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皇宮の花嵐  作者: 透明
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皇位継承編 唸り声



 時刻は、深夜の二時を回ろうとしている時、清春が「皆さん、疲れていませんか? 昼間の茶菓子が残っているのでよろしければ食べてください」と、客間の席に座る泉凪らに夕月の羊羹を差し出す。




 泉凪たちは、唸り声の正体を探るために、唸り声が聞こえて来るのが、夜中だが、時間はバラバラなので、夜中にずっと起きていることにし、客間で待機していた。



 ずっと寝ずに起きている泉凪らを心配し、休んでいた清春は起きて来ると、泉凪らにお茶と茶菓子を差し入れする。




 「清春さん。私たちは大丈夫なので、清春さんは休んでいてください。明日も、朝早いんですよね?」




 明日も、仕事がある清春に、唸り声の件は自分たちでどうにかするから、気にせず休んでいるよう言った泉凪は、お茶を持ってきてくれた清春にそう言う。


 すると、清春は「はい。茶菓子を渡しにきただけなので、気にせずお召し上がりください」と泉凪たちの前に、お茶と茶菓子を置く。




 「羊羹だ! これ、昼間食べてすげぇ美味かったんだよね〜」




 泉は、目の前の羊羹を見ては、目を輝かせると「ありがとうございます! 清春さん!」と清春に礼を言う。


 そんな泉に、清春は「お口にあったようで何よりです」と微笑む。




 「普段、私は甘いものを好んで食べないんですけど、おすすめされて食べてみたら、食べやすくて、夕月の和菓子だけはよく好んで食べているんです」




 そう言う清春に、泉凪は「私も、普段はあまり甘いものを食べませんが、ここのはすごく美味しいです」と言う。







 「清春さんのおかげで、眠気が吹っ飛びました」




 お茶を飲み、茶菓子お食べ終えた白夜は、そう言うと清春に「ありがとうございます」とお礼を言う。


 そんな白夜に「少しでもお役に立ててよかったです」と優しく笑う。




 「そろそろ、私は失礼しますね。お手数ですが、後はよろしくお願いします」




 そう言って、清春が客間から出て行こうとした時だった。


 何処からか「ヴゥ、ヴッーー……」と微かに、唸り声のような声が聞こえてきたのだ。



 そして直ぐ後に「きゃぁぁあ!!」と女性の叫び声が聞こえてきたのだ。 



 

 「今の……!」




 唸り声を聞き、清春が顔を顰めそう呟くと、泉凪と涼雅は直ぐに立ち上がり、客間から出て行く。


 そんな泉凪たちの後を、直ぐに泉と凪も追うと、取り残された白夜は「ま、待って……!」と慌てて後を追う。



 あまりにも、唸り声が聞こえてから、泉凪たちが動くまで早かったため、呆気に取られていた清春は、ハッとすると急いで泉凪たちの後を追う。




 「今の声からして、おそらく数は一体くらいだと思うけど、まだ幽霊なのかは分からないね」


 


 声の聞こえてきた方へと向かいながら走る泉凪は、隣を走る涼雅にそう言うと、涼雅は頷き「叫び声は女性のものだった。襲われてなければいいけどな」と言うと、二人は足を早める。




 「大丈夫ですか……!」




 泉凪たちは、声の聞こえてきた方へとたどり着くと、そこには床に尻餅をつき、ひどく怯えた様子の女性がおり、その女性に泉凪は声をかけると、自身が羽織っていた羽織を、女性の肩にかける。



 女性は、泉凪たちを見るなり、少し安心したのか、泣きそうな表情を浮かべ、泉凪に身を寄せる。




 「怖かったね、もう大丈夫」




 泉凪が、そう酷く怯えている女性を落ち着かせるように、そう言いながら、女性の背中を優しくさする。



 すると、その時、辺りを見渡していた涼雅が「だめだ。何もいねぇ」と言い、泉凪の元へと歩いて来る。




 「声がして直ぐに駆けつけたつもりだったんだけどね」




 泉凪がそう呟いた時「月花様!」と清春の声が聞こえて来る。




 「何があったのですか?」




 清春は、荒れた息を整えながらそう泉凪に問いかけると、泉凪は「駆けつけると、この女性がここにいたんです。この方はどなたか分かりますか?」と聞く。


 清春は頷くと「彼女は使用人です」と言う。




 「彼女が何処も怪我をしていないか見たいので、直ぐ近くの部屋に入っても?」


 「えぇ、構いません」




 泉凪は「ありがとうございます」と言うと、女性を支えながら立ち上がらせ、近くの部屋へと入る。


 


 「彼女から話を聞ければいいんだけど……」




 泉凪はそう呟くと、涼雅は「落ち着いたら、一回聞いてみようぜ。無理のない範囲でな」と言い、泉凪は頷く。

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