表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

世界で唯一人、殺しても良い人

作者: 小雨川蛙

 私が思うに世界で唯一人、殺しても良い人がいる。 


 それはいつだって私の邪魔をする。 

 何かをしようとしているとやってきては私を誘惑するのだ。


『もうやめちまえよ。楽になっちまおうよ』


 って。


 だから、私はその人間を容赦なく殺す。

 二度と蘇らないように徹底的に。


 そして、それが終われば存在などなかったかのように無視する。

 まるで殺したっていう事実もなかったかのように。


 自分の道を歩むのを邪魔する相手を無視するのは当然だ。

 そして、殺しても良いという免罪符があるなら殺すべきだ。

 だって、そうしないと自分にとって害をなしてくるも同然なのだから。



 ***



『へえ』


 かつて殺した相手が蘇る。


『生き返らせてくれるんだ』


 皮肉気に笑いながら。

 だから、私は答えてやる。


「私が思うに世界で唯一生き返らせても良い人間がいるとしたら……」

『普通は生き返らせることなんて出来ないんだけどな』


 耳が痛い。

 その通りだ。

 普通なら人間を生き返らせることなんて出来ない。

 だけど、こいつなら出来る。

 なにせ――。


『まぁ、自分の中にある【本質】なんて、ほとんど自分みたいなもんだしな。生かすも殺すも自由か』


 その通り。

 流石は私の本質だ。

 いつだって都合の良い事を言ってくれる。


 私が肩を竦めると世界で唯一殺しても良くて、生き返らせても良い相手が言った。


『で、受験勉強は終わったの?』

「おかげさまでね」

『結果はどうなりそう?』

「しーらない」


 相手が呆れる。

 だけど、その表情にほっとする。

 やっぱり勉強漬けの日々なんて私には似合わない。


『次はいつ殺されるんだろうね』

「さーてね、とりあえず結果が分かるまでは生かしといてあげる」


 そう言って【私】は大きく伸びをした。

 この上なく、心地よい伸びを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ