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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 皇都へとー3ー

 声のした方を振り返ると、そこには深海のような深く濃い紺青色で、少し長めの髪を七三分けにした男性が、着物の袖口に両手を入れ白銀の男性の元へと歩いてきており「久しいね。風音かざおとの若君」とにこやかに言う。


 その姿はどこか色気があり、整った顔立ちとなんとも言えない魅力的な雰囲気から、数多の女性から慕われるのだと言うことが一目でわかる。



 風音の若君と呼ばれた白銀の男性は、群青色の髪の男性を見るなり「水園すいえんか」と扇子を閉じ、彼の方に体を向ける。




 白銀色の髪の男性──風音文月かざおとふづきは、七つの家の一つ、風神から力を授けられし家、風音家の人間で次期風音家当主候補の一人。


 そして、紺青色の髪の男性──水園千季すいえんせんきもまた、七つの家の一つ、水神から力を授けられし家、水園家の人間で次期水園家当主候補の一人だ。




 「若君って……それより、見ていたのなら注意してほしいものだよ。」




 文月は眉を顰め、呆れた様子で千季のことをジトっと睨む。




 「僕がきた時にはもう既に、どこかの若君が注意をしていたところだったんだよ」


 「悪かったね。気が早くて」


 「褒めてるんだよ。傍観する者が多い中、文月はいつも真っ先に注意をしに行くだろう? ほっとくこともできるのにね」




 千季に褒められた文月は「褒められることではないよ。ただ、これ以上醜態を晒して、同じ神力者であるボクらまで横暴な人間だと思われては困るだろう?」とあっけらかんと言う。


 そんな文月に千季はハハッと眉を八の字にし笑う。




 「相変わらず、文月らしいね」




 ◇




 「……先程からキョロキョロと辺りを見渡されていますが、落ち着かないですか?」




 総髪で切長い目元の男性は、先程から当たりをキョロキョロと見渡している、灰茶色の髪を三つに編み右肩に流している男性に、優しい口調で尋ねる。


 その男性は胸元で手を重ね、少し困ったような笑みを浮かべる。




 「うん……兄さんたちはどこかへ行っちゃったし、他の家の人はほとんど面識がないから落ち着かなくて」


 「少し、離れた場所に行こうかな」

 



 そう言って灰茶色の髪の男性が歩き出そうとした時、ちょうど後ろを通った人物に軽くぶつかってしまう。


 灰茶色の髪の男性は「わぁ! ごごご、ごめんなさい!!」と慌てながら、ぶつかってしまった相手の顔を見る。




 「あ……氷彩ひょうさい家の……!」




 そう言いながら、じっと顔を見てしまったことに気づき、またもや謝罪をする灰茶色の髪の男性。


 そんな彼に、ぶつかった相手は「地星ちせいの末っ子か。私の方こそ周りをあまり見ていなかった。すまない」と謝罪する。



 まさか謝罪をされるとは思ってなかったのか、灰茶色の髪の彼は「い、いえ……!」ととても驚いた様子でそう答える。




 「失礼する」


 「は、はい……!」




 淡々と話、去っていく後ろ姿を見送りながら「びっくりした……」とほっと胸を撫で下ろす灰茶色の髪の男性。


 そんな彼に、総髪の男性は「お怪我はありませんか? 心大みひろ様」と声をかける。




 灰茶色の髪の男性──地星心大ちせいみひろは、七つの家の一つ、地神ちじんから力を授けられし家、地星家の人間で次期当主候補の一人。


 線が細く色白で、いつもオロついており、よく兄弟たちから揶揄われたりしているが、傲慢な者が多い地星の中で唯一、心が優しく穏やかな性格をしている。




 そして、先程心大とぶつかったサラッとした藍白あいじろの髪をした、氷彩ひょうさいと呼ばれる彼──氷彩雪乃ひょうさいゆきのもまた七つの家の一つ、氷神ひょうじんから力を授けられし家、氷彩家の人間で次期当主候補の一人だ。


 一見、冷たく見える美しい見た目と、淡々とした口調、笑顔を誰一人見たことがない事から、心大含め近寄りがたく、怖い人と言う印象を持たれている。




 「怪我はしてないけど、すごくびっくりしたよ。まさか雪乃の若様とぶつかるなんて……でも、噂と違って少し良い人だったね」




 ニコニコと笑みを浮かべる心大。


 そんな心大に、なんとも言えないと言った表情を総髪の男性は浮かべる。


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