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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 儀式

 


 次に、悠美と雪乃が手合わせをするため、木刀を手に取る。


 泉凪たちは、二人を見るために、席に着く。




 「──始め!」




 審判役の神官の合図とともに、互いに、刀をぶつけ合う。


 その様子は手合わせとは思えないほど迫力があり、他の神力者たちは圧倒される。



 二人を見て「わっ。二人とも凄いですね……」と呆気に取られる心大。


 そんな心大に文月は「二人とも強いから、尚更やる気が出るんだろう」と答える。




 「まぁ、火翠の若君の方は、別にやる気が出る理由があると思うけどね」




 そう言って、隣に座る泉凪に目をやる千季。


 泉凪は不思議そうな表情を浮かべる。



 その時、何処からか「そう言えば最近、連続で血を抜かれる事件が起きていたが、ここ一週間は全く起きていないらしいぞ」と言う話し声が聞こえて来、泉凪はその話に耳を傾ける。




 「えぇ? 皇宮の警備隊や各郷にいる、警備隊も探しているが犯人が見つかってないって奴だろ?」


 「あぁ。このまま止まってくれればいいがな」




 他の神力者たちの会話を聞き、千季は「どう思う?」と呟く。


 それに対して文月は「警備隊を警戒して、一旦止まっているようにしか思えないけどね」と答える。



 そんな文月に続け泉凪も頷き「知能を持つ妖もいるからね。これで終わりとは到底思えないかな」と言う。




 「だよね。」


 「皇宮の警備隊と各郷の警備隊が探しても見つからないとなると、その妖は相当頭のキレる奴なのかもね」


 「頭のキレる妖か……今までの妖は、知能はあるけど、単純なのが多いよね」




 千季の言葉にうんうんと頷く泉凪と文月。


 そこから、過去に起きた妖の事件などを話しだし、話が広がっていく最中「あ、あのぉ……」と言う心大の声がする。




 かと思えば、いつの間にか悠美と雪乃の手合わせは終わっており、悠美がこちらに向かって歩いて来ていた。


 そんな悠美に千季は「良かったよ」と褒めるも、悠美は「途中から話に花を咲かせ、見ていなかったのは知っているからな」と呆れる。




 「何? 応援して欲しかったの?」


 「誰がお前に」




 悠美と千季がそうやり取りしている隣で、泉凪は顎に手をやり、何やら考え事をしている様子。


 すると、目の前に影が現れ、顔を上げる。




 そこには、つい先程まで千季と話をしていた悠美が立っており「何をそんなに真剣に考えているんだ」と声をかけて来るも、何処か不満そうな表情を浮かべている。


 そんな悠美に「どうしたの? そんな不満そうな顔して」と聞くと、悠美は言う。




 「水園たちと楽しそうに話をしていただろ。私の応援はそっちのけで」




 悠美は何処か拗ねたような表情を浮かべる。


 そんな悠美に泉凪は、ハハッと笑い「子どもみたいだ」と言う。


 応援してもらえなくていじけていたが、泉凪の笑った顔を見て、少し機嫌を戻した悠美は泉凪の隣に腰を下ろし「何を考えていたんだ?」と尋ねる。




 「大したことではないよ。例の変死体の件あるでしょ? 皆、妖の仕業だと言ってるけど、人間の仕業の可能性もあるんじゃないかと思ってね」




 泉凪はそう言うと「まぁ、何となく何だけど」と眉を顰め笑う。


 泉凪の話を聞いた悠美は「まぁ、一概に無いとは言えないな。」と頷く。




 「だが、人間の仕業だとしたら、一体何故そんな酷い(むごい)ことをしているのだろうな。体の血を全て抜くなど」




 悠美がそう呟いた時、突如何処からか「儀式ですよ」と言う声がした。


 泉凪と悠美が振り返ると、そこには若菜がおり「突然すみません。お二人の話が聞こえたもので」と笑う。




 「いや……それより、儀式とは?」




 悠美の問いかけに若菜は「以前、何処かで見た古書に書かれてありました。全ての儀式では無いですが、禁じられた儀式を行うのに大量の血が必要だと」と答える。


 若菜の話を聞いた泉凪は「禁じられた儀式ってのは?」と聞き返す。




 「封じた者を復活させたり、死んだ人間を生き返らすことです」




 若菜の話を聞き驚く泉凪と悠美。


 悠美は「……確かに、私も見たことがあるな。皇宮内の書庫にある本に書かれていたよ」と眉を顰め言う。




 「……誰かが死んだ人間や封じられたものを復活させようとしてると言うこと?」




 泉凪がそう呟くと、若菜は笑い「今した話はあくまでもですよ。今回の件は実際、妖らしきものが変死体の側にいたことが目撃されていますし、陛下も妖の仕業だろうと仰られていますしね」と言う。




 「そのうち、この事件も終わりますよ。きっと」




 若菜の言葉に、泉凪は「そう、だね……」と何処か曖昧な返事を返す。

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