当主継承編 何処か違う
泉凪と悠美の姿を捉えるなり、花都と心温は、泉凪たちの元に駆け寄る。
そんな花都たちに気づいた泉凪たちは「ただいま」と声をかける。
「お帰りなさい、二人とも」
「あまりにも遅いから、心配していたんだぞ」
「無事に帰ってきてくれて良かった」と涙ぐむ心温。
そんな心温に「大袈裟だな。泉凪の師匠から連絡がいっていただろう?」と眉を八の字にし悠美は言う。
悠美の言葉を聞いた心温は「連絡は来ていたが……」と言いながら、何処か違和感を覚える。
(なん、だ……? 何か……)
そう違和感を覚える心温の隣で、花都は「もう疲れたでしょう。他の神力者方はもうお休みになられていますよ。お二人もお休みになられてください」と言う。
花都の言葉を聞き、泉凪は「あぁ、そうするとしようか」と頷く。
泉凪の隣で「もう行ってしまうのか? 泉凪」と声をかける悠美。
そんな悠美を見て「ん??」と心温は眉を顰める。
「遅い時間だからね。悠美も早く宮に戻って休まないと」
「残念だな」
「また明日、会えるじゃないか」
「んん????」
泉凪と悠美が話す隣で、何やら困惑している心温。
そんな心温に悠美は「何だ、先から。うるさいぞ」とジトっと睨む。
悠美に怒られ「す、すまない」と咄嗟に謝るも「え?」と心温は困惑する
何処か様子がおかしい心温を見た悠美は、一つため息をつき「戻るぞ」と宮に戻るため、足を進める。
未だ、困惑している心温だが、先に行く悠美の後を慌てて追うのだった。
◇
「あ、泉凪!」
翌日、座学を行うため、部屋へと向かうと、先に来ていた心大が泉凪を見つけるなり、泉凪の元に飛び付いてくる。
そんな心大を泉凪は受け止める。
「良かった……! 昨日、僕が視察から帰って来た時、まだ、泉凪たちは帰ってきていないって聞いていたから、心配してたんだ」
「無事で良かった」と微笑む心大。
そんな心大の後を続くように、千季もやってき「おはよう、泉凪」と声をかける。
「おはよう。そんなに心大が心配していてくれたとは知らなかったよ」
「千季さんも、僕と一緒にしばらく泉凪の帰りを待っていたんだよ」
「ねぇ? 千季さん!」と千季に話を振る心大。
千季は「心配だったからね。それに、心大と一緒にいないと、今すぐにでも飛び出していきそうだったから」と笑う。
そんな二人に泉凪は「二人とも、心配してくれていたんだね。申し訳ない、それからありがとう」と言う。
その時「泉凪には私がついていたんだ。水園の若君が心配しなくとも、良かったのに」と声がした。
泉凪が振り返ると、何やらニコッと笑みを浮かべている悠美と、眉を八の字にし、何処か困惑した様子の心温が立っていた。
悠美は泉凪を見るなり「おはよう、泉凪」と笑みを浮かべる。
そんな悠美は、いつもと何処か様子が違う。
「あぁ、悠美か。おはよう」
「っ……!」
悠美を見て挨拶を返す泉凪。
悠美と同じように、何処かいつもと様子が違う泉凪に気づいた千季は、驚いた表情を浮かべる。
「昨日はよく眠れたか?」
「眠れたよ。悠美は?」
やはり、いつもと様子の違う悠美を見て、心温は困惑しながら「それでは悠美様。私は行きますので」と隣の部屋へと向かう。
「泉凪。私たちも中に入ろう」
「そうだね。二人も行こう」
そう泉凪に声をかけられ、心大も後に続く。
だが、千季はぼーっとドアの所に立ったまま動かない。
そんな千季に泉凪は「千季?」と声をかける。
千季は「今行くよ」と笑みを浮かべているも、どこか、表情が曇って見えた。




