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皇宮の花嵐  作者: 透明
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皇位継承編 神守の町

 


 神守の町へとやって来た泉凪、涼雅、そして二人の従者である泉、凪、白夜の五名。


 泉と白夜は、色鮮やかで、活気溢れる町並みを見て「わぁ……!」「すげ〜!」と、目を輝かせながら驚いている。




 「そう言えば、泉と凪は神守の町へと来るのは初めてだったね」




 はしゃぐ泉と白夜の隣で、静かに驚いている凪を見て、クスッと笑いながらそう言う泉凪。


 そんな泉凪の言葉に、涼雅も「白夜もそう言えば無かったな」と言う。




 「初めて来たら驚くよね。城下町とだけあって、他の町と少し違うからね」




 そう言う泉凪の声は泉と白夜には届いておらず、泉は目にする物全てを指差しながら、隣にいる白夜に「おい、白夜! あれ見ろよ!」と言う。


 その隣で白夜も「わっ! 初めて見た!」とはしゃいでいる。



 そんな二人を見て微笑ましそうに「まだまだ子どもだね」と泉凪は言う。




 「せっかく神守の町へと来たんだ。視察がてら、町を見て回ろう」




 泉凪の提案に、泉と白夜は目を輝かせ喜ぶと「まずはあっち!!」と泉と白夜は走って行く。




 「この程度であんなはしゃげるとか……普段、どこで暮らしてると思ってんだか」




 頭の後ろで手を組み、そう言う涼雅。


 そんな涼雅に、泉凪は「まぁ、ずっといれば皇宮も慣れて来るからね。二人には、町の方が新鮮なんだよ」と言う。




 「初めて白夜と皇宮入りした時は、あんなにビビってたのに」


 「子どもの成長は早いね」


 「俺も歳とったんだな」




 真剣な表情でそう言う涼雅に、泉凪は、ハハッと笑う。




 「凪も、泉たちと行ってこなくていいの?」




 泉凪の隣をついて歩く凪に、そう問いかける泉凪。


 すると、凪は「泉凪様をお守りするのが仕事なので。それに、この程度ではしゃぐほど、私は子どもではありません」と言う。



 凪はそうは言っているが、先程から、凪が出店をチラチラ見ているのに、気づいている泉凪。


 泉凪は「そっか……あ。私も出店を見に行きたいんだけど、色々ありすぎて、何処から見たらいいか分からないな」と言うと、凪を見る。


 そして「凪ならまずは何処から見る? 私だけじゃ、行きたいところがありすぎて、決めきれないから教えて欲しいな」と言う。




 泉凪のお願いは絶対断らない凪は「そうですね……」と呟くと「あちらにある、風鈴が売られている所、ですかね」と言う。


 凪の意見を聞くと、泉凪は「いいね! 私一人だと、神力者とバレた時大変だから、凪もついて来てくれないかな?」と再びお願いする。



 もちろん、泉凪のお願いは断らない凪は「もちろんです」と泉凪について行く。


 そんなやり取りを見ていた涼雅は「すっげー、泉凪」と感心したように言う。




 泉凪は、凪に何を言っても、好きなところを見に回らないと分かっていたため、わざと何処から行けばいいか分からないから、凪のお勧めを教えてもらい、ついて来るように頼んだのだ。


 そうする事で、凪が行きたい場所へと行けるからだ。




 (昔っからそうだけど、よく周りのこと見てるよな)




 涼雅はそんな事を考えると「いいね」と笑う。


 そして、泉凪と凪がいる風鈴屋へと行く。







 「少し疲れたね」




 あれから、しっかり視察もしつつ、町を楽しんだ泉凪たちは、近くのお茶屋へと入り、休憩を取っている。




 「お前、さっきも結構食ってたのに、まだ食うのかよ」




 涼雅は、目の前で団子に羊羹に饅頭にと、頬張る泉を見て、あり得ないと言った表情を浮かべている。


 涼雅の言う通り、泉は先程町を見回っている時も、かなりの量を食していたのだ。




 「お菓子は別腹ですよ!」




 そう満面の笑みを浮かべ言う泉。


 そんな泉を見た涼雅は「意味わかんねー」と言う。




 その時だった。




 「おい、聞いたか? 国重様の屋敷に、また出たらしいぞ」




 近くに座る二人の若い男の話が聞こえて来たのだ。


 通路を挟んで泉凪の隣に座る男性は「あぁ聞いたよ。きっと、治療を失敗した例の患者が怒って化けて出て来てるんだぜ」と言う。




 「何せ、あれはわざと失敗したって話らしいからな」




 そうコソコソと話す男性二人。


 そんな男性たちの間に「今の話、詳しく聞かせろよ」と涼雅は割って入る。



 突然、何処の誰かもわからない、偉そうな者に話を遮られ、男性二人は「な、何だ? いきなり……」と驚いている。


 だが、涼雅はそんな事全く気にした様子はなく「さっき話してただろ? また出たとか、化けて出てるとか!」と言う。




 「な、何なんですか!」


 「どうして、見ず知らずのあなたに教えなければならないんですか!」




 男性二人が言うことはごもっともな事。


 泉凪は「はぁ……」と一つため息をつくと、涼雅に「涼雅。人に物を頼む時、そう言った威圧的な態度はダメだよ。それに、いきなり知らない人に話しかけられれば、誰だって混乱するよ」と宥めるように言う。




 「え? そんなに威圧的だった? 結構穏やかに話しかけたつもりだったんだけどなー」




 そう「何処が威圧的だったんだ?」と考えている涼雅を見て、その場にいる全員は(あれで穏やかだったの……?)と思う。

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