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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 帰ろうか



「あのー……お取り込みのところ申し訳ないんですけど……」




 突如、その様な声がしたかと思えば、部屋の襖の隙間から、一人の女性が気まずそうに顔を覗かせていた。


 突如現れた女性に「貴女は?」と泉凪は警戒する。


 そんな泉凪の隣で「あぁ……忘れていた」と悠美は呟き、泉凪に「大丈夫だ」と声をかける。




 「彼女たちは、叶いの館の噂を聞きやって来、怨霊に閉じ込められていた者たちだ」




 悠美の言葉に「そうなの?」と驚く泉凪。


 よく見てみると、顔を覗かせる女性の奥に、もう一人女性が立っている。


 先程、泉凪を探している時に、悠美は囚われていた女性たちを発見したのだ。




 「無事だったんですね。けれど、師匠の話によると、叶いの館に来た恋人は全員で四組だったと聞いていたけど……他の人たちは?」




 泉凪にそう問われ、怨霊に閉じ込められていた女性たちは、この叶いの館で何があったのか話を始めた。




 「……つまり、四組中二組の男性たちは、怨霊に攫われた恋人のことを助けに来、残りの二組の男性たちは攫われた恋人を探す訳でもなく、一目散に逃げて行ったと」


 「その一目散に逃げて行った人たちの恋人が、貴女たち二人だと言うことですね?」




 二人の女性は「はい……」と頷くと、泉凪は「全く……永遠を叶えに来たと言うのに、真っ先に逃げるとは」と呆れた表情を浮かべる。

 



 「私たちは自力でこの屋敷から出ようとしました。ですが、どこを探しても出口が見当たらず……今に至ると言うわけです」




 そう眉を八の字にし「お願いです! 私たちを家に帰してください!」と泉凪らに助けをこう女性。


 そんな女性に「言われなくとも、貴女たちのことはしっかりうちまで送り届けますよ」と微笑む。



 女性たちは「ありがとうございます!」と頭を深く下げる。




 「もう、すっかり真っ暗だね」




 泉凪らは、帰るため御殿の中から外へと出る。


 御殿へとやって来た時は、まだ明るかったが、もうすっかり日が暮れ、辺り一面暗闇に包まれていた。



 何も見えないと危ないので、悠美は自身の神力を使い火を灯す。


 そんな悠美を見た女性たちは「え……あれって神力じゃ……」「ままま、まさか! 火翠様!?」とはしゃぐ。




 「ありがとう。おかげで辺りが見えやすくなったよ」


 「礼を言うのはまだ早いぞ。私たちが御殿に来てから結構経っているからな。牛車が待っているかどうか」




 悠美の言葉を聞き、泉凪は「あー……」と苦笑する。




 「きっと今頃、花都は門を見つめ、帰りを待っているんだろうな」


 「うちの従者も。同じところを行ったり来たりしているのが目に浮かぶよ」




 お互いの従者に想いを馳せ笑い合う二人。


 そんな二人は「帰ろうか(帰るとするか)」と声を被せ、叶いの館を後にするのだった。







 「……遅いな」




 皇宮で帰りを待つ心温は、城の門が開くのを今か今かと待っていた。


 そんな心温に、同じく隣で門をじっと見つめる花都が「もう時期ですよ、きっと」と声をかける。



 至って冷静に見える花都だが、心温と同様、日が暮れる前から泉凪らの帰りを待っているのだ。




 「やっぱり、叶いの館とか言うところに行き、何かあったのでは……!」




 先程、泉凪の師匠であるハナから、花都に宛てて伝書鳥で、泉凪たちは叶いの館と言うところへ向かったと言うことを知らせられていた。


 

 心温は「やはり、今からでも我々も向かうべきでは……?」と腰帯こしおびに差す刀に手を触れる。


 そんな心温を「気持ちはわかるが、泉凪たちを信じましょう」と宥めている時だった。




 皇宮の門が開き、泉凪と悠美が皇宮内へと歩いて来た。

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