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皇宮の花嵐  作者: 透明
176/207

皇位継承編 久しぶりの皇宮

 


 「うんめぇ〜!!」




 皇宮へと帰る前に、泉が最後に夕月の羊羹を食べ、買って帰りたいと駄々をこねたため、泉凪たちは夕月へと羊羹を食べに来ていた。



 泉は羊羹を口に入れると、今にも頬が溶ろけてしまいそうな表情を浮かべる。




 「まるで、初めて食べたかの様な反応だな」




 国重邸に居ている間、何度か夕月の羊羹は食べているはずなのだが、初めて食べたかのような反応を見せる泉を見て、涼雅はそう可笑しそうに言う。




 「でも、泉さんの気持ち分かります。何度食べても美味しいですよね!」




 そう言って美味しそうに、羊羹を口にする白夜に、涼雅は「そんなに気に入ったなら、おまえも買って帰れば」と言う。


 そんな涼雅の言葉に白夜は「いいんですか……?」と聞き返す。




 「泉凪も今、外で土産用の菓子見てるから、見てこいよ」




 涼雅の言葉に、白夜は「はい……!」と嬉しそうに返事をすると、白夜は外に土産用の菓子を見に行く。




 「月花様!」




 菓子を見ている泉凪に、そう声をかける白夜。


 


 「お土産は決まりましたか?」




 白夜の問いに、泉凪は「とりあえず、羊羹は決まったかな。泉が気に入ったみたいだし」と言う。


 そんな泉凪の言葉に、白夜は「沢山種類があって悩みますね」と言うと、泉凪は頷く。




 あれが美味しそう、これはどうかなと楽しそうに、土産用の菓子を選ぶ泉凪と白夜。


 そんな泉凪たちに、一人の男性が近づく。



 そして「おーいたいた」と泉凪に向かって突如、声をかけたのだ。




 「え?」




 白夜はそう言って声をかけて来た者を見ると、泉凪もその者のことを見る。


 泉凪は、声をかけて来た者の手元を見る。




 (天狗の面……?)




 声をかけて来た者は、天狗の面を持っており、泉凪は怪訝に思う。


 そんな泉凪に、天狗の面を持った者は「本当に月花の娘は生きてんじゃん!」と、何故だが嬉しそうに言う。



 白夜は「だ、誰だか知りませんが、失礼ですよ!!」と注意する。


 そんな白夜を見て、天狗の面を持つ者は「おー怖。何とも頼もしい従者だこと」と言うと「そんな殺気立たなくても確認しに来ただけだから」と言い、泉凪の肩に手を置く。



 そして「またな」と言うと、歩いて行くので、白夜は「お、追います!」と後を追おうとするも、泉凪に「追わなくていいよ」止められる。




 「ですが……」


 「私は大丈夫だから」




 泉凪はそう言うと「さっ。早くお土産用の菓子を決めちゃおう」と言うと、白夜の体を菓子の方へと向かせる。







 「泉凪様! こっちの水やりは終わりましたよ!」



  

 視察から皇宮へと戻って来た泉凪たち。


 その翌日、視察も試験もない泉凪は、月花宮に咲く、月光花に水をやっていた。




 視察から帰って直ぐに、幽霊騒動の件を皇帝に報告した泉凪たち。


 その件に、皇宮の人間が関わっていると言うことを伝えると、皇帝は顔を曇らせると「ご苦労だったな。調べておく」と言う。



 幽霊騒動の件は、皇帝に伝えた泉凪だが、天狗の面を持った事は、泉凪は皇帝には伝えたが、話した内容は報告はしなかった。




 何か思うところが、泉凪にはある様だ。




 「泉様! そんな乱暴に水をかけては、お花が悲しみますよ!」




 泉凪は、ぼーっと天狗の面を持った者に言われたことを思い出していると、突如、侍女である千代の声が耳に入ってくる。



 見てみると、泉が花の水のやり方について、千代に怒られており、そんな二人のそばで凪が呆れた表情を浮かべていた。



 千代と泉と凪は、千代の方がお姉さんだが、年齢が近く気が合うのか、よく、気さくに話をしている。




 そんな三人を見た泉凪は、微笑ましそうに笑み浮かべると「皆んな、お茶にしようか」と声をかける。


 その言葉に、泉は待ってましたと言わんばかりに、嬉しそうに頷く。




 「わっ! この羊羹、とっても美味しいですね!」




 お茶のお供に出したのは、夕月で買った羊羹で、驚いた様にそう言う千代に、泉は何故だが得意げに「でしょ〜?」と言う。


 そんな泉を見て、凪は「なんでお前が得意げなんだ」とつっこむ。




 泉凪は、一口お茶を飲むと「三人のおかげで、早く水やりが終わったよ。ありがとう」と礼を言うと、三人は嬉しそうに笑う。



 久しぶりに、皇宮でゆったりとしながら過ごしていると、窓の外から鳥の鳴き声が聞こえてき、窓を開けると綺麗な白色の鳥が、一通の文を加え飛んでいたのだ。



 そんな鳥を見た泉凪は「伝書鳥だ」と言うと、文を受け取る。


 そして、文を開けると、書かれた内容を読む。




 そこには『明日、午前九時頃、各当主様の現時点の神守石の獲得数と、順位を発表いたしますので、競技場へお越しください』とだけ書かれてあった。




 「獲得数と順位発表……! 緊張しますね……!」




 泉の言葉に泉凪は頷くと「早いな。ついこの間、第一試験を行ったと思ったのに」と言う。




 そして翌日になり、当主らは、自身の神守石の獲得数と順位を確認するため、競技場へと集まっていた。

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