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2. Grandfather (side Jun)

お祖父ちゃん、潤視点のお話です。




「は、初めまして、グランパ・・・いえ、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん。朱里です」


空港で再会した孫に『お祖父ちゃん』と言われて感動する。


もう一人の孫の蒼司は小さい頃から『お爺様』と畏まった言い方をするし、朱里にこの前会ったのは十年も前で、その時は『グランパ』と呼ばれていた。


まだ幼くて、日本語が不慣れだったせいだろう。


あの頃に比べたら・・・随分と背が高くなった。


ふと、和晴君の言っていた『どちらかと言えば岡村に似ている様な気がする』の言葉がチラリと頭を掠める。


いやいや、私達を前にして、恥ずかしそうに微笑む朱里は、あんな無愛想で無口な男なんかには似ていない!


まだ高校生だった緋菜を誑かして結婚し、遠いアメリカまで連れ去ってしまう様な男なんかには!


いやいやいや、もうあの事は許した過去だ。


こんなに可愛い孫を齎してくれだだから。


それに、私達を信頼して朱里を預けたいと言ってくれたのだし。


「待ってたよ、朱里。長いフライトで疲れただろう?家でゆっくり話をしよう」


車に案内すると、酷く驚いていた。


もしかして、岡村君は朱里に何も話していないのか?


あの男らしいが。


「わぁ、ホントに車が逆を走ってる!」


車が走り出すと、朱里は走行車線が左側なのが珍しいらしく、アメリカとの違いに違和感を感じて窓の外を見て感心している。


物心が付く前から、ずっと向こうで暮らしていたのだから、慣れない事も多いのだと思う。


出来るだけフォローしてあげられたらと思う。


やっぱり女の子は可愛い。


特に朱里は緋菜によく似て、素直な反応を見せてくれる。


蒼司は、男の子だからか?それとも高校生になってから手元に来た所為か?あまり子供らしい所を見せない。


小さい頃は葵によく似ていたのに、成長すると和晴君によく似て来て・・・男の子だから父親に似るのは当然かもしれないが。


時々、父親に向かって乱暴な言葉を使っている処も見るし、流石に私達に向かって暴言を吐いたりはしないが、そんな処も和晴君に似ている気がする。


まあ、父親とは違って、私の跡を継いでくれるつもりがある様なので安心しているが。


蒼司のあの性格は法曹界より経済界に向いている気もするし。


優秀だし、大学に入ってからは一人暮らしを始めてしまっても泣きつく様な事はしてこないし、跡取りとしては頼もしいが、孫としては少し可愛げが足りない。


贅沢な悩みだと解ってはいるが。


朱里は女の子だから、大学に入っても家から通わせたいし、何れは相応しい相手も探してあげたい。


岡村君は嫌な顔をするかもしれないが、日本の学校に通わせる気になったのなら、朱里がこちらで就職する事や、結婚する事になるかもしれない事を覚悟している筈だと思う。


娘を持った父親の辛さを、岡村君もこれから味わう事になるだろう。






表の2話の裏側です。

こんな感じで進んで行きます。


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