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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 座学最終日

 


 いよいよ、座学最終日となった。


 と言う事は、今日で各家の当主が決まると言う事。




 「おはよう、泉凪。いよいよだね」




 最終座学に参加するため、身支度を行なっている泉凪にそう声をかける花都。


 そんな花都に気づいた泉凪は「おはよう。そうだね」と笑みを浮かべる。




 「緊張してる?」


 「まぁね。月花家には、私しか神力者が居ないからね。岩を割れなければ、月花家はまた当主が不在になってしまう」




 月花家のように、神力者が一人しかいない家でも、その一人が岩を破る事ができず、当主が不在になる事が滅多にはないがある。


 そうなった場合は、副当主が当主の役目を担うが、当主が不在の家は力が弱まってしまい、災いが起きやすくなると言われている。



 月花家は、十九年前に滅んでから、ずっと当主の座が空いていた。




 「当主が居なかったら、その家には災いが起きやすくなると言われているけど、月花は平和だったよね。」




 過去のことを思い出し、そう言う泉凪。


 そして「まぁ、滅んでしまったから、災いも見逃してくれたのかな」と眉を八の字にし笑みを浮かべる。



 花都も「そうかもね」と苦笑する。




 「さてと……そろそろ時間だね。行こうか」


 


 泉凪の言葉に花都は頷くと、最終座学を行うため、最終座学が行われる神守山へと向かう。







 「……今日で座学が終わりとは、あっという間だったね。」




 神守山にて、既に来ていた千季は、他の神力者や師範や皇帝がやって来るのを待っている最中、ふと隣に座る文月にそう話しかける。



 神守山には、畳が敷かれ、そこには天幕が張られており、千季と文月はそこに腰をかけている。




 「何終わった感出しているんだい? ボクたちはこれからが本番だろう?」




 呆れたようにそう返す文月。


 そんな文月に千季は「そうだね……」と返したかと思えば、小さな声で視線を外し言う。




 「当主になろうが、なるまいが、神力者として生まれた以上、後数百年も生きなければならないと思うと反吐が出るよ」




 不老半不死な神力者。


 長寿な事は、良い事なのかもしれない。


 だが、良いことばかりだけではない事も事実。


 

 千季は、ハッとすると眉を八の字にし、笑みを浮かべ「泉凪たち遅いね」と話題を変える。


 そんな千季を見つめる文月は「……そうだね」と返す。


 それは数百年も生きなければならないと言う話に対してなのか、はたまた、泉凪たちが遅いと言うことに対してなのかは分からない。


 だが、そう返す文月の表情は、何処か思うところがあるようだった。




 その時、何処からか「千季、文月」と呼ぶ、聞き馴染みのある声がする。


 そちらに視線を向ければ、たった今、神守山へとやって来たであろう、泉凪と花都の姿があった。



 泉凪を見た途端、先程までの何処か暗い表情から、ぱっと明るくなった表情を浮かべる千季。


 そんな千季を見て、文月は少し安心する。




 「二人とも早いね」


 「なんか落ち着かなくってね。それに、早めに来て雰囲気を見ておきたくって」




 そう言う千季に文月は頷き「ボクも同じだよ」と眉を顰め笑う。




 「そっか」


 「泉凪は悠美と一緒じゃないのかい?」


 「うん。悠美も先に来ていると思っていたけど、まだ何だね」




 泉凪の言葉に千季は「まだ来てないよ」と返す。


 すると、泉凪は辺りを見渡すと「……心大もまだ来てないんだね」と呟く。




 「……まだみたいだよ。」


 「そう言えば、晃が最終座学に参加することを許可したらしいね」




 文月の言葉に泉凪は「まぁ、ね」と曖昧な返事をする。




 「……地星家の神力者の中で、一番、当主になる可能性が高い人物だからね。そんな人物が地下牢に行ってしまったら、困るのは地星の郷の人たちだからね」


 「関係のない人は巻き込みたくないから」




 そう言う泉凪に、千季は「相変わらず、泉凪らしいね」と笑う。



 そう話をしていた時「泉凪」と呼ぶ声がした。


 声のした方を振り返ると、何処か、思い詰めているような表情を浮かべる心大が立っていた。


 そんな心大に泉凪は「心大」と、心大の元へ行く。


 

 「おはよう、心大」といつものように挨拶する泉凪。


 そんな泉凪に心大は「泉凪、あの……」と何処か言いづらそうにする。


 そんな心大を見た泉凪は「大丈夫だよ、心大。心大は今もこれからもずっと私の大切な友人だよ」と笑う。



 泉凪の言葉を聞いた心大は、目に涙を浮かべ「……僕もだよ!」と頷く。




 晃の件があり、前みたいに泉凪に親しく接して良いのかと、思っていた心大。


 そんな心大の気持ちを泉凪は察したのだ。




 「泉凪、今日で座学が最後だね! いっぱい話そうね!」




 泉凪の手を取り、嬉しそうにそう言う心大に、優しく微笑みながら頷く泉凪。


 そんな二人のやりとりを見ていた千季と文月は、顔を見合わせ安堵し笑う。

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