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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 妖

 


「少し肌寒いね」




 鍾乳洞の中へと入った泉凪たち三人は、炎の灯りで僅かに灯された、奥まで続く道をひたすら進んでいる。


 千季の言葉に頷く泉凪に千季は「寒くない? 大丈夫?」と声をかける。




 「大丈夫だよ、ありがとう」


 「寒かったら言ってね。羽織を貸すよ」




 そう言う千季に、悠美は「水園も寒いのだろう? 羽織なら私のを貸すよ」と笑みを浮かべているも、それは作られた笑みなのだと千季には分かる。




 「君が風邪をひいてしまったら、宮中の女性だけではなく、男性までもが悲しみ仕事が手につかなくなる。そうなると厄介だから、君はそのまま羽織を着ていてくれるかな?」




 千季もまた、笑みを浮かべているが、作られた笑みなのだと分かる。


 千季の言葉を聞いた悠美は「何を訳のわからない事を……女性が悲しむと言う点では、お前も同じだろ」と呆れた表情を浮かべる。



 そんな二人のやりとりを聞いていた泉凪は、二人の顔をじっと見つめる。


 じっと見つめてくる泉凪に気づいた悠美と千季は「どうした?(どうしたの?)」と問いかける。




 「いや、仲がいいなと思って」




 真顔でそう言う泉凪に、悠美と千季は「よくない!!」と必死に否定するも、声が重なり少し気まずくなるのをみて、泉凪は苦笑する。







 「……ここが、櫻子さんが言っていた鍾乳石が氷柱みたいになった場所と言うのは」




 しばらく進むと、開けた場所に出てきた。


 そこは辺り一面、鍾乳石でできた氷柱のようなもので埋め尽くされていた。




 「確かに、青白く光っているね」




 千季の言う通り、何故か、そこの開けた場所だけ、特に灯りで灯している様子などはないのだが、青白く光っており、とても神秘的な空間だ。


 すると、青白く光っている光景を見た泉凪が口を開く。




 「前に、地星家の名前の由来にもなった、地星の郷の砂は満月の夜、月明かりに照らされると、辺り一面星屑のようにキラキラと青く輝き出すって心大から聞いたことがある。」


 「もしかすると、ここの地山の町も地星の郷から近いから、そう言った理由なのかな?」




 「まぁ、今は満月でも夜でもないけれど」と眉を八の字にし笑う泉凪。


 泉凪の話を聞いた千季は「へぇ……なら、今度心大に地星の郷へと招待してもらわないとね」と言う。




 「そうだね」




 そう言って泉凪が頷いた時だった。


 鍾乳洞内に流れる妖気が一気に濃くなって来たのだ。



 三人は咄嗟に、口元を腕で覆う。




 その時、何処からともなく「おうおう。何だか強そーな奴が三人もいんじゃねーか」と言う声がした。


 その瞬間、三人は腰に掛けてある鞘から刀を抜き、刃の先を声のした方に向ける。




 声のした方には、その場にあぐらをかき、ニヤッと気味の悪い笑みを浮かべる、人のような何かがいた。


 一見、人に見えるが纏う雰囲気から、人ではないと言うことが感じ取れる。


 刀を構える三人を見たその人ではない何かは「おー、こわ」と笑う。




 「お前か? この鍾乳洞へとやって来た人たちにアザのようなものをつけているのは」




 悠美は人のようなものに、そう問いかける。


 すると、人のようなものは「だったら何だよ?」とニタッと笑みを浮かべる。


 そして「あ、あいつに人前に姿を見せるなって言われてたんだった」と意味わからない独り言をこぼす。



 そんな人のようなものを見て、悠美は「何を言っているんだ?」と顔を顰める。


 すると、人のようなものは突如「お前ら、俺を祓いに来たんなら、意味ないぜ」と大きな声で言い出す。




 「俺様は、指示されてやってるだけだから、俺様を祓ったところで俺様を指示しているやつが、また他の妖を使って同じことをしだすぜ。それに俺様のは他の件を隠すための罠とか言ってたな」




 ペラペラと独りでに話をしだす、人のようなもの。


 そんな人のようなものに、千季は「指示されているって? 隠すためって何を? それに他の妖って、君は妖なのかい?」と矢継ぎ早に質問する。




 「ちょいちょい! 質問早すぎ、もっとゆっくり頼むぜ」




 人のようなものがそう言うと、千季は「じゃあ初めに、君は地山の町の人たちに、アザのようなものを体につけた妖なのかい?」と問いかける。


 すると、人のようなものは「あぁ、そうさ」と気味の悪い笑みを浮かべる。




 「俺様が、鍾乳洞ここに来る人間の体にアザをつけた妖だ」




 そう得意気に言う妖は「あ、これも言っちゃダメなんだ」と全く悪気がなさそうに言う。


 そんな妖に今度は悠美が「指示されてると言っていたな。一体誰にだ?」と質問する。


 だが、妖は「それは言えねーな」と右手の人差し指を立てると、横に振る。




 「言えない?」


 「そう! 契約で、言えないことになってんの。まぁ、俺は指示してくるやつの名前も顔をあんましわかんねーがな。」




 妖の言葉を聞いた悠美は「は? 顔も名前もわからないのに、指示されその指示を聞いているのか?」とあり得ないとでも言いたげな表情を浮かべる。


 そう言う悠美に妖は「あぁ、聞くぜ。だって酒をくれるからな!」とガハハッと大口を開け笑うのを見た三人は苦笑する。

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