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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 胸騒ぎ



 宮内の応接室にて、皇后は二名の侍女と一緒に、誰かが来るのを待っていた。


 そんな皇后は、椅子に座りながら何かを考えている様子だった。




 『言っていた少年の件だが』




 今朝、皇帝が月花の郷にある、月花当主の墓参りへと向かう前に、話していた充の件について、皇后に話をする。




 『調べた結果、両親が幼い頃に亡くなり、孤児だったが、近所に住むその辺りを纏めている男性に育てて貰ったそうだ』


 『どうやら、その育ての親は皇宮の馬丁と繋がりがあるらしく、育ての親の紹介で丁度、一週間前、馬丁になったらしい』




 仁柊が調べて来た内容を、皇后に話す皇帝。


 どうやら、特に怪しい点はなかったらしく、その事を皇后に伝えると、皇后は『そう、ですか』と返事をする。




 『私も実際、会いに行ってはみたが、至って普通の少年だった。まぁ、遠くで見ていただけだが。他の馬丁の話でも、よく働き、礼儀が正しい少年だと褒めていたよ』




 そう言う皇帝。


 だが、皇后は何処か納得がいかないのか、曖昧な表情を浮かべる。



 そんな皇后に皇帝は『気になるか?』と問いかける。


 皇后は苦笑しながら『私の気にしすぎかもしれませんが』と言う。




 『……この後、私は月花へと向かうが、皇后が心配なら変更するか?』




 皇后が心配になり、皇帝はそう提案する。


 だが、皇后は首を横に振る。




 『いけません、陛下。今日は、陛下にとってとても大切な日です。それに、毎年行くと言う約束ではありませんか』




 そう言う皇后に『だが……』と、心配そうな表情を浮かべる皇帝。


 そんな皇帝に皇后は『私の気にしすぎで、陛下の予定を変えるわけにはいきませんので』と眉を八の字にし、笑みを浮かべる。




 皇帝は『それなら……仁柊を置いていこう。何かあれば、直ぐに伝書鳥を飛ばすよう言っておく。』と言うと皇后は『ありがとうございます』と頷く。




 『なるべく直ぐ戻る』




 皇帝は朝早くに月花の郷へと向かうはずだったが、予定より他の仕事が長引いてしまい、午後に出発することとなった。




 「皇后様。仁柊様と心温様が来られました」




 皇帝の話を思い出していると、いつの間にか応接室に仁柊と心温がやって来ており、皇后は中へと通す。




 「悠美の様子はどう?」




 目の前に座る仁柊と心温にそう尋ねる皇后。


 心温は「今は、もう眠っています。今日はやる事が多く、疲れたのだと思います」と言う。



 心温の言葉を聞き、皇后は「そう……」と頷く。




 「馬丁の少年の方も、特に変わった様子はありませんでした。今も、他の者が馬丁の少年のことを見張っている最中です」




 仁柊は、皇帝に頼まれ一日中、充のことを見張っていたが、特にこれと言って変わった様子はなかった。




 「そう……やはり、私の気にしすぎなのかしら」




 頬に手をやり考える皇后。


 そんな皇后を見て心温は隣に座る仁柊に「仁柊さん、あの少年について調べていたんですよね? どうだったんですか?」と問いかける。



 仁柊は分かったことを心温に説明する。




 「……おかしいですね」




 仁柊の話を聞いた心温は、そう言って顎に手をやる。


 そんな心温に、仁柊は「おかしい?」と聞く。




 「はい。仁柊さんの話では、少年の両親は幼い頃に亡くなったとの事ですが、悠美からはよく、彼は母親との事を話すと聞いていたので……」




 その話を聞き、仁柊は「引っかかるな」と言う。


 その時だった。


 充の事を監視していた警備隊の一人が、慌てて応接室にやって来た。




 「仁柊様、皇后様、申し訳ありません。馬丁の少年を見失ってしまいました」




 警備隊の彼の言葉を聞き、仁柊は「見失ったって、何をしていたんだ?」と警備隊の彼を睨む。


 警備隊の彼は「ももも、申し訳ありません……! 突如、宿から出たので後を追っていたのですが、撒かれてしまって……今、他の者が探しているのですが……」と声を震わす。



 仁柊は立ち上がり「悠美様の様子を見に行って来ます」と言う。


 「僕も行きます」と言う心温に、仁柊は「心温は警備隊を呼んできてくれ」と頼む。




 急いで応接室から出て行く仁柊と心温。


 だが、皇后は青ざめた表情を浮かべ、何かを考え込んでいる様子。



 そんな皇后に侍女は「皇后様。体調が優れないのなら、一度休まれては」と言うも、反応がない。




 (……何かしら? 何だか胸騒ぎが)




 その時、ある会話が皇后こ頭の中をよぎる。




 『おい、聞いたか? 昨晩この馬小屋の塀の裏から、人の声がしたらしいぞ』


 『人の声って、ただ単に誰かいたんじゃないのか?』


 『何言ってんだ! 馬小屋の塀の裏は普段かは人が寄りつかないんだぞ。絶対幽霊かなんかだって!』


 『はぁ? 幽霊?』




 それは、馬小屋の前で、馬丁らが話していた内容だった。


 何故か、その内容が頭から離ない皇后は「まさか……」と呟くと、突如席を立ち応接室から出て行く。




 「こ、皇后様……!?」




 侍女らは慌てて皇后の後を追も、直ぐに皇后の姿を見失ってしまった。

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