は、〈封殺の枷〉を両腕と両脚に装着していることにある。合計四つでおれのステータスは十六分の一。
とはいえ、スキルの重ねがけをすれば普段以上に速い。このペースなら、半日もあれば街に到着するだろう。
今回は数値を考えるのに一苦労しました。でも、あきらめません!