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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 叶いの館

 


 泉凪たちの元に息を切らし、やって来たのは、月花の郷に住む女性で、泉凪は女性の元に行き「そんなに息を切らして、何があったの?」と眉を顰める。


 女性は乱れた息を整え、泉凪たちのことを見て言う。




 「叶い(かない)の館に行った子たちが帰って来ないって……!」


 「叶いの館……?」




 聞き覚えのない単語が出てき、泉凪は聞き返す。




 「今回で四組目か……まずいな」




 そう顎に手をやり、怪訝な表情を浮かべそう呟くハナ。


 そんなハナに泉凪は「四組目とは? その叶いの館とは何です?」と全く訳がわからないと言った表情を浮かべる。




 ハナは静かに、叶いの館について話し始めた。




 「彩の町の山深くにある御殿に、意中の相手と行くと、永遠に結ばれるとされている。その話をどこからか聞き、信じた訳があり、親から反対されている若い恋人同士が、永遠に結ばれる事を願いその御殿に向かったんだ」


 「けれど、待てど待てどその若者たちは、戻って来ず、二人で駆け落ちでもしたんではないかと、その話はそこで終わったんだ」


 「そんな若者の話が広まり、自分たちもと二組の恋人が、その御殿へと向かった。だが、一組目の若者らと同様、帰って来ず、その御殿で何かあるのではと少し問題になっていたんだ」




 冷静に話すハナの話を聞き、泉凪は「そんな噂があったとは……先程、彩の町に行った時はそのような事、一つも聞かなかったのに」と呟く。




 「その噂も、一部の人間しか知らぬからな。居なくなった若者の親の中では、駆け落ちでもしたんだろうと思っている親もいるらしいしな」


 「……師匠、先程まずいなと仰っていましたよね? あれは一体どう言う意味で?」




 泉凪にそう問われたハナは、頷く。




 「……実は、その御殿には他にあまり知られていない、話がもう一つ。何故、山深くにある、誰も住んでいない御殿にそんな噂が広がり、叶いの館と言われているのか」


 「丁度、五年前。とある、親から交際を反対されていた若い恋人同士が、駆け落ちするために、叶いの館と呼ばれる御殿で待ち合わせをしていたそうだ」


 「女は予定通り、御殿にやって来たらしいが、男は待てど待てど来ず、終いには姿を現さなかったそう。」


 「御殿で待ち続けた女が、その後どうなったかは定かではないが、噂によると裏切られた事から心を病み、山で首を吊り自死したと言われているが……」




 「真相はわからない」と言うハナ。


 ハナの話を聞いていた悠美は「その女性が深く関わっていそうだな。生きて今もなお、その御殿に住み着いているか、あるいは……調べる価値がありそうだ」と言い、泉凪は頷く。




 「早速、向かうとしようか」


 「そうだな」




 叶いの館を調べに行くと言う、泉凪と悠美。


 そんな二人にハナは「私も一度、様子を見に行ったが、中には入れなかった。中に入るには条件があるようだ」と告げる。


 

 泉凪は「条件ねぇ……」と顎に手をやり呟き、悠美と言葉が重なる。




 「恐らく、男女で向かう事だね(だな)」




 二人は、顔を見合わしふっと笑い合い、ハナは頷く。


 こうして、二人は彩の町にある山深くにある叶いの館と呼ばれる御殿へと向かうことになった。

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