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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 尋問



 晃の腕と首を光が縛りつけ、身動きが取れない状態になる。


 そして、突如、晃は苦痛の混じった叫び声を上げる。



 見てみると、晃の首元に罪と言う文字が刻まれており、晃が嘘をついている事がわかる。


 それを見た地星家当主は、頭を抱える。



 叫ぶ姿は、あまりにも痛々しく、心大は思わず目をギュッと瞑り、そんな心大に見せさせないようにと、若菜は心大を隠すように前に立つ。




 「……何故、月花の姫君に毒を刺した?」




 そう言って晃を見下ろすように睨みつける皇帝。


 その様は恐ろしく、思わず震え上がってしまうほど。



 皇帝にそう問いかけられた晃だが、苦痛からか、はたまた答えたくないのか、何も言わず、ただ震えながら皇帝を見ている。


 その様子を見た泉凪は、僅かだが眉を顰める。



 泉凪はあまり、こう言った場面は得意ではないのだ。


 だが、今回の件の当事者である以上、この場から出るわけにはいかないため、ぐっと堪える。



 何も答えない晃に、呆れ、皇帝は「……後でたっぷり聞くとしよう。だが、この質問には答えてもらうぞ」と言い、真っ直ぐ晃を見ては、再度尋ねる。




 「地星家が統治する村に住んでいた、薬売りの娘を殺害したのはお前か?」




 皇帝の話に、泉凪は「薬売りの娘?」と顔を顰める。


 地星家当主や心大、若菜も何のことか分からないらしく、顔を顰めている。




 「陛下。その薬売りの娘と言うのは? 殺害したとはどう言う意味でしょうか?」




 泉凪がそう皇帝に尋ねると、皇帝は頷き言う。




 「地星の晃は、とある女性に月花の姫君に毒を刺すように、命じたのだが、それが地星家が統治する村に住む、薬売りの娘だ」




 その話を聞き、泉凪は「自分の手は汚さず、人にやらせていたのか」と、冷静に、だが物凄く怒りが湧いているのが伝わって来る。


 そんな泉凪と同じように地星家当主は「毒を使うと言う姑息な手を使ったにも関わらず、それを他人にやらせその上ようが済めば殺したと言うのか? 何処まで落ちぶれば気が済むんだ?」と相当頭に来ているよう。



 だが、晃は「わ、私はむ、娘のことを、殺してなどいません!!」と訴える。




 一見、信じ難いが、今は真偽の儀を行なっている最中。


 嘘をついていれば、痛みが襲って来るはずだが、晃の身体に文字は刻まれず、苦しんでもいないので、それが嘘ではないと言う事がわかる。




 「……真偽の儀が反応しないと言うことは、晃様が仰られている事は、どうやら本当のようですね」




 そう言う藍良に、皇帝は「ならば、次の質問だ」と再び質問する。




 「薬売りの娘以外に、共犯者がいるのか?」




 その言葉に、晃は何故過剰に反応し、痛みが来るのが怖いのか、藍良の事をチラリと見る。


 そして、小さく「……い、ません」と答える。



 だが、その瞬間、晃の頬には罪と言う文字が刻まれ、晃は叫び声を上げる。


 そんな晃を見た皇帝は「何故、嘘をつく。付かなければ、痛みに苦しまずに済むと言うのに」と呆れた表情を浮かべる。




 「だが、嘘という事は、共犯者がいるという事。それは誰だ?」




 その問いかけに、晃は叫び疲れたのか、息を荒げながら「……わ、わかりません」と答える。


 晃の言っている事は、ふざけている。



 共犯者はいるが、誰かはわからないと言うのは、あり得ないことだ。


 当然、苦しい嘘をついているのだろうと、誰もが思っていた。



 だが、いくら経っても晃の身体には文字は刻まれず、苦痛も襲って来ないのだ。


 つまり、晃が嘘をついていないと言う事がわかる。




 皇帝は(あり得ない……何か裏があるはずだが、儀を行なっているのは、他でもない藍良だ)と顎に手をやる。


 泉凪は晃に「分からないとは? その共犯者と共に、私に毒を刺すようにしたのでは?」と問いかける。



 だが、晃は「や、やり取りは、手紙だったから、ちょ、直接会っていないんだ。だ、だから顔を知らない」とやたらと何かに怯えるように言う。


 泉凪にはどう考えても嘘をついているようにしか見えない。



 だが、真偽の儀を行なっている以上、何も起きないと言う事は、晃が嘘をついているわけではないと言う事だが。



 泉凪は納得いかないとでも言いたげな表情を浮かべる。




 「共犯者の真意は分からないが、地星家の晃が、月花の姫君に毒を刺すよう命じたのは確かだ。」


 「よって、地星家の晃には、罰を受けてもらうが、後一週間もすれば、座学の最終日になり当主を決めなければならない」


 「それには必ず、どんな者でも、神力を持つ者なら参加せねばならないが」




 皇帝はそう言うと、泉凪の事を見「姫君はどうしたい?」と問いかける。




 「え……?」


 「姫君が、晃を座学には参加させたくないと言うのであれば、そうする事も可能だ。晃の処遇も姫君が決めれば良い」


 


 皇帝にそう言われ、泉凪は晃と地星家当主らの方を見る。


 地星家当主は「どんな罰も受ける」と言う。




 泉凪はしばらく考え込み、言う。




 「最終座学には、晃を参加させてください。そこで晃が当主になればそこまでで結構です。何も償いはいりません。」




 泉凪の言葉に、他のものは驚く。


 だが、泉凪は「ですが」と話を続ける。




 「晃が当主にならなかった際には、王位継承が行われるその日まで、数百年の間、地下牢で全ての罪を償ってもらいます」




 泉凪の言葉に、再度驚く。


 泉凪は「神力者を傷つけるものは、どんな者であれ、地下牢行きは法律で決まっていますが、だからと言って、私一人が傷つけられたのなら、ここまでは言いません。ですが、一人の女性を道具のように使った挙句、殺害した。その罪は地下牢で数百年十分に償ってもらいます」と皇帝を真っ直ぐ見言う。




 「まぁ、それでも足りないくらいですが。それに、こうする事で他の神力者や権力を持つものが、同じような愚かな真似をしないようにするための抑止力にもなると思いますので」




 泉凪の意見に「私も姫君の意見に賛成だ」と頷く。




 「それでよいな? 地星よ」




 皇帝にそう問いかけられた地星家当主は「我々は、命令に従うまでです」と答える。




 「ならば、これで真偽の儀は終わりだ。地星家晃を最終座学の日まで牢の中に突っ込んどけ」




 皇帝がそう言うと、衛兵がやって来、ぐったりとしている晃を連れて行く。


 その瞬間、泉凪は力が抜けたのか、ふらっとし、花都が支える。




 「泉凪。もう戻ろう」


 「そうだね」




 花都は皇帝に、部屋に戻る事を伝えると、泉凪たちは謁見室から出る。


 その時に、心大が泉凪に何かを言おうとしていたが、話を聞く気力は泉凪には残っておらず、聞く事なく、謁見室を後にした。

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