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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 真偽の儀

 


 謁見室へとやって来た泉凪と花都。


 そこには既に、地星家当主と、心大、若菜、それから酷く顔が青ざめ怯えている様子の晃の姿があった。



 泉凪に気づいた晃は、ビクッと驚き視線を逸らす。


 その態度に、花都は苛立ちを覚えるも、従者の立場で神力者である晃に突っかかれば、泉凪に迷惑がかかるため、ぐっと堪える。




 「月花の姫君」




 地星家当主は、そう言って泉凪に近づいて来る。


 そして、頭を下げると「此度は私の息子が姫君に迷惑をかけてしまい、本当に申し訳ないと思っている。謝罪で済まされる事ではないと分かっているが、謝罪をさせて頂きたい」と言う。



 だが、泉凪は「……陛下がお越しになってから、話しましょう」と謝罪を断る。


 地星家当主は「申し訳ない」と再度謝罪する。




 その時、謁見室へと皇帝、仁柊、そして大神官の藍良がやって来る。


 その瞬間、晃は先程よりも酷く怯えた表情を浮かべる。



 皇帝は椅子に腰を下ろすと「急遽、呼び出し申し訳ない。少しばかり耳に挟んだ話について、真相を知りたくてな」と言い、晃の事を見る。




 「地星家、晃よ。此度の件は事実か?」




 皇帝にそう問いかけられる晃。


 何故か、先程から皇帝の方を見ては、酷く怯えており、受け答えができない状態。



 そんな晃に地星家当主は「晃。お前には口がないのか?」と晃の事を睨みつける。


 その表情はとても恐ろしく、晃は「おれっ……わた、しはやってません……」と辛うじて声を発する。



 噂を否定する晃。


 そんな晃に皇帝は「……事実ではないと、申すのだな?」と問いかける。




 「ははは、い……」




 再度、皇帝が問いかけても、尚、否定する晃。


 だが、酷く怯えている晃を見て、皇帝は全く関係ないと言うことは無いだろうと思っていた。


 皇帝は一つため息をつき言う。




 「……地星の晃がやったという証拠がないのは事実だが、やっていないという証拠がないのも事実」


 「話だけでは、不毛なやり取りになるのは目に見えている」


 「その事を踏まえた上で、真偽しんいの儀を地星の晃に行う事にする」




 皇帝の言葉に、謁見室内にいる者たちは皆、驚く。




 「へ、陛下! 本当に真偽の儀行うつもりですか?」




 そう問いかける仁柊に、皇帝は「あぁ。」と頷く。




 真偽の儀。


 それは、言っている事が、嘘か真かを確かめる事ができると言う儀式。



 儀を行われる者が、本当のことを言っていれば、特に何も起きないが、嘘をついていた場合は、首と体に光が巻きつき、嘘の数だけ体に罪という文字が刻まれる。


 罪という文字が刻まれる度に、激痛が伴うので、儀を行われるものは悲鳴をあげ、やがて耐えかねず、本当のことを吐くと言う。



 言わば、拷問のような事を神力者にやると言うのだから、他のものが動揺を隠せないのも無理ない。




 「そんなに怖がることは無い。嘘をついていなければ、何も起こらないのだからな」




 皇帝はそう言うと、左隣に立つ藍良に「頼んだぞ」と声をかける。


 藍良もここまですると思っていなかったのか「……はい」と何処か動揺をしており、らしく無い。




 今も尚、酷く怯える晃をチラリと見る地星家当主。


 神力者であるのに、真偽の儀を行うことは、不名誉な事。


 それに、もし、晃が嘘をついていたなら、拷問とも呼べる痛みが待っている。



 それは父として、止めたい所だが、嘘か真か確かめるためには、この方法しかない事も事実。


 それに、神力者だからと言って、やらないのは不公平に値するため、地星家当主は真偽の儀をやる事を止めなかった。



 その中には、晃は嘘をついていないと信じたいという気持ちもあったからだ。




 藍良は、階段下に降りて来ると「地星家、晃。前へ」と言う。


 晃はチラッと皇帝の方に視線をやる。


 皇帝は「前へ」と言い、晃は力なく歩いて行く。




 その様子を黙って見つめる泉凪。




 「その場に膝をつき、手は後ろに。こちらを向いてください」




 藍良は儀を行うため、晃に指示を出す。


 この、真偽の儀は神官、それも限られた人間にしか行う事ができず、今いる神官で唯一この儀を行えるのが、藍良なのだ。




 「……それでは始めます」




 藍良はそう言うと、懐から一冊の書物を取り出すと、手を前に出す。そして、目を閉じ、何やら唱え始める。




 「罪のない者が、傷付かぬよう、罪を犯した者が裁かれるよう、真実を導き出しなさい」




 藍良がそう唱えると、書物は独りでに開き、晃の周りを光が覆う。

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