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10. Summer School (side Hirasawa)


朱里のクラスの担任、平沢先生視点です。





「今回の編入生は平沢先生の一年月組に編入して貰いますので宜しくお願いしますね」


校長のヤツ、あっさり言ってくれるぜ、チクショウめ。


帰国子女だなんて、厄介な存在でしかないだろうが。


それをまだ新米の俺に担当しろだと?


あ~あ、生徒が少ないクラスで少しでも楽が出来ると思ってたのが拙かったぜ。


まさか学年の途中で『編入生』だなんて落とし穴があるとはな。


「岡村さんは帰国子女ですから、編入試験の成績には問題がありませんでしたが、一刻も早くこの学校のやり方に慣れて頂く為にも、夏期講習に参加して頂けるように声を掛けてみてはいかがでしょうか?」


教頭からもプレッシャーかよ!


確かに、制限時間を半分以上も早く問題を解き終わってた様だし、正解率も悪くなかったが、今までいた学校とはやり方も進み方も全然違うだろうから、夏期講習に参加するのはイイ考えだと思う。


思うが、俺が連絡すんのかよ。


面倒くせぇな。


「はい、仰る通りですね。さっそく電話をしてみます」


あ~あ、私立のお嬢様学校で、虐めも荒廃もないと思ってたのに、下手に成績がイイ奴が集まってるから、課外授業が多くて大変だぜ。


夏休みだって、補習に夏期講習と休んでる暇なんてありゃしねぇ。


生徒は合間を縫って海外にバカンスへ行ってるってのによ。


それでも、この少子化のご時世に親戚のコネで教師の職にありつけたのがラッキーだったのも事実だ。


試験に合格したって仕事がない奴等がごまんといるんだからな。


それにしても、校長や教頭があれだけ気を使うって事は、岡村はかなりイイとこのお嬢様なのか?


両親はまだ海外に居る筈だし、父親の職業は大学関係者・・・って大したことないじゃないか。


ん?保護者の名前が『成島潤』?祖父か・・・成島?成島ってあの?


なるほど、母親の実家が金持ちな訳ね。


そーいや、あそこはアメリカに駆け落ちしたとか言う娘がいたなぁ。


血筋は確かでも庶民育ちのお嬢様って訳か?


編入試験の日も、曽我部や他の学年の子まで、岡村について職員室に聞きに来てたよな。


まあ、あれだけボーイッシュなタイプの生徒は今の校内には見当たらないから、人気は出るだろうなとは思ってたけど。


ま、俺に対して妙な熱を上げられても困るんだけど、ヅカかぁ。


・・・面白いかも。


時々、運動部の奴等にキャーキャー黄色い声を上げるガキがいるが、岡村の場合、あんなのの比じゃない騒ぎになりそうだ。


二学期は文化祭もあるしな。


楽しみになって来たかも。






「岡村さんだね、宜しく。一年月組担任の平沢です」


連絡をすれば、二つ返事で夏期講習に参加すると言って来た岡村は、初日に職員室で俺から山の様な教科書とテキストを受け取って、ヨロヨロと出て行った。


ちょっと可哀想かな?と思わないでもないが、その本の山は俺が購買部からここまで運んだんだ。


これ以上、俺に肉体労働をさせんなよ!


しかし、男みたいな成りをしてても一応女の子だからな、と思って、丁度職員室にいたウチのクラスの委員長に手伝ってやる様に声を掛けた。


メガネをかけた典型的な優等生タイプだが、コイツだって噂の編入生が気になって、職員室をウロウロしていたに決まってる。


案の定、手助けを頼むと、目を輝かせて出て行った。


やれやれ。


暫くして、講習の行われる教室に近付いた時、『キャー!』と言うもの凄い悲鳴が聞こえた。


岡村か・・・


俺は思わず笑いが込み上げてくるのが止められなかった。


さてさて、アイツは一体どんなハーレムを築くのかな?







腹黒担任は伯父さんと同じ様に楽しんでいる様です。

彼の実家もそれなりに名家なのでしょう。

だから若くして名門女子校の教師などになれたのだと思います。


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