当主継承編 声
息を切らし、疲れ果てた泉凪たちを見て、老婆は「このくらいで息を切らすとは、軟弱な奴らじゃな」と杖をつく。
そんな老婆を見た千季は「お婆さんは元気ですね……」と苦笑する。
その時「ツネさん! 一人で出歩いちゃダメって言ってるじゃない! こんな所で何してるの?」と言う女性の声が聞こえてくる。
「あぁ……櫻子か。命知らずな若者が居たから、追い出そうとしていたところじゃよ」
心配する櫻子と呼ばれる女性に、そう言う老婆。
すると、泉凪たちのことを見た、櫻子と呼ばれる女性は「若者って……し、神力者様方じゃない……!!」と驚いた表情を浮かべる。
三人ともすげ笠を被っており、髪色が見えにくかったため、老婆も櫻子と呼ばれる女性も気が付かなかったのだ。
そんな櫻子と呼ばれる女性の言葉を聞いた、ツネと呼ばれる老婆は「何じゃお主ら、神力者だったのかい? つい、噂を聞きつけやって来た命知らずな若者かと思ったわ」と言う。
「まって。今さっきツネさん、追い出そうとしたって言ってたわよね? まさか、乱暴な真似してないでしょうね……?」
櫻子と呼ばれる女性は、そう言って、ツネと呼ばれる老婆をジトっと見つめる。
ツネと呼ばれる老婆は「乱暴はしとらんよ。ただちょっと、杖を振り回したりはしたがな」と悪気もなく言う。
ツネと呼ばれる老婆の話を聞き、櫻子と呼ばれる女性は「えぇ!! 神力者様方になんてこと……!!」と血相を変え、泉凪らに謝罪する。
「ほんっとうに、申し訳ありません!!」と謝罪する櫻子と呼ばれる女性。
そんな彼女に、泉凪は「謝罪はいりません。それより、命知らずとは? 一体、この町で何が起こっているのですか?」と問いかける。
泉凪の問いかけに、櫻子と呼ばれる女性は、今、地山の町に起こっている事を、泉凪たちに話し始める。
「三週間前のことでした。一人の、地山の町に観光に来ていた方が、体調不良を訴えました。顔は酷く青ざめ、青紫色のアザのようなものが身体中に広がっていました」
「それから二日後、またしても、地山に観光に来ていた方三人が、全く同じような症状で、体調不良を訴えました」
「初めは、何かの流行病かと思っていたのですが、さらに二日後、地山の町の人間からも全く同じ症状を訴えるものが複数人出てきたのです」
「その症状が出た者たちの共通点は何かと調べたところ、皆、鍾乳洞に入った後、症状が出ていることがわかったのです」
「そのことが分かった私たちは、鍾乳洞にを調べようと、鍾乳洞に向かったのですが……」
そこまで話したところで、櫻子と呼ばれる女性の顔色はだんだん、青白くなり、手も震えだす。
そのことに気づいた泉凪は、櫻子と呼ばれる女性の背をさすり「話せる範囲で構わないよ」と落ち着かせる。
女性はまだ震え、顔色は悪いが、何とか話を続ける。
「しょ、鍾乳洞の中から、こここ、声が聞こえできたのです……」
櫻子と呼ばれる女性の話を聞き「声?」と、顔を顰める三人。
「はい……低く、何重もなったような声で、こっちにおいで……と。その声を聞いた瞬間、身体がこわばり、動かなくなりました。鍾乳洞からは、気味の悪い空気も流れて来て、尚更、動けませんでした」
「ですが、私の他の四人は、まるでその声に誘き寄せられるように、鍾乳洞に吸い込まれるように入って行こうとしたのです」
「そこで、私の身体は動くようになり、四人のことを引き止めると、四人はハッとしたような表情を浮かべました」
「その瞬間、声は聞こえなくなり、気味の悪い空気も消えていました」
「四人は、声が聞こえた後、意識があるが、まるで自分自身ではないような感覚があり、気が付きいた時には、鍾乳洞の入り口ギリギリにいたと言っていました」
そこまで話し、落ち着きを取り戻して来たのか、櫻子と呼ばれる女性の顔色は若干良くなり、震えもおさまってくる。
そして、それからは知っての通り、地星の警備隊に要請したが、来られず、地星の警備隊が皇宮の警備隊に要請するも、何もないと言われそのままだと言う。
櫻子と呼ばれる女性は、泉凪たちに「お願いします! 鍾乳洞のこと、調べてください!!」と頭を下げる。




