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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 感謝しているのですよ



 「泉凪! これ美味しいぞ!」


 「泉凪、これは何だろう? 初めて見るな」


 「泉凪〜、次はこっちに行こう!」




 一緒に屋台を見回り始めてから数分。


 悠美は泉凪と嬉しそうに名前を呼んでは、泉凪に食べ物を勧め、次は何処に行こうと言う。


 そして、そんな悠美に「はいはい」と眉を八の字にし笑いながら、付き合う泉凪。



 あまりにも楽しそうで、無邪気にはしゃぐ悠美を見た心温は「あんな悠美、久しぶりに見たな」と思う。


 そんな光景を見た、心温の隣に立つ花都は「もしかしてですが……」と小さな声で言う。




 「火翠様は、泉凪様のことを好いていらっしゃてくれているのですか?」




 唐突にそう聞かれたものだから、心温は驚き「ゔぇっ!?」と変な声をあげる。


 だが、泉凪も悠美も屋台に夢中で気づいてはいない。


 あまりにも驚く心温に、花都は「……大丈夫ですか? そんなに驚くとは思っていなくて」と苦笑いを浮かべる。




 「あぁ……いえ。どうしてそのように?」


 「見ていたら分かりますよ。多分、私以外にも。きっとかなり前からですよね?」




 花都の話を聞いた心温は(見ていたらわかるのか? 私は気づいたの最近だが……)と己の鈍さに苦笑する。




 「ということは、もしかして月花様も……?」 


 「いえ……泉凪様は気づいておられないと思います。人からの好意、と言うものには泉凪様は鈍いので」




 花都の言葉を聞き「確かに……」と、これまでの泉凪の様子を思い出し、頷く心温。


 そして、ハッとしたように「この事は、月花様にはご内密に」とお願いすると、花都は「もちろんです」と頷く。




 「私も確認したかっただけなので。あまり気になさらないでください」




 そう言う花都に、心温は「確認?」と首を傾げる。




 「本当に好いていらっしゃるのなら、それで良いのですが……火翠様に限りないとは重々承知しているのですが、泉凪様にわざと好意を見せ、陥れようとしている場合もありますので」




 花都の言葉を聞き「あ、ありません! ありません!! 悠美様は本当に……!」とまで言い、慌てて自身の大きな声を抑える。


 そんな心温に花都は眉を八の字にし笑い「わかっていますよ。火翠様を見ていれば、本当に泉凪様のことを好いてくださっているのは」と言う。




 「ただ、私が一応確認して安心したかっただけです。火翠様と一緒におられる泉凪様はとても楽しそうです。幼い時、神力者として皇宮入りをしてからずっと、気を張っておられている中で、火翠様と話をされている時は、年相応になられると見ていて思うんです」


 「だから、火翠様には本当に感謝しているのですよ。私以外にも、ああやって心を許せる相手がいると言う事は、泉凪様にとってはとても大切なことです」




 そう優しく微笑む花都に、心温は「私の方こそ。月花様には感謝しています」と言う。




 「幼い頃から、陛下の唯一のご子息ということもあり、いつも悠美様は、本当の自分を隠し、いつも周囲が求める振る舞いをしていました」


 「その方が楽だからと悠美様は仰っていましたが……。月花様と一緒にいる時の悠美様は、年相応に楽しそうで、心が休まっているような表情をするので。その様な悠美様を引き出せるのは、月花様だけですので」




 心温もそう言って優しく微笑む。


 その時、屋台を見ていた悠美が「心温! 早く来ないと、置いていってしまうぞ!!」と心温に声をかける。


 そんな悠美に続き、泉凪も「花都もだよ」と言う。




 「せっかく、月花様と一緒に回れると言うのだから、二人で回れば良いのに……」




 呆れた表情を浮かべる心温に、花都は笑い「火翠様の中では、心温さんも一緒なのが当たり前なんですよ。きっと」と言う。


 花都の言葉を聞き、心温は一瞬、目をまん丸にし驚くが「そう、ですかね……」と何処か照れくさそうに、だが、嬉しそうに呟くと花都と心温が来るのを待つ泉凪と悠美の元へ向かう。







 「泉凪!」




 しばらく屋台を見回り、少し疲れたからと何処かで休憩しようと来た時、泉凪の名前を呼ぶ声がした。


 そちらを振り返ってみると、心大と千季がおり泉凪は「心大に千季」と名前を呼ぶ。

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