当主継承編 段々と
(次で最後か……)
全員四射目を引き終え、残すことあと一射ずつとなった。
何とか四射目まで泉凪や他の神力者たちは、外すことはなかった。
(後、一射だけもってくれ……)
腕の痛みは先よりも増し、弓を握る手にも力が入らなくなって来た。
雪乃まで最後の一射を引き終え、泉凪の番になる。
だが、激しい痛みに手が震える。
「月花様、何処か様子がへんじゃないか?」
「そう?」
流石に、泉凪の異変に気づく者が出てき、そう言った声がちらほらと聞こえてくる。
「陛下」
同じく泉凪の異変に気づいた仁柊が、皇帝に声をかける。
だが、皇帝は左手を挙げ、仁柊に待つように合図し、仁柊は大人しく従う。
泉凪は痛みに耐えながら、何とか弓を構えることができ、後はタイミングを見、矢を放つのみ。
だが、腕に激痛が走り、意図せずに矢を放ってしまう。
(くそっ……!)
泉凪は顔を顰め、弓の音を聞いていた悠美は(早い……!)と心の中で呟く。
誰もがこの一射は外れる、そう思った。
カーンッと会場に鳴り響く。
観客や神力者たちは驚いた表情を浮かべる。
誰もが外すと思われた矢は、的の中心ではないが的の端ギリギリの所に当たったのだ。
泉凪はほっと胸を撫で下ろし、悠美はふっと笑みを浮かべ最後の一射を放つ。
見事、的の中心に当て今回の弓引きは全員皆中と言う結果で終わった。
皆、目隠しを取り、席に戻ろうとした時。
「泉凪!?」
突如、泉凪はふらつき倒れそうになる。
だが、悠美が咄嗟に泉凪のことを支え、倒れることは無く、悠美はほっと胸を撫で下ろす。
「すぐに医者を呼べ──」
官人がそう指示を出すのを遮るように、悠美は泉凪のことを抱き抱える。
「呼ぶより連れて行く方が早い。よろしいですよね? 陛下」
一応そう尋ねているも、駄目とは言わさぬと言う態度を取る。
皇帝はふっと笑みを浮かべ「頼んだぞ」と頷き、悠美は泉凪を抱え宴会場を後にする。
その様子を見ていた花都と心温は急いで悠美達の後を追う。
一瞬の出来事すぎて何が何だかわからないと言った表情を浮かべる国民ら。
皇帝は手を二回叩き「月花の姫君は我が息子に任せ、我々は引き続きお披露目会を行うぞ」と言い、残り僅かとなったお披露目会を続行する。




