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一日二日一話

13/12/19 人間裁判

作者: 熊と塩

 まずわたしからいいですか、と手を上げたのはヒツジさんだった。

「あなたが着てるソレ、綿じゃあないですよね。絹ですか?」

「いえ、ウールです」

「ほらご覧なさい。あなたはわたし達が居なければまともに暖も取れない。自分が温かくなる為に一体どれだけをスケープゴートにしてきたか。しまいには『猫を被る』とまで言い出す始末……恥を知るべきよ」

「はあ、しかし」

 言い返そうとするヒトさんだったが、ニワトリさんとカイコさんと、その他いくらかの動物達に睨まれて、黙った。

「よって有罪に票を投じます」

 わあ、と歓声と拍手が上がった。


 では次はワタクシが、とヘビさんが鎌首を持ち上げた。

「どうぞどうぞ」

「えー、ゴホン。あなた、ヒトさんは器用な手がご自慢の様ですが、それは違うと思いますね。ワタクシをご覧なさい。これでもけっこうな速さで走れるし、木登りも出来れば泳ぎもするんですよ。無い者に出来る事の何が自慢なんです」

「はあ」

「大体、何も出来ない事をして『手も足も出ない』とは何です。腹を使いなさい、腹を」

「いや、しかし」

「よって有罪でしょう」

 また、わあ、と盛り上がった。


 無いと言えば、と切り出したのはモグラさんだ。

「ぼくには目がありません。いや、あるにはあるんですが、無いのと同じというか、殆ど機能していないと言うか」

「大丈夫、解るぜ。落ち着いて」

 コウモリさんが励まし、深海魚のみんながうんうんと真剣な面持ちで頷いた。

「何だか、とても侮辱されている気がするんです。何かに夢中になると『目が無い』とか、注意する事を『目を付ける』とか、あんまりだ。『一目置く』だなんて、ぼくみたいな者を蔑むなんて。酷すぎる」

「いや、それは」

「よってぼくも有罪だと思います」

 コウモリさんに煽動されて大喝采が起きた。


 自分もいいスか、とひらひら手を上げたのはサルさんだった。

「自分、正直なところヒトさんに憧れてたんスよ。だってヒトさんと自分ら、似てるじゃないスか」

「そりゃ、君な」

「でも、よくよく調べてみりゃ、ヒトさんって自分らの後輩だったんスよね。ずっと先輩だと思ってきたけど。なのにやれ『猿真似』だやれ『猿芝居』だ言って、バカにしてんスよね。自分、許せねーなって思いました」

 それから、と言って一冊の本を取り上げた。

「これ、何なんスかね。『サルでもわかる』って何スか? どんだけバカにしてんだよっつー話スよね。アンタだってサルの癖に!」

 サルさんの怒号に釣られて騒然となった。

「……だから自分も有罪だと思うス」


 ヒトさんの罪があらかた出そろって、いよいよ判決が下されようとしていた。

 最終弁論を求められたヒトさんは黙っていた。取り囲んだ動物達は唾を飲んだ。

「おれから言う事は何も無い」

 絞り出す様な声で漸く呟くと、裁判長のライオンさんが木槌を振り上げた。

「では被告に判決を言い渡す」

「だが!」

 ヒトさんはポケットから何かをさっと取り出して、高々と掲げた。

「ああ、そ、それは」

 ヒツジさんが悲鳴を上げた。バリカンである。

「ヒィ!」

 ヘビさんがのたうった。槍である。

「うわぁ、やめて!」

 モグラさんが逃げ惑って壁にぶつかった。水道ホースである。

「げぇ、それだけは勘弁を!」

 サルさんが両手を合わせて平伏した。ライフル銃である。

「お前らがおれを裁こうなんて二十万年も早いぞ。これがおれ達ヒトの知性だ。どけ、道を空けろカスども」

 ライフル銃を乱射し戦車に跨がって、ヒトさんは逃亡していった。

 動物達は怯えて震え上がっていた。


 そして時は流れて幾百年、棚上げにされていた評決が下った。

一日二日一話・第八話。

ゴメンほんとに何も思い付かなかった。


圧倒的低クオリティを誇りかつ日付に嘘があるという酷い有様。

明日以降頑張る。

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