表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇宮の花嵐  作者: 透明
177/203

皇位継承編 躊躇



 競技場へと、神力者たちが集まる前のこと。


 


 『泉凪』




 皇宮の中庭にて、やって来た泉凪にそう声をかける千季。


 千季に泉凪は『おはよう、突然呼び出してごめんね』と言う。



 そんな泉凪は何処かぎこちなく、千季は眉を八の字にし『……この前の返事、だよね?』と尋ねると、泉凪は頷く。







 「ついこの間、試験が始まったところだと思っていたのに、もう途中の順位が発表されるとは、時が流れるのは早いね」




 競技場へと集まっていた文月は、何処か感慨深そうに言う。


 そんな文月に、隣に立つ心大は「ですね。皇位継承までは何百年と長かったのに」と頷く。




 「何もう終わった感を出しているんだ。後試験は、最終試験も合わせたら、三つも残っているんだぞ」




 文月と心大の話を聞き、そう冷静に言う雪乃。


 そんな雪乃に涼雅は「後三つもあんのかー」と嫌そうな表情を浮かべる。  




 「その間に、視察などもあるから、そう考えたらまだ先だな」




 悠美がそう言った時、心大は辺りをキョロキョロと見渡すと「そう言えば、泉凪と千季さんはまだ来ていないんですね」と言う。



 心大の言う通り、泉凪と千季だけがまだ来ておらず、二人の従者は競技場へとやって来ている。



 そんな心大の言葉に、文月は「本当だね。何かあったのかな?」と呟いた時「おはよう、皆んな」と言う声が聞こえてくる。




 そちらを見てみると、泉凪と千季がおり、心大たちの元へとやって来る。


 そんな二人を見て、心大は「丁度、二人の話をしていたんですよ!」と言い、文月は「二人で一緒に来たところを見ると、何かあったのかい?」と尋ねる。




 文月の問いに、千季は「まぁ、ちょっとね」と濁すと、泉凪も千季を見て頷く。


 そんな二人を見た文月たちは、不思議そうな表情を浮かべる中、悠美だけは、何処か複雑そうな表情を浮かべていた。




 その時、競技場内に、神官の空澄がやってき、いよいよ現在の神守石の獲得数と、順位が発表される時間となる。




 「それでは、七位の方から発表させて頂きたいと思います。皇位継承権第七位、雷林涼雅様」




 名前を呼ばれた涼雅は「俺七位か〜」とさほど悔しそうな様子はなく言う。


 そんな涼雅の隣で、心大は(涼雅さんが七位? てっきり僕だとばかり……)と思う。




 そして、次々に皇位継承権の順位は発表されて行く。




 「第六位、氷乃雪乃様、第五位四位は同数獲得されている、風音文月様、地星心大様の両名」


 「第三位、月花泉凪様、そして第二位、第一位は同数点獲得されている、火翠悠美様、水園千季様の両名です」




 皇位継承権の順位が発表されると、今度は神守石の獲得数が発表される。




 涼雅は九つ、雪乃は十個、文月と心大は十一個で、泉凪は十二個、そして悠美と千季は最多の十四個だ。




 「これにて、現時点での順位と獲得数の発表を終わります」




 空澄がそう言って戻って行くと、文月は「まぁ。大体の予想はついていたから、驚きはないね」と言うと、雪乃は頷く。


 そんな文月たちの隣で、涼雅は「それより、飯食いに行こ! 今日は試験も視察もないんだしさ!」と、全く順位を気にしていない様子。




 その近くにいた悠美は、泉凪に声をかけようとするも、それを止める。


 何故なら、千季と楽しそうに話をしていたからだ。




 以前の悠美なら、構わず話しかけに行くが、この間の千季が言っていた言葉が頭をよぎり、躊躇してしまう。


 

 そんな悠美に、悠美の元にやってきた心温は「悠美? 月花様に声をかけないのか? 久しぶりに会うんだろ?」と言うも、悠美は「いや、いい。帰るぞ」と言い、さっさと歩いて行ってしまう。



 悠美の心の中は今、複雑な思いで溢れかえっているのだ。




 そんな悠美を「悠美!?」と追う心温。


 その声が聞こえた泉凪は、ふと悠美の後ろ姿を見ては、何か言いたそうに見つめる。




 そして、現時点の皇位継承順位が発表されてから二日後、五回目の試験が行われる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ