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皇宮の花嵐  作者: 透明
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当主継承編 距離ー3ー



 いつもと様子の違う千季の雰囲気を感じ取った泉凪は「何かあった?」と心配そうに問いかける。


 そんな泉凪に千季は「昨日は申し訳ない」と力ない声でそう謝る千季。



 突然謝罪をされ、何だか昨日も似た様な事があったなと思いながら泉凪は「昨日って?」と尋ねる。




 「地星の若君のこと、庇ってあげられなかったでしょ。僕も一緒に聞いていたのに」




 そう謝る千季に泉凪は「何だ、その事か」と平然に言う。




 「凄い思い詰めた顔をしているから何事かと思ったよ」


 「火翠の若君もそうだけど、千季が謝ることではないよ。それに、千季はあそこで自分が止めに入れば、更に悪化するって思ったんでしょ?」




 泉凪の言葉に驚く千季。


 千季は自身が止めに入らなかった理由を泉凪に言っていなかった。


 なのに、泉凪は千季が考えている事が分かっているかのようにそう言ったのだ。




 「いつも冷静な千季だからそうかなと思ったんだけど……違ったかな?」


 「いや、そうだけど……」




 驚きのあまり、曖昧な返事をする千季。


 泉凪は「もうこの話はよそう。」と話題を変える。




 そんな泉凪を呆然と見つめる千季。


 今まで、自身から歩み寄らなくても、いくらでも人は寄って来た。


 だが、そのほとんどは上辺だけで、千季から決して歩み寄ろうとはしなかった。



 そんな千季が初めて、自身から歩み寄ろうとした相手が泉凪だった。


 自身とどこか似ており、彼女となら何でも分かり合え、話し合える。そんな気がして千季は泉凪に話しかけた。



 その直感は当たっていたのだ。




 「千季、何してるの? 行こうよ」




 泉凪に名を呼ばれ千季は泉凪の元に駆け寄る。


 先程まで重たかった心が何だか軽くなった気がした。







 「座学最終日、神力者の皆様にはこの神守山で、この神守岩しんしゅいわを神力で割って頂きます。見事、神守岩を割られた方々が次の当主となります」




 白い着物を見に纏い、丸い眼鏡をかけた彼──大神官の藍良あいらは、神力者たちにそう説明する。



 当主を決めるにあたり、一番大事な神守岩を神力で割ること。


 神守岩は、神力が強かろうが、弱かろうが当主の座に相応しい人間にしか割ることが出来ないとされており、神守岩を割ったものが当主の座につくことが出来るとされている。



 これまでの歴代の当主たちも皆、この神守岩を割って来た。




 だが、いくら当主に相応しいものでも、力をつけなければ割れないので座学を行い、力をつけた上で神力者は神守岩を割るのだ。




 今日は、神力者たちに神守岩を見せるためだけに、神守山へとやって来た。




 神守岩は人の背より大きく、七色に光っている。




 「あれを座学最終日に割らないといけないんだよね……到底割れる気がしない」




 青ざめながらそう言う心大に、千景は「今から弱気になっていてはいけません、心大様」と言う。




 「そうだよ、心大。座学はまだ始まったばかりじゃない」




 千景と泉凪の言葉に「そう、だよね! 座学頑張らなきゃ!」と両手を握り心大は意気込む。


 そんな心大を見て泉凪と千季は笑う。




 「もう一つ、神力者様にお伝えすることがございます」




 大神官の言葉に、神力者たちは大神官の方を注目する。




 「一週間後、行われる神力者様たちのお披露目会にて、毎度、選ばれた神力者様に陛下や国民の前で弓を引いて頂くことになっており、今回、引いて頂く方をお伝えしたいと思います」




 お披露目会では、神力者たちが初めて国民の前に姿を現す。


 そこでは毎回、選ばれた優秀な神力者数名で、弓を引くことになっており、一番注目される瞬間となっているため、神力者たちからすれば選ばれることは大変光栄な事だ。


 「それでは、発表致します」と言う大神官の言葉に、神力者たちは耳を傾ける。




 「今回、弓を引いていただく方は、火翠家悠美様、氷彩家雪乃様、地星家若菜(わかな)様、そして月花家泉凪様。計、四名の方です」


 「今呼ばれた神力者様方には、明日の座学が終わった後、一度集まって頂きますので、よろしくお願いいたします」




 そう言って大神官はお辞儀をする。




 「凄いじゃん、泉凪。お披露目会で指引きに選ばれるなんて」




 自分の事のように喜ぶ千季と、その隣でうんうんと目を輝かせながら喜ぶ心大。


 その様子を晃たちは気に入らないと言った様子で見ていた。


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