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皇宮の花嵐  作者: 透明
81/255

当主継承編 嘘

 


 「悠美! こっちだよ!」




 部屋から脱走した悠美は、充と待ち合わせをしていた馬小屋へとやって来る。


 そんな悠美を見つけた充は、悠美にそう声をかけると、充を見つけた悠美は嬉しそうに充に駆け寄る。




 「無事に抜け出して来れたんだね」


 「うん。皆んな僕が寝ているって思ってるよ」




 そういたずらっ子な笑みを浮かべる悠美。


 そんな悠美に充は「流石、毎日抜け出しているだけあるね」と笑う。




 「それじゃあ、行こうか」




 充の言葉に悠美は頷くと、充は「ついて来て」と悠美の先を歩く。




 「塀の外に見せたい物があるって言ってたけど、どうやって塀の外に行くんだ? 門のところには衛兵が立っているから、止められるかもしれない……」




 悠美がそう心配そうに言うと、充はクスッと笑い「大丈夫だよ。門は通らないから」と言い、馬小屋の近くの茂みの前で足を止める。


 そして、草を掻き分けると塀の部分に子ども一人なら通れてしまうような穴が空いていた。




 「こんな所に穴が空いていたなんて……父上に知らせなきゃだな」




 充は「ここから出よう」とその穴を通り、悠美もその後を続く。


 


 「……初めてだ。父上たちに内緒で塀の外に出るの」




 悠美はそう言って、目を輝かせながら、辺りを見渡す。


 普段、許可が無いと塀の外には出られない悠美からしたら、新鮮な事なのだろう。


 何処か、浮立っている。



 そんな悠美に充は「悠美、バレる前に早く行こう」と先を急かす。




 「行こうって、何処に行くんだ? あまり遠くは……」




 そう心配そうに言う悠美に、充は「直ぐそこだから」と笑い、歩き出す。




 「……ついたよ」




 充がそう言って立ち止まったところは、皇宮からそこまで離れていない、人通りが全くなく、死角になった場所だった。


 悠美は辺りを見渡しながら「それで、見せたいものって……?」と聞くと、充はふっと笑い「皆んな、出て来て!!」と叫ぶ。



 その瞬間、ワラワラと何処からともなく男たちが、悠美を囲むように現れた。


 悠美は壁を背に追いやられる。




 「何だ……? お前たち」




 瞬時に、自分の敵である事を感じ取った悠美は顔を顰めながら、男らにそう尋ねる。


 男らは笑みを浮かべると「さぁな。そこのお友達に聞けばわかるんじゃ無いか?」と充の方を見る。




 「充……?」




 悠美が充の方を見ると、充は笑いながら「ごめんね、悠美」と言う。




 「なん、で謝るんだ……?」


 「本当は、悠美に見せたいものなんてないんだ。こいつらに連れて来いって言われたから、ここまで連れて来たんだ」




 充の言葉に男らは「と言うわけだ。坊ちゃん、あんたは充に騙されたんだよ。残念だったな」と笑う。




 「は……? 嘘だ……充はそんな事するわけ……!」




 そう言う悠美に充は「嘘じゃないよ」と言う。




 「君に近づいたのだって、騙すために近づいたんだ」


 「うそ、だ……」


 「嘘じゃないよ。皇宮で馬丁になったのも、君と友達になったのも、君と毎日会っていたのだって、全部今日のためにやった事だ」




 充はそう言うと懐から、短刀を取り出すと優に向ける。




 「ごめんね、悠美。君には死んでもらわなきゃいけないんだ」




 それを合図に、男らは刀を鞘から取り出すと、悠美を囲むように刀を向ける。

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