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皇宮の花嵐  作者: 透明
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第一章 風雲児ー3ー

「……今何と?」




 十六人目の神力を持つ子どもが皇宮入りしてから一週間が経った日、その日は朝から皇宮内がざわついており、どこかピリついた雰囲気が流れていた。




 何せとある一人の顔全体を狐の面で覆われた男が、一人の子どもを連れ皇帝陛下に「十七人目の神力を持つ子を連れてきた」と言うのだから。


 神力を持つ子を連れてくる際は、事前に皇帝陛下に伝え、拝謁の許可を取らなければならないのだが、その者はそれを行なっていないらしい。



 

 だが、皇宮内がピリついている理由は他にある。




 玉座に腰をかける皇帝陛下の目の前に立つ狐の面を被った男に、皇帝陛下は眉を顰め聞き返す。


 その目は鋭く、口調は柔らかいが目の前の者を歓迎していないと言うことがわかる。



 他の神官や大臣らは、緊張感のある雰囲気から冷や汗を流し、じっと二人のやりとりを見守っている。




 だが、狐の面を被った男はその雰囲気を全く感じ取っていないのか、はたまた気にしていないのか先程口にした言葉をもう一度発する。




 「十七人目の神力を持つ子を連れて参りました。と申し上げました、皇帝陛下」




 面を被っていても笑みを浮かべているであろうことが分かるその口ぶりは、まるで皇帝陛下のことを挑発しているかのように聞こえる。


 

 だが、皇帝陛下はそれを気にせず「神力を持つ子を連れてきたか」と玉座の肘掛に肘をつき、反対の手で指をトントンッと肘掛けに叩きつける。




 「……私の目にその子は、女子のように写っているが、それは気のせいか?」


 「いえ、気のせいではありません。私が連れてきた子は、女子でございます」




 隠すことなく堂々とそう告げる狐の面の男。


 そんな男に動揺を隠せない様子の、神官や大臣らは、一気にざわつき出す。




 何千年もの間、女性が皇帝に就いたことはなく、そして誰しもそれについて疑問を持ったり異議を唱える者もいなかった。



 何故なら、先祖が初めて神から神力を授けられた日から、今日までの何千年もの間、女子から神力を持つ子は一人と生まれたことはなく、神力を持って生まれる子は全て男子のみだったからだ。




 神力を持つものしか皇帝の座には就けない、即ちそれは神力を持ち得ることがない女性は皇帝の座に就くことができないのだ。




 誰もが知るその事実からして、狐の面の男が連れてきた子が十七人目の神力を持つ子と言うのは虚偽と言うことになる。




 「女子に神力を持つ者は生まれないのは、神守の民ならば当然知り得ること。その上でその女子は十七人目の神力を持つ子だと申すのか?」




 再びの皇帝の問いに「はい。」と迷いなく答える狐の面の男。


 そんな狐の面の男を見て、突如、皇帝は笑い出す。


 そして、一つ息を吐き先ほどまでの柔らかい口調とは打って変わり、低く鋭い声で「その儚い命が惜しいのであれば、戯言もほどほどにするんだな、若者よ」と神力を纏い狐の面の男を脅す。




 歴代の皇帝の中でも最強と謳われる現皇帝陛下の神力は凄まじく、神力を出しただけで他のものは息をすることすら恐ろしく感じるほど。



 だが、狐の面の男は全く臆さず「流石は歴代最強と言われるお方なだけある。凄まじい力だ」と称賛しだす。




 「そんなお方が、民の言葉を確かめもせず、戯言だと仰られるとは少し失望いたしました」




 無礼極まりない言葉に、大臣らは「皇帝陛下に向かって無礼な!!」「直ちにこの者を追い出すべきだ!!」と一斉に怒り出す。


 だが、皇帝が左手を挙げたことにより、先ほどまで騒がしかった者たちは一瞬で静かになる。




 「確かに、大切な民の話を確かめもしないで、戯言と言うのは一国の皇としてあるまじき行為だった」


 「そなたの言うことが本当なら、今すぐにでもその子に本当に神力があるか確かめようではないか」


 


 突如、そのような提案をする皇帝に大臣らは「へ、陛下!! このような者の言葉を信じるおつとりですか!?」と止めに入る。


 だが、皇帝は大臣らの言葉を無視し、狐の面の男に言う。




 「ただし、その子に神力がなかった場合、この国で最も神に近いとされているこの皇帝に戯言をほざき、時間をとった罪は命では償えないほど大きいが良いな?」




 穏やかな口調で話しているが、殺伐としており、普通のものなら足が震えその場に立っていられなくてもおかしくはない。


 だが、狐の面の男は全く態度は変わらず、先ほどと同様面を被っていても笑みを浮かべているのが分かる。




 「戯言だったと謝罪をし、取りやめるなら今のうちだぞ。素直に謝罪をすれば、罪も軽くしてあげよう」




 皇帝の言葉を聞いてもなお、狐の面の男は「いえ。この命、賭けてでもこの子の力を証明してみましょう」と堂々としている。


 頭を撫でられた女子は、状況をあまり理解していないのか、不思議そうに狐の面の男のことを見上げる。



 皇帝は「そうか」と呆れた様子を浮かべ、側に支えている一人の男に神石かみいしを持ってくるよう頼む。




 神の国で採れたとされる石に、神力を持つ者が触れると、石に宿された力に神力が反応し本当に持ち得るのか分かると言うもの。


 必ず、神力を持って生まれたものは、神力を持っていると証明するために、この儀式を行わなければならないのだ。




 「神の祝福を受けし者よ、神守の皇の御前、その力を証明してみせよ」




 皇帝の言葉を合図に、神力を持つと言う女子は石に手をかざし、目を瞑り深く息をする。


 その瞬間、辺りは強い光に包まれ、その場にいるものは皆、目を庇うように腕で覆う。


神石……神力を確かめる石。

天界にしか無いとされている。透明な石で、石の中をよく見てみると、若干、渦巻くように動いている。

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