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皇宮の花嵐  作者: 透明
33/255

当主継承編 視察



「それじゃあ行ってくるね」




 そう言って泉凪と悠美は、彩の町に向かうため牛車に乗り込む。


 そんな二人を笑って見送る花都と、どこか心配そうな表情を浮かべ見送る心温。



 だが、悠美はそんな事に全く気づかず、牛車は動き出す。




 遠くなる牛車を見て心温が「心配だな……」とこぼしたのを、隣で聞いていた花都は「心温さんは心配性なんですね」と言う。




 「視察は今日一日だけですし、火翠様は優秀なお方です。そんなに心配されなくても大丈夫ですよ」




 そう優しく笑う花都。


 心温は「……そうですね」と曖昧に返事をする。




 そんな心温が心配している中、牛車の中では泉凪と悠美は話をしていた。




 「火翠の若君は、彩の町へ行かれた事は?」




 牛車の中、泉凪と悠美は向かい合って座っており、泉凪は悠美にそう聞く。




 「幼い頃に一度だけ。と言っても、父上の仕事について行き、町を見る暇はなかったが……月花の姫君は?」


 「私は郷にいる頃に何度も師匠に連れられて行っていたよ。月花家が統治していると言うこともあるけど、有名なお酒があってね。師匠はお酒に目がないからそのお酒目当てで行っていたよ」

 



 そう笑う泉凪、悠美は「彩の酒か。確か、かなりの度数だったはずだが、お師匠さんはかなり強いんだな」と驚く。




 「酔っているところは見た事ないかな」




 泉凪は(そう言えば、師匠はいつもかなりの量を飲んでいるけど、酔ったところ一度も見たことないな)と思い出す。




 「なら久しぶりに彩の酒を買って、郷に帰ってみてはどうだ? 彩の町から月花の郷はすぐだろう? その間、私は彩の町を見て回っているから」


 「いいのかな? 視察があるのに」




 そう言う泉凪に「少しくらい帰っても、問題ないだろう」と悠美は笑う。


 すると、泉凪は少し黙り込み、口を開いたかと思えば「なら、火翠の若君も一緒にくる?」と言う。


 まさか、そのような提案をされるとは思っていなかった悠美。


 


 「若君が良ければだけれど」




 そう言う泉凪に悠美は「行く……!」と前のめり気味に言う。


 そんな悠美に一瞬驚くも泉凪は眉を八の字にし笑い「なら一緒に行こうか」と言う。



 悠美はハッとし、恥ずかしさを隠すように、一つ咳払いをする。




 こうして、月花の郷に寄ることとなった泉凪たちは、先に彩の町を見て回り、月花の郷に行く事にした。







 「いらっしゃい! そこのお二人さん! うちの団子は絶品だよ! 食っていかないか?」




 彩の町に着いた泉凪たち。


 すげ笠を被り、長身な二人は町を歩いていると目立つのか、色んなところから声がかかる。




 団子屋に声をかけられた二人は、団子屋の前に行く。




 「遠くから見ても長身で品がある事はわかったが、すごく綺麗な顔をしているな」




 泉凪と悠美の顔を見、そう言う団子屋の店主。


 どうやら、神力者だと気づいていない様子。




 「お団子、美味しそうだね。」


 「食べるか?」




 頷く泉凪を見て、悠美が「おすすめは?」と店主に尋ねる。




 「彩の町に咲く桜入りの団子がおすすめだよ! 彩の町の桜は酸味がなく甘味があり、絶品なんだ」


 「なら、それを二つ頂くよ」


 「毎度あり!!」




 泉凪がお代を払おうとするも、悠美はそれを止め、二人分払いお団子を一本、泉凪に渡す。


 泉凪は「ありがとう」と素直に受け取り、団子を一口食べる。


 美味しそうに食べる泉凪を見て悠美は「美味いか?」と聞くと、泉凪は頷き悠美は優しく微笑む。




 それから二人は色々な店から呼ばれては、見に行き、食べたり買ったりして回る。

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