victim 〜計画〜
今回この国の謎が明らかにされます
これを読まれると多分、皇女に怒り破裂になるのでは?というか個人的に怒って欲しいです
とりあえず憎みたっぷりで今回の作品、一人を書きました・・誰のことかは後書きで・・って読んじゃえば
かなりはっきりしますね。最後の梨音と海音の会話はこれからの(というか次話の)序章っぽくなってます
でわでわお楽しみください
victim 〜計画〜
いつの日か消えない傷が消えたとしたら?
いつの日か消える前に身体を失うのでしょう
あぁ間違えた全てに烈火の炎を
あぁ犠牲になった全てに真白な花束を
高い位置にいる者に
不幸は一生わからない
高い位置の人間が言う言葉は
無意味に凡人を殺すだけ
本当に必要な人間は凡人だけ
クダラナイ血筋の王家の奴らは
巣の無い烏の餌になってしまえばいい
自分が人間だということすら忘れ
ただ愉快にノウノウと生きてる奴等
あぁ万民に声援を
あぁ王族に罵声を
いつか消えるこの生命を
なぜ無意味な王族に渡さなければならないのだろう
――――今から200年以上も前の話
「なぜだ?なぜ私を愛さぬ?」
「・・・申し訳ありません・・・」
「なぜだ?碎槻・・。私を愛せば全てが手に入るのだぞ」
「・・・お断りいたします・・杞空さま」
「なぜだ理由を述べよ」
金髪のその女は烈火の如く怒りながら、自分に跪く茶髪の青年に問答をしていた。まるで彼女の心を表わすかのような朱の絨毯の上で
「・・・それは」
「それはなんだ!?」
「・・・」
「おぬしまさか儂以外に特別な女がいるではないだろうな・・」
自分よりも身の丈があるその男に駆け寄り、男の胸倉を掴みながらそう問いかけた。まるで子羊を相手にした獅子のように脅すかのように
男は女から瞳を逸らすとまるでそうだと認めるように女を見つめた
「そうなのだな・・・」
その言葉に男は頷き、女は踵返しのように男を背にして、二人の周りにいた臣下達に向けてこう言い放った
「皆の者!この国で美しい男に愛される女は儂だけで良いのだ。いいか皆の者!この国の女を全て不幸にし男から愛されぬようにするのだ!」
「―――――!!!」
「この国の儂以外の女は・・・・男尊女卑にしひとつも自由をあげてはならぬ」
「・・・・というと皇女さま?」
「食べ物をあげてはならぬ。家を与えてはならぬ。男を愛してはならぬ。勉学を教えてはならぬ。男を神のように称えなければならない」
「しかしそうなると・・紫泉慶は・・?」
紫泉だと・・・・。15になれば国の美しい女は強引に拉致され管理直属の組織に入らなければいけない・・・することはただ一つ。優秀な官吏に46時中求められるだけ身体を渡さなければならない。男尊女卑にし女が死んでいったらこの組織はどうなるのだ・・・?ならば儂の願いも政府の願いも通すには
「勝手に拉致すればよかろう・・・・。向こうに連れて行ってから全てを教え込めればよかろう」
「全て・・・?」
「言語やマナー、自分のやるべき仕事をだ」
「しかしそんなことになったら国中の男達は汚れた喋れぬ人形に欲求を果たせねばならないのですか?」
「そんな男の精神は女の儂にわかるわけがなかろう・・男の欲なんぞ勝手にすればよかろう」
「・・・わかりました。詳しい法の制定についてはまた・・」
そう言って、臣下達は去って行った。しかし広い王の間に残された皇女である杞空と碎槻・・・。そして皇女は男にこう言い放ち出て行った
「この国の女が不幸になるのは全ておぬし所為だ!今更おぬしがどう足掻こうとも結果は変わらぬ」
それから3月という早い速さで法は制定し、職を持っていた女も勉学に勤しんでいた女も全て追い出され路上で生きるはめになったのである
僅かに生きる手段は空からの恵み。雨水だけだった・・最初は恥を恐れて飲まず食わずだった女達もだんたん細くなる自らの身体を見て、恥を捨て大口を開け空からの恵みを飲んでいた
法にはさまざまなものがあった。子を産んだ時点で女は子を男に渡し路上で生活しなければならなかった・・・だからこの国には父子家庭しか存在しなかった。他に男は自由に働き女を好きに遊んでいいという・・・・。その法は杞空がこの世を去っても変わろうとはしなかった
「わかった・・・?」
「まぁ」
「聞きたいことあったら言ってよ?」
「じゃあなんで女達は暴動を起こそうとか他国からの来賓はどうも思わないんだ?」
「暴動を起こさないんじゃなくて起こせないのよ。だって彼女達は知能が零なんだから・・彼女が知ってると言えば雨水を飲めば多少は生きながらえるってことくらいよ。他国の来賓の時は紫泉の女達に出迎えさせればいいんだから・・・・わかった?」
「うん」
「10の子には難しかった?」
「うん・・・この国には馬鹿しかいないってことがね」
「間違いじゃないわね」
「・・・僕にはそれ以上に謎なことあるんだけど」
「何よ?」
「良春は?」
「それが最近あんまりここ来ないのよね」
「・・・仕事忙しいの?」
「そうなんじゃない?」
「ほんとに・・?」
「何よほんとに?って」
「意外と浮気されたりして」
「あいつがあたしとあんたを捨てたら」
「捨てたら?」
「あたしはあいつを殺すかもしれないわね」
えっと・・・普通に憎みたっぷりで書いたのは杞空です。これからも私の王族系嫌いがこういうところで暴発してしまいます・・・。えぇこれからも海音編になればもっと悪化していきます
次話ではこの一家が大変なことに・・・